【公務員種類別】月収・年収・生涯年収まとめ記事

地方公務員の男女格差は?給料と生涯年収を比較【民間に比べ格差は小さい】

こんにちは、元公務員ブロガーのシュンです!

いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!

 

今回は、地方公務員の男女格差がテーマです。

総務省統計に基づいて、給料データなどについてまとめました。

 

本記事の内容

  • 公務員の男女別給料比較【県・市・町村・区】
  • 公務員男女の生涯年収比較
  • 公務員男女の出世格差

性別差の給料データは、国でも5年に1度しか統計が取られないため、結構レアな記事かと思います。




地方公務員の男女別給料比較

以下、「大卒・一般行政職」の地方公務員について、団体区分ごとに男女給料をまとめました。

なお、5,000円以上の格差を青字10,000円以上の格差を赤字20,000円以上の格差を緑字としています。

都道府県(大卒・一般行政職)の男女別給料

都道府県の男女別給料です。

  男性 女性
22〜23歳 187,503円 187,408円
24〜27歳 206,676円 206,700円
28〜31歳 235,692円 234,976円
32〜35歳 268,880円 266,522円
36〜39歳 308,851円 302,661円
40〜43歳 349,062円 341,291円
44〜47歳 375,212円 367,849円
48〜51歳 391,624円 383,748円
52〜55歳 406,475円 398,553円
56〜59歳 422,579円 409,156円

※データ元:総務省「平成30年4月1日地方公務員給与実態調査」(以下同じ)

 

補足:大卒区分を用いる理由

総務省データには、学歴計・大卒・短大卒・高卒のそれぞれの年齢別給料が掲載されています。

一方、全地方公務員に占める男性の大卒比率は69%、女性の大卒比率は57%であるため、「学歴計」の数字を用いるのはフェアではありません(→高卒・短大卒が多い女性の数値が一層低くなる)。

そのため、男女とも大卒区分の数字を用い、同条件での比較をしています。

 

指定都市(大卒・一般行政職)の男女別給料

政令指定都市の男女別給料です。

  男性 女性
22〜23歳 183,123円 182,990円
24〜27歳 202,909円 203,295円
28〜31歳 234,952円 233,788円
32〜35歳 269,519円 266,001円
36〜39歳 310,026円 301,862円
40〜43歳 348,640円 339,258円
44〜47歳 378,158円 365,937円
48〜51歳 400,306円 382,476円
52〜55歳 422,759円 398,512円
56〜59歳 442,346円 417,568円

 

市役所(大卒・一般行政職)の男女別給料

市役所の男女別給料です。

  男性 女性
22〜23歳 185,266円 185,643円
24〜27歳 203,696円 204,458円
28〜31歳 229,505円 229,736円
32〜35歳 258,546円 256,824円
36〜39歳 298,024円 293,012円
40〜43歳 337,159円 330,403円
44〜47歳 368,770円 360,230円
48〜51歳 389,934円 379,111円
52〜55歳 407,401円 393,338円
56〜59歳 422,114円 405,336円

 

町村(大卒・一般行政職)の男女別給料

町村の男女別給料です。

  男性 女性
22〜23歳 181,251円 181,480円
24〜27歳 198,534円 199,663円
28〜31歳 222,628円 223,616円
32〜35歳 249,316円 247,545円
36〜39歳 287,012円 282,599円
40〜43歳 325,837円 317,948円
44〜47歳 357,894円 347,012円
48〜51歳 379,380円 366,580円
52〜55歳 392,860円 378,762円
56〜59歳 402,283円 386,753円

 

特別区(大卒・一般行政職)の男女別給料

特別区の男女別給料です。

  男性 女性
22〜23歳 186,091円 186,267円
24〜27歳 203,664円 204,356円
28〜31歳 233,944円 234,975円
32〜35歳 274,842円 267,372円
36〜39歳 316,190円 302,722円
40〜43歳 355,123円 334,950円
44〜47歳 382,271円 361,343円
48〜51歳 390,160円 372,923円
52〜55歳 403,004円 388,344円
56〜59歳 419,175円 410,795円

 

どの区分も、概ね36歳〜39歳のラインで差がつき始め、50歳以降の差が特に大きくなっています。

これは出世差に基づくものです。

 

なお、20,000円以上の格差が存在するのは指定都市と特別区のみです。

つまり、この両者は比較的男女間格差が大きいと言えます。

 

なお、上の「給料」というのは「月収」とは異なります。

月収(給与)は、給料に各種手当(地域手当・残業代・扶養手当・通勤手当など)が加算されたものであるため、人にもよりますが、上の額に比べ通常数万〜10万円以上は大きくなると捉えておいてください。

→以下の生涯年収の算出に当たってはこの点を考慮します。




公務員と民間男女の生涯年収比較

次に、上記の年齢別給料データに基づき生涯年収ベースの比較をしてみます。

下の参考というところで詳しく書いていますが、生涯年収の数字自体よりも、赤太字の部分(男女差)に注目して見てください。

 

都道府県生涯年収

男:212,984,418円、女:209,249,291円

差:3,735,127円(女性は男性の98.2%の生涯収入

 

指定都市生涯年収

男:227,396,868円、女:219,992,079円

差:7,404,789円(女性は男性の96.7%の生涯収入

 

市役所生涯年収

男:207,049,697円、女:202,746,462円

差:4,303,235円(女性は男性の97.9%の生涯収入

 

町村生涯年収

男:193,354,950円、女:189,020,551円

差:4,334,399円(女性は男性の97.8%の生涯収入

 

特別区生涯年収

男:246,158,221円、女:238,103,268円

差:8,054,953円(女性は男性の96.7%の生涯収入

 

