公務員の出世・学歴

消防士(消防官)の階級について。警察と違って地方公務員の天下です。

こんにちは、元公務員のシュンです!

いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!

 

今回は、消防士の階級がテーマです。

 

階級というと、巡査や警部など、警察官のほうがそのイメージが強いかもしれませんが、消防士にも細かく階級があります。

 

以下では、

  • 消防士の階級はいくつあるの?それぞれ何人くらいいるの?
  • 消防士の階級制度の大きな特色は?(特に警察との違い)
  • 消防士の階級アップのために必要なことは?
  • (階級トップである)消防総監の大学名やお給料は?

といった点について答えていきます。




消防士の階級一覧表

以下が、消防士の階級と、その具体的な職名及び人数をリンクさせた一覧表です。

階級 職名 人数
消防総監 東京消防庁消防長 1人
消防司監 東京消防庁次長
消防長(政令指定都市)
約20名
消防正監 東京消防庁部長、消防方面本部長
消防長(人口30万以上市町村)
約60〜70名
消防監 東京消防庁参事、消防方面本部副本部長
部長・署長(人口30万以上市町村)
消防長(人口10万以上市町村)
約1700人
消防司令長 副署長・課長・指揮隊長(人口30万以上市町村)
消防長(人口10万未満市町村)
約5900人
消防司令 課長補佐・係長・指揮隊長(人口30万以上市町村)
署長・課長・指揮隊長(人口10万未満市町村)
約21,500人
消防司令補 主任・隊長(人口30万以上市町村)
課長補佐・係長・隊長(人口10万未満市町村)
約41,600人
消防士長 副主任・隊長・機関員・隊員(人口30万以上市町村)
主任・隊長・機関員・隊員(人口10万未満市町村)
約44,500人
消防副士長 係員・機関員・隊員 約16,500人
消防士 係員・機関員・隊員 約28,900人

消防士から消防総監まで、10の階級が法律に基づき定められています。

(厳密に言えば、法律の基準に基づいて自治体が規則で定めています)

 

つまり、一般的に呼ばれている「消防士」というのはただの下っ端の階級の名称だということですね。

また警察官と比して消防官とも呼ばれたりしますがこれも俗称です。

法律上の正式名称は「消防吏員」と言うのですが、まぁ知らないし、使わないですよね(笑)




消防士の階級制度の大きな特徴は?(警察との比較)

警察は国のキャリアが地方を支配するが、消防は地方の天下

警察も同じような階級システム(巡査〜警視総監)を持っていますが、その運用実態には大きな違いがあります。

 

警察の場合、階級の上位はほぼ全てをキャリア(国家公務員総合職として警察庁に採用された人)が占め、地方公務員採用の生え抜き(ノンキャリア)の出世には限界があります。

 

一方で、消防はそのほぼ全てを地方公務員生え抜きの方が占めています。

 

警察の場合、地方警察を国が直接コントロール

警察の場合、1位と2位の階級である警視総監と警視監は全員がキャリアです。

警視総監は警視庁のトップですし、警視監は道府県警の本部長などがそれに当たります。

つまり、キャリアが地方警察に出向してトップとして君臨しているということです。

 

さらに、警視正という4位の階級になると、全員が強制的に国家公務員となります(地方公務員として採用されて出世をした場合、その時点で国家公務員に任命される)。

警視正というのは警視庁の主要課長、道府県警本部の部長・主要課長級です。

 

つまり、地方警察のトップ(警視総監や本部長)だけが国からの出向者であるというわけではなく、その幹部も国家公務員で占められているということです。

 

よって、国が完全に地方警察をコントロールしている形になっています。

 

消防の場合、総務省の消防庁はあくまで助言・指導機関に過ぎない

国と地方が強烈な縦の関係にある警察と異なり、総務省消防庁と地方の消防本部(東京消防庁、各市町村消防)はそういった関係にはありません。

 

