こんにちは、元公務員のシュンです!
いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!
今回は、公務員の初任給をテーマに解説します。
内容は以下の通り。動画でも解説します。
- 国家公務員と地方公務員の行政職の初任給【データに基づく金額】
- 初任給に騙されるな!【エリアによって手取りがまるで違う】
なお僕自身は、県庁に10年勤務、財政課や銀行出向など、お金絡みの部署が長かったのもあって統計データ好きです。
今回も国の統計データから分析してます。
公務員の初任給をシュンが動画で解説!
国家公務員と地方公務員の初任給【国の統計データ】
国家公務員(行政職)の初任給
学歴区分 | 初任給 |
総合職(院卒) | 213,000円 |
総合職(大卒) | 186,700円 |
一般職(大卒) | 182,200円 |
一般職(高卒) | 150,600円 |
人事院「令和元年人事院勧告 国家公務員の初任給の変遷(行政職俸給表(一))」より
国家公務員の初任給は上記の通り。
なお、官僚=総合職(大卒)と一般職(大卒)は初任給で見ると4500円しか変わりませんが、出世に異常な差があるので、給与格差もあっという間に広がります。
国が示すモデル給与例を見れば一目瞭然。
総合職の35歳課長補佐は年収720万、一般職の35歳係長は年収450万となっています。
地方公務員(行政職)の初任給
続いて地方公務員の初任給です。
都道府県庁(一般行政職)の初任給
学歴区分 | 初任給 |
大卒 | 184,574円 |
短大卒 | 164,190円 |
高卒 | 150,627円 |
総務省「平成30年地方公務員給与実態調査」より。以下同じ。
指定都市(一般行政職)の初任給
学歴区分 | 初任給 |
大卒 | 180,643円 |
短大卒 | 160,533円 |
高卒 | 147,807円 |
市役所(一般行政職)の初任給
学歴区分 | 初任給 |
大卒 | 181,597円 |
短大卒 | 162,159円 |
高卒 | 149,558円 |
町村役場(一般行政職)の初任給
学歴区分 | 初任給 |
大卒 | 179,295円 |
短大卒 | 160,275円 |
高卒 | 148,021円 |
そんなに差はないですよね?
しかし、、、。
初任給に騙されるな!
初任給と、手取りのベースになる月収(=給与)は違う!
そんなに初任給って変わらないんだと思われた方がいるかもしれません。
しかし、初任給はあくまで「給料」です。
給与(月収)とは違います。
給与(月収)とは、給料に各種手当(例えば、物価調整のための地域手当、残業手当、アパートを借りていれば住居手当、子どもがいれば扶養手当など)が加わったものです。
この給与から税金が引かれたものが手取りになります。
手当なんて似たりよったりじゃないの?と思ったかもしれませんが、まるで違います。
特に「地域手当」がポイントです。
例えば、国家公務員の場合、特別区内勤務であれば給料×20%の額が地域手当になります。
つまり18万円の初任給なら3.6万円です。
都庁も20%、指定都市も軒並み地域手当が高いです。
一方で、町村ではこれがほぼつきません(1%とか=給料18万円なら1800円)。
残業代などは人によって差がつくわけですが、地域手当は能力差ではなく、単なる勤務エリアの差です。
そしてこの地域手当の存在は、月収から生涯年収に至るまで大きな意味を持ってきます。
初年度の手取り例
では、具体的に地域手当がどれだけ差を及ぼすのか、勤務初年度の手取りを計算してみます。
勤務初年に貰える手当として、地域手当以外にも、超過勤務手当(残業代)や住居手当(アパート借りる人のみ)等を貰える方がいると思います。
ただし残業代と住居手当は人によってバラツキがあるため、地域手当のみを貰うケースに単純化して手取りの例を計算してみます。
区分 | 手取り例 |
国家公務員一般職(大卒)(本省勤務) | (初任給182,200円+地域手当20%)-30,000(税・年金等)=189,000円 |
国家公務員一般職(大卒)(5級地勤務=広島・福岡・京都など) | (182,200円+10%)×-30,000=170,000円 |