以上より、男女で最も格差が少ない順に、

都道府県>市役所>町村>指定都市、特別区

ということになります。

 

民間の生涯年収

次に、厚労省統計をベースに民間の生涯年収を算出しました。

 

企業規模1000人以上(大卒)の生涯年収

男:290,564,400円、女:212,901,900円

差:77,662,500円(女性は男性の73.3%の生涯収入

※データ元「厚労省:H30賃金構造基本統計調査」における「全産業平均」の数字を使用して推計。以下同じ。

 

企業規模100〜999人(大卒)の生涯年収

男:232,913,700円、女:182,939,400円

差:49,974,300円(女性は男性の78.5%の生涯収入

 

企業規模10〜99人(大卒)の生涯年収

男:190,231,000円、女:154,257,200円

差:35,973,800円(女性は男性の81.1%の生涯収入

 

どの企業規模の場合でも、かなり男女の収入差が大きいことが分かります。

 

以上の通り、民間と公務員を比べると、公務員のほうが圧倒的に男女格差が少ないと言えます。

 

参考:生涯年収の算出法と注意点

参考まで、上記生涯年収の算出法について記します。

あくまで参考ですので、ここは興味がなければ飛ばしてください。

 

まず公務員について。

  1. 最初に掲載した年齢別給料データは手当が含まれていないため、団体区分による格差が大きい「地域手当のみ」を推計した上で月収を算出。(平均的な地域手当の率は以下の通り)
    都道府県:5.5%、指定都市:11.1%、市役所:4.3%、町村:0.8%、特別区:20.7%
  2. ボーナスは1で算出した月収に4.5(2019人事院勧告ベース)を掛け算して算出。
  3. 1で算出した月収×12+2で算出したボーナスで年収を算出。年齢別に算出したものをトータルして生涯年収を算出。

 

計算の具体例は以下の通りです。

  • 都道府県の22〜23歳男性の給料は187,503円
  • 月収:187,503×1.055(都道府県地域手当5.5%)=197,816円
  • ボーナス:197,816×4.5=890,172円
  • 年収:197,816×12+890,172=3,263,964円
  • 22〜23歳の年収:3,263,964×2=6,527,928円
  • これを59歳まで累計することで、全ての生涯年収を算出しています。

 

ポイントは、地域手当のみを加算したということです。

本来は、地域手当以外の手当(残業代、扶養手当、通勤手当、住居手当など)も貰えるわけですので、上の公務員の生涯年収は低めの額が出ているとご理解ください。

あくまで、団体区分ごとに男女別の比較をする際に最も妥当であると考えられる推計手法を取ったということです。

 

次に民間です。

こちらの生涯年収は統計データ上、全ての手当(残業代など)を含めて推計しています。

先ほども書いた通り、公務員のほうは地域手当しか含んでいないため、公務員と民間の生涯年収の数字をそのまま比較するのは妥当ではありません(民間のほうが高めに出てしまっている)。

民間を掲載したのは、公務員の男女生涯年収差に比べ、その差が大きいという点を示すことが目的です。

その点を注意してご覧ください。

 

最後に、公務員・民間ともに生涯年収に退職金は含んでいませんのでその点もご承知おきください。




公務員男女の出世格差について

以上の通り、民間に比べれば小さいものの、それでも公務員の男女収入格差が存在していることが分かったかと思います。

この理由は、簡単に言えば出世格差です。

 

具体的なデータを示すと、女性の管理職割合は以下の通りです。

種別 女性就労者割合 課室長相当職以上の女性割合
国家公務員 18.6% 4.4%
地方公務員(都道府県) 38.8% 9.0%
地方公務員(指定都市) 32.3% 13.5%
地方公務員(市区町村) 40.8% 14.1%
民間企業 43.8% 部長級6.3%
課長級10.9%

内閣府「男女共同参画白書 平成30年版」、内閣官房「女性国家公務員の登用状況及び国家公務員の育児休業等の取得状況 のフォローアップ」、総務省「平成25年地方公務員給与実態調査(男女別職員数)」を活用して算出

 

女性職員数の割合に比べて女性管理職の割合が圧倒的に低いことが分かりますね。

(見ての通り、公務員に限らず民間も低いです。アメリカや欧州各国では女性管理職割合は軒並み30%を超えていますので、日本の慣行によるものですね。)

 

なお、公務員と民間を比べた場合、都道府県と民間はほぼ同等の割合であり、そんなに大きな出世格差がないというのが分かるかなと思います。

一方で先ほども見てきた通り、生涯年収の格差は民間のほうが大きいです。

この要因としては、公務員は民間に比べ、幹部とそれ以外の給料格差が小さい(実際公務員は、管理職である課長級と、課長補佐級の年収はそこまで大きく変わりません)といったことが挙げられるでしょう。

→逆に言えば、幹部になっても圧倒的に稼げるというわけではないということです。大きく稼ぎたいなら迷わず民間です。

 

まとめ

  • 地方公務員の場合、36〜39歳頃になると徐々に給料の男女格差が出てくる
  • その後、年齢が高くなるに連れて格差も大きくなる(管理職は男性のほうが圧倒的に多いことに起因)
  • ただし生涯年収ベースで見ると、公務員は男性を100とした場合に女性97〜98であり、民間の男性100、女性73〜81に比べ格差は小さい

以上です。

 

要は、官民問わず日本全体で給与面・出世面での男女格差が存在するものの、その中で公務員は給与格差がかなり小さい職業であるということが言えます。

 

もちろん民間には数多くの企業がありますから、女性がバリバリ出世して稼ぐ企業も存在しますが、平均的に見れば公務員は女性にとって魅力的な部分が大きいと言えるのではないでしょうか。

(給与面だけでなく、育休などの子育て面も充実しています)

 

今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!

 

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