こんにちは、元公務員のシュンです!
いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!
今回は「公務員への転職」がテーマです。
民間から公務員への転職を考える人は多いと思いますし、実際に僕が勤めていた県庁にも、たくさんの民間からの転職者がいました。
一方、転職する前に公務員の仕事がどういったものなのかを知る手段というのは限られています。
ここでは、公務員への転職を考える際にぜひ知っておきたい以下の点について、ぶっちゃけ話を含めて書いていきます。
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ぜひご参考にしていただければ幸いです。
公務員の仕事はつまらない?
僕はつまらなかったし、妻もつまらなそうだし、同期や同僚も概ねつまらなそうだった(笑)
ただ忙しくて退屈だった
映画「生きる」(監督 黒澤明)より
映画「生きる」の中で、市役所で市民課長を務める渡辺勘治が言うセリフです。
公務員について物凄く的確に表した表現だと思います。
公務員の転職について調べている方であれば、結構残業があるとか、業務がそれなりにハードだとか、残業代がつかないだとかいったネットの記事を見る機会も多いと思います。
確かにそれは事実でもあり、僕も深夜3時4時に帰る日が何日も続いたりする部署を経験したこともあります。(一方で、ものすごく暇な部署も存在します)
ただ、忙しくても面白ければいいんですが、基本的に「退屈」なんですね。
抽象的な表現になりますが、人の役に立つものを生み出すというより、複雑怪奇で訳の分からない組織内部の仕組み(形式主義、前例主義など)を突破すべく、多くの無駄な作業をしながらもがき進んだ結果、大して役に立たない何かが出来上がるというのが公務員の仕事でした。
つまり、本来成し遂げるべき成果(本当に役に立つサービス)から見れば、あまりにもどうでも良いようなことにエネルギーを分散する割合が強すぎるということです。
暇なところは暇なところで退屈ですし、忙しいところであっても、旧態依然な仕組みに基づいて行う作業は単に煩雑なだけでやはり退屈であり、むしろ忙しい分だけ神経すり減らすみたいな感じになります。
そんなわけで、僕はダメでしたね。
ここにあと30年とか勤めるのかと思ったら、正直身の毛がよだつ思いでした(笑)
また、市役所に勤める妻は、全然面白くは無いが、ただ給料を稼ぐための手段としてやっているとのことです。
やりがいは、金曜になると「今週も頑張ったなぁ」と自己満足出来る事くらいらしいです(笑)
同期や同僚に関しても、多くが妻の意見と似たような感じだったと思います。
心底楽しそうにやってる人はほとんどおらず、安定的な給料、家庭と仕事のバランス、たまに感じるやりがい(その多くは付加価値を生み出していないので、やった感に過ぎないですが)があるから仕事をしているという感じですね。
→単に僕の感覚というわけではなく、実際に同期と会話をしていてもそういった意見の人は多かったですよ。
つまらないが、多くの人にとっては妥協できるだけのメリットがある
僕的には間違いなく退屈な仕事でしたが、現実問題として見れば、公務員を辞める人は非常に少ないです。
つまり、(妻や同期のように)あまり仕事の内容に面白さを感じていなかったとしても、仕事を続けるだけのメリットはあるということでしょう。
例えば、数字上のノルマが無いため、ひたすら気合と根性で作業をすればなんとかなるのが公務員の仕事です。
数字に追われない分、精神的には間違いなく楽です。
(僕は銀行に出向経験があるのですが、銀行の支店営業より絶対楽です)
しかも、土日祝日は基本お休み。
女性なら育休は大半の人が1年(以上)キッチリ取れて、その後の時短勤務も確保されます。
そして、給与は年功序列で増えていき、基本的にクビにならない。