総務省消防庁は、あくまで地方の消防に対して助言や指導を行う機関に過ぎず、地方への指揮命令権がありません。

そもそも、総務省の消防庁には消防士がいません。

(警察庁であれば、キャリアとして採用されるとまずは警部補の階級につくことになります)

 

また、警察庁に採用されたキャリアは基本的に警察庁(都道府県警を含む)の中で異動することになりますが、消防庁は総務省採用者の一つの異動先に過ぎず(消防庁の生え抜き採用も毎年1〜2名程度いますが、メインストリームではありません)、消防の専門家というよりも、総務省採用の事務・技術職員が在籍している職場であるということになります。

 

東京消防庁と他の市町村消防との間にも序列は無い

消防士の階級のトップは消防総監であり、これは東京消防庁の消防長以外がなることは出来ません。

 

よって、階級上は消防総監が他の市町村の消防長(階級上の消防司監や消防正監)より上にありますが、かと言って、消防総監が他の市町村の消防長に指揮・命令をすることは出来ず、あくまで対等の立場であるということになります。

 

階級アップのためには何が必要?

昇任試験に合格する必要がある

消防士の階級昇進については、多くの公務員と同様に年功序列で出世していく仕組みのところもあるようですが、基本的には昇任試験制度を用いているところが多いようです。

 

警察も昇任試験に受からなければ階級が上がらないので、この点は同様ですね。

一方で警察の場合、キャリアはいきなり警部補になり、その後昇任試験無しにどんどん階級が上がっていく仕組みになっているため、昇任試験をコツコツ受けて上に上がっていくノンキャリアとは大きな差があります。

 

消防の場合は皆が同じ立ち位置で競う形になりますので、その点は大きな違いです。




階級トップの消防総監について

消防総監の出身大学

消防士の階級トップである消防総監の出身大学一覧です。

階級 ( )は任期 大学
村上研一(2017〜) 名古屋大
高橋淳(2015〜2017) 埼玉大経済
大江秀敏(2013〜2015) 芝浦工業大工
北村吉男(2011〜2013) 北海道大院
新井雄治(2009〜2011) 法政大法
小林輝幸(2007〜2009) 相模工業大(湘南工科大)工
関口和重(2005〜2007) 京大法
白谷祐二(2003〜2005) 中央大法
杉村哲也(2001〜2003) 日大経済
池田春雄(1999〜2001) 日大理工

 

これは、警視庁のトップである警視総監と比べると非常に面白いですね。

警視総監は直近10名のうち8名が東大法、2名が京大法です。

 

警視総監は警察庁のキャリア官僚であり、しかも警察庁は完全な東大閥なので、このような違いが出てきます。

 

どっちが良い悪いではなく、そういう仕組みだということですね。

 

消防総監の給料

消防総監は東京都に任命された地方公務員ですから、東京都からその給料が出ています。(警視総監は地方に出向している国家公務員ということなので国から給料が出ます)

都庁の局長などと同様、指定職という幹部職員の給料を貰っています。

 

東京都の「平成29年職員の給与に関する報告と勧告」に記載されている指定職の平均給料を用いて計算した消防総監の給料は以下の通りです。

 

給与(月収) 約101万円

ボーナス 約446万円

年収 約1658万円

 

おわりに

ここまでをトータルで見てみると、警察はもちろんのこと、都道府県や市町村と比べても、より完全な地方自治に近い(国から独立している)組織が消防であるという印象を持ちます。

 

例えば都道府県庁や市役所の場合、官僚が出向してきて副知事・副市長のポジションにいたり、若手官僚が主要課長になったりするのはよくあります。

 

県庁時代、個人的には若手のキャリア官僚がいきなり上のポジションについてどうこう指示を出すという仕組みはバカバカしい(一方で若手の生え抜きも上に立てる仕組みになっていれば良いですが、そうなっていない)と思ってましたので、消防はなかなか素晴らしい仕組みを取っているなというのは率直に感じたところです。

 

今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!

 

>>消防士の記事まとめ(給料、試験日程・内容など)はこちらです