都道府県(大卒) | (184,574円+5%)-30,000=164,000円 |
指定都市(大卒) | (180,643円+10%)-30,000=169,000円 |
市(大卒) | (181,597円+4%)-30,000=159,000円 |
町村(大卒) | (179,295円+1%)-30,000=151,000円 |
※地域手当の率は地方公務員給与実態調査から概ねの平均値を採用
※なお、新規採用の場合の4月の税金は5,000円程度で済みますが、5月からは年金・健康保険料も加わり約30,000円程度引かれます。そのため、上も30,000円で計算しています。
以上の通り、数千円程度しか差がなかった初任給が、地域手当の影響で最大4万円近い差に広がることが分かります。
さらに、ボーナスは「(給料+地域手当+扶養手当)×支給月数」という計算式で決まるため、こちらも地域手当の差がモロに直結してきます。
→例えば東京都(手当20%)と町(手当1%)で比較した場合、初年度のボーナスは、なんと地域手当の影響だけで年間約14万円(4ヶ月分のボーナスが貰えるケースで計算)の差が出ることになります。
このように、初任給は一見あまり変わらなくとも、地域手当の影響により、月収とボーナス、ひいては年収に大きな差が出ます。
生涯年収ベースで見た場合、例えば指定都市(地域手当平均10%程度)と町村(地域手当平均1%程度)では5千万円近い差につながります。
→もちろん地域手当による影響だけではなく、指定都市と町村で見た場合、給料も指定都市のほうが高めなのですが、それでもこうした差の影響の多くが地域手当によるものです。
ただし、そもそも論でいくと、地域手当の目的は物価差を調整することです。
つまり、地域手当が高いところは、家賃やら土地やら各種物価も高いため「支出」も大きいということです。
例えば、都内の土地と町村の土地を比べれば、同じ面積でも数千万円の差があるなんてことはザラです。
お金において重要なのは収入ではなく、(収入−支出)の額ですので、その点も踏まえて見る必要があります。
→とは言っても、例えば隣接する市と町で地域手当が数%異なることもありますから、その場合、町に住んで市役所に通えば、町役場に勤務するよりもかなり豊かな生活を送れるということになります。(もちろんお金の面だけで見た話ですが)
まとめ
- 初任給は国も自治体もそこまで変わらない。
- しかし、初任給はあくまでベースとなる給料。給与(月収)=給料+手当の数字が重要。
- 特に地域手当の差が大きく、都会(地域手当高)と田舎(地域手当低)では月収に大きな差が出る。
- ボーナスの積算にも地域手当の額が影響するため、月収・ボーナス・年収全てにおいて地域手当の影響が出る。
- なお、生涯年収で見た場合には数千万円の開きになるケースもある。
以上、公務員の初任給には騙されるな!というテーマでお送りしました。
少なくとも初任給だけ見て、なんだどこでもたいして変わらないんだ!と選ぶのは早計だということですね。
しっかりその裏側、特に地域手当を分析するようにしましょう。
(総務省で自治体ごとの統計データを出していますので、気になる方は確認してみてください)
今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!
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↓国家・地方公務員の年齢別給与・年収や生涯年収など、「ありとあらゆる公務員給料データ」をまとめた記事はこちら(多分日本一詳しいです)
↓公務員になりたい方向けに、公務員試験対策や公務員予備校について以下でまとめています。(僕自身は国家総合職の1次上位合格、県庁2位合格、大手予備校模試関東2位といった実績があるため、その辺りが記事の信頼性担保に繋がるかなと思います)
↓社会人(民間・公務員・フリーターなど)から公務員を目指す方の場合、以下の記事から読むのがおすすめです。(特に無料ハンドブックは社会人が試験を目指す時の全体像が詳しく分かるのでぜひどうぞ)