多少仕事がつまらなくても、このトータルでのバランスに十分な幸せを感じることのできる方はたくさんいるということです。→これが最も重要な点だったりします。
公務員の仕事を楽しめるかどうかは、実際にやってみなければ分からない
仕事が退屈だと書きましたが、楽しんでやっている人ももちろんいます。
仕組みをぶっ壊すべくエネルギッシュに仕事をしている人もいますし、仕組みがあることを前提にして、それをゲームのようにクリアすることが大好きな人たちもいます。
もちろん、退屈な仕組みを構築することが大好きな人もいます。
どれがいいか悪いかというのは個人の主観ですから置いておくとして、まさに「好きこそ物の上手なれ」であり、仕事がつまらないとか退屈だとか思っている人は、こういう人たちに勝つことは絶対にできません。
一方、こういった人たちのように公務員の仕事にハマれるかどうかは、やってみなければ「絶対に」分かりません。
それを転職前に見抜くのは不可能です。
何の仕事でもそうなのですが、ここが難しいところですよね。
ちなみに、僕が10年県庁に勤めた感覚として、本気で楽しんでやっている人というのは数十人に1人くらいでしたね。
将来的に公務員は間違いなくジリ貧である
ここまで、公務員はつまらないかもしれないが、相応のメリットもあるよということを書いてきました。
「つまらない」とか「退屈」というのはあくまで主観の話ですが、ここからは、よりリアルな数字に基づいて、公務員の将来(=ジリ貧であるという仮説)について書いていきます。
ジリ貧の理由その1:日本の人口が大幅に減ることによる経済衰退
国連の人口予測(中位推計)では、日本は2050年に1億1000万(▲1700万)、2100年に8500万人(▲4200万)になるとされています。
人口予測はまず外れません。
つまり、日本は今後当分人が減り続け、約80年後には今の約2/3の人口になっていく可能性が非常に高いということです。
経済=人口です。
人口が増えれば関連する衣食住支出が増えるから経済は活性化します。
人口が減れば衣食住支出が減るから経済も衰退します。
経済が衰退する→企業の給料が減る→企業の給料をベースに決められている公務員の給料も減る→公務員の給料は横並びの仕組みなので全員揃って給料が減る
人口が減って自分が勤務する自治体から活気がなくなっちゃう・・・とかいうレベルの問題ではなく、「年功序列で安定して増えていく給料」という公務員人気の基盤である部分にも大打撃が予測されるということはしっかり押さえておく必要があります。
関連記事2045年人口から見る企業と公務員の将来。給料は下がり、仕事はAIに取られる?
ジリ貧の理由その2:事務の仕事はAIによって基本的に縮小傾向
AIやブロックチェーン技術などの台頭によって、事務的な仕事は基本的に縮小していきます。(公務員に限りませんが)
公務員がやるべき仕事なんて、ほとんどない。
これから20〜30年くらいのスパンだけでみても、公務員が絶対安泰だとはまずいえない。
引用 「10年後の仕事図鑑」 落合陽一、堀江貴文著
最近売れている「10年後の仕事図鑑」の中でも、AIの台頭によりなくなる仕事・減る仕事という中で、バッチリ公務員が取り上げられていました。
元公務員として言えるのは、AIによる大幅な事務の代替が起こるのは間違いないということです。
公務員はそれだけ定型的なルーチンワークが多いです。(僕は銀行に出向していましたが、銀行も同様ですね)
一見判断をしているような仕事(財政とか企画とか)でも、前例やら近県事例やらを踏まえて判断しているケースが大半なので、はっきり言ってほとんどAIに任せられます。
あとは導入コストとのバランスだけですね。(本格導入するとなればかなり大きな費用がかかります)
AIを効果的に使いこなせる人(自治体のビジョンを自ら示し、それを達成するためにAIに様々な指示を出せる人)は生き残っていけるでしょうが、大半の人は厳しいでしょうね・・・。
関連記事公務員の仕事はAIに置き換わるか?50時間の作業が数秒で完了!?
公務員に転職したいならまずやるべきこと(マインド編)
ここまでは、公務員の実態や公務員の将来について、どちらかというと厳しめの視点から書いてきました。
しかし、なんだかんだで公務員の給料は現状高いレベルで安定していますし、仕事にノルマがないといった精神的なメリットがあることも事実です。
ということで、色々言われてもとにかく公務員になりたいんだ!と覚悟を持っている方のために、転職したい場合にやるべきこと(マインド編と実践編)を書いていきます。
それに比べ、最初のマインド編は少し退屈かもしれませんが、非常に大切なのでぜひ読んでみてくださいね。
マインド編(ゴールを明確に決めよう)
公務員に転職したいのであれば、まずはゴールを明確に決めましょう。
どんなことでもそうですが、ゴールがあってこそ手段が決まります。
(ゴールを決める前に手段を決めるというのは、旅行先が国内なのか海外なのか決まっていないのに、車で行くか飛行機で行くかを悩んでいるくらい無意味なことです)
例えば、公務員になって、ある自治体で具体的にこういうことがやりたいというのは一つのゴールです。
そこが設定できると自動的に手段や行動が決まってきます。
【ゴール】
- A自治体で◯◯といった施策に携わりたい
【手段】
- 環境を変える(例:予備校に通う、今やっている飲み会を断ち切る、テレビや漫画などを捨てる、部屋では集中できないので図書館で勉強を行うなど)
- A自治体で活躍している人に会いに行きモチベーションを上げる(さらにそれを面接のネタに結びつける)
- 今やっている仕事を面接時にどのようにアピールすると相手に響くか考える
【行動の継続】
- 試験突破に向けて淡々と問題集を解き続ける
- 今の仕事は、面接時に活かせるようなネタ作りの視点から取り組む
なお、このゴールの例の場合、「自分が思い描くゴール(やりたい施策)を実現するためにはその自治体でなければダメなのか?」という点は追求したほうがいいです。
正直、自治体にはかなりカラーの差があります。
攻めの施策を積極的に取るところもあれば、守り一辺倒で新しいことはほとんどやらないというところもあります。
事前に徹底した自治体のリサーチをすることが重要です。
さて、上で書いてきたような真面目な(?)ゴールだけでなく、
「退屈でもいいから安定したお給料を得て、土日は休みたい。その中で趣味の時間を充実させたり、家族と接する時間を多く取る人生を歩みたい。」
というゴールだってもちろんありでしょう。
正直このゴールの場合、どの自治体かというのはそこまで関係なく、公務員になれば概ね実現できると言えます。
ただ、これは別に公務員でなくても達成し得ますので、その点は色々な可能性を検討した方がいいとは思います。
実践編(公務員への転職を目指す場合まず何から始めるべきか、具体的な勉強法など)
次は実践編ということで、公務員への転職を目指す際の具体的な流れについて解説します。
まずは、社会人から公務員へ転職する場合にどういったルートがあるのか(例えば20代なら通常試験で、30代なら経験者採用試験)、社会人でも受けやすい試験は何かといった全体像を掴む必要があります。
これらの把握には以下の記事がおすすめです。(特に、無料でもらえるハンドブックには非常に細かく情報が掲載されているため、ぜひ取り寄せてみてください)
全体像を把握した上で、具体的な試験対策(筆記・面接)や予備校比較などを知りたい場合は以下の記事でご確認ください。
おわりに
最も大切なのは、自分の幸せとは何なのかという点についてよく自分自身に問いかけてから決断を下すということです。
最初のほうで、
多少仕事がつまらなくても、このトータルでのバランスに十分な幸せを感じることのできる方はたくさんいるということです。
と書きましたが、これは公務員という仕事を選択するに当たり、自分自身への問いかけとしてキーになる部分です。
「退屈であるのはやむを得ない、それよりも仕事と家庭のバランスや給料の安定が重要だ!」と断言できる方であれば、今のところ公務員は間違いなく転職価値があると思います。(僕はそれでは幸せを得られないと思ったから辞めただけです)
そうではなく、何かやりたい施策がある場合は、とにかく自治体のカラーに注意ですね。
最初によーく分析するようにしましょう。(ネットなどでは100%分からないので、その自治体の関係者に聞くのがベストです)
今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!
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