公務員の出世・学歴

警視庁の階級について。大幹部には警視庁採用者の席はほとんどない?

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今回は、警視庁における階級がテーマです。

 

警視庁の階級に関して、階級と職名(部長、課長など)のリンク表、キャリアとノンキャリアの差、階級ごとの人数、階級ごとの年収、そして、最高階級である警視総監の学歴をまとめました。




警視庁の階級と職名

階級自体は全警察共通

そもそも、警察官の階級というのは警察庁、警視庁、道府県警とも全て統一されています。

つまり、「警視総監」という階級が一番上で「巡査」が一番下の全9階級です。

 

一方、例えば「警視庁の総務部長のなら階級は警視監」みたいに、職名と階級との繋がりはある程度決まっています。

 

警視庁の階級と職名一覧

階級と職名の繋がりを一覧にしたものが以下です。

階級 警視庁における職名
警視総監 警視総監(キャリア)
警視監、警視長 副総監、総務部長、警務部長、警備部長、公安部長、刑事部長(キャリアの警視監)

交通部長、地域部長、生活安全部長、組織犯罪対策部長(うちいずれか2部長がキャリアの警視監もしくは警視長、2部長がノンキャリア叩き上げの警視長)

警視長 主要参事官、警察学校長、第一・四・八方面本部長
警視正(ここから上は、地方公務員として採用された場合であっても、国家公務員の身分となり、給料も国から支払われる) 参事官、主要課長(捜査第一課、公安第三課、保安課など)、方面本部長、首席監察官、警察学校副校長、第一機動隊長、大規模署長(新宿・渋谷・池袋等)など
警視 課長、方面本部副本部長、隊長、理事官、管理官、大規模署副署長、中小規模署長など
警部 本部係長、機動隊中隊長、中小規模副署長、幹部交番所長など
警部補 主任、執行隊小隊長
警察署課長代理・係長、交番所長など
巡査部長 係員、警察署主任、分隊長
(巡査長)※正式な階級ではない (指導係員)
巡査 警察署係員

 

なお、国の警察庁本庁には巡査・警視総監は存在しませんし、道府県警本部にも警視総監は存在しません(小さな県では警視監も存在しない)。

よって警察の全階級が唯一勢揃いしている組織が警視庁ということになります。

 

ノンキャリア(警視庁採用者)の限界

表の中にも書いた通り、警視総監と主要部長(警視監)のポストは警察庁のキャリア(国家公務員総合職合格後、警察庁採用)が出向してきて独占しています。

 

警視庁で採用された生え抜きであるノンキャリアの最高ポストは主要部長を除く2部長、しかも階級は警視長が最高ということになります。(退職日に警視長から警視監に昇任するケースはあります)

 

叩き上げの出世には大きな限界があるということですね。

 

なお、有名な捜査第一課長(警視正)はノンキャリアがつくことになっています。

殺人事件などを扱う課でもあり、現場経験の少ないキャリアが勤めるのは荷が重いということがあるようです。




警視庁の階級ごとの人数

警視庁の警察官は43,566人います。(平成29年4月1日現在)

これを階級ごとに当てはめると以下のようになります。

階級 ( )は主な職名 人数
警視総監(警視総監) 1人
警視監(副総監、主要部長) 6〜8人程度
警視長(部長、主要参事官) 10人程度
警視正(参事官、主要課長、大規模署長) 40〜50人程度
警視(課長、理事官、管理官、中小規模署長、大規模副署長) 約1,100人
警部(本部係長、中小規模副署長) 約2,200〜2,600人
警部補(主任、交番署長) 約12,600人
巡査部長(係員、警察署主任) 約13,100人
巡査長(指導係員)※正式な階級ではない 約13,500人
巡査(警察署係員)

警視長・警視正の人数に少し自信がないのですが、そう大きなズレはないと思います。

なお、警視以下の人数は、全国の警察官が各階級を構成する概ねの比率(警視は2.5%、警部は5〜6%、警部補以下29〜31%)に当てはめて算出しています。

 

警部以上の階級は一気に人数が減る構成になっています。

 

警察庁・警視庁・道府県警の序列

警察庁と警視庁と道府県警の間には序列があります。

さらに細かく言えば警視庁の本部と警察署の間にも序列があります。

 

例えば、同じ「部長」であっても、

警察庁の部長、警視庁の主要部長(警視監)>警視庁の部長、道府県警(中〜大規模)の主要部長(警視長)>道府県警の部長(警視正)

といった感じです。

要は職名ではなく階級を見ればその序列が分かるということです。もちろん同じ階級でも細かな差はあります)

 

警視庁の部長(警視庁内のナンバー3〜9あたりの警視監)は小さな県警のトップである本部長(警視長)より上だったりするわけです。




警視庁の階級ごとの年収

警視庁幹部(警視正以上)の年収

(階級警視正)参事官、主要課長クラス 900〜1000万程度手取り630〜700万程度)

(階級警視長)部長、主要参事官クラス 1250万程度手取り860万程度)

(階級警視監)部長 1398万or1507万(手取り930万or1040万程度)

(階級警視監)副総監 1772万(手取り1120万程度)

(階級警視総監)警視総監 2192万(手取り1350万程度)

 

警視正以上の階級は国家公務員になり(警視庁採用のノンキャリアの場合、地方公務員を辞める)、国から給料が支払われることになります。

国の本府省の役職に当てはめれば、警視正が本府省の室長・企画官クラス、警視長が本府省課長クラス、警視監が本府省の局次長・部長クラス、副総監が本府省局長クラス、警視総監が内閣府審議官クラスといった感じですね。

 

警視庁職員(警視以下)の給料

警察庁から出向して来ている方を除き、警視以下の方は東京都から給料が払われます。(要は地方公務員です)

 

警視以下の方の年収などを年齢別にまとめた記事は以下です。

(あくまで年齢別の平均ですので、多数派である巡査・巡査部長・警部補の年収がベースです。警視や警部の場合はもう少し割増しをして見ていただければと思います)

 

最高階級である警視総監の学歴

最後に、警視庁の階級社会を象徴するようなデータとして、警視庁のトップ階級である歴代警視総監の学歴(直近10名)を見てみましょう。

階級 ( )は任期 学歴
吉田尚正(2017〜) 東大法
沖田芳樹(2016〜2017) 東大法
高橋清孝(2015〜2016) 東大法
高綱直良(2014〜2015) 東大法
西村泰彦(2013〜2014) 東大法
樋口建史(2011〜2013) 東大法
池田克彦(2010〜2011) 京大法
米村敏朗(2008〜2010) 京大法
矢代隆義(2007〜2008) 東大法
伊藤哲朗(2006〜2007) 東大法

 

まさにキャリア警察、東大閥。

とにかく強烈ですね。

 

おわりに

以上、警視庁の階級に関するデータをまとめました。

 

僕は元県庁職員なのですが、県庁の場合、知事は選挙で選ばれますし、副知事は生え抜きか、2人副知事がいればうち1人が官僚の出向者、部長は数名いたら1人だけ官僚の出向者で残りは生え抜き、みたいな形になっています。

しかも出向する官僚は一旦国家公務員を辞めて地方公務員になるという形を取ります。(給料も県が出します)

 

それに比べて警視庁の場合、幹部はほとんど警察庁の出向組が占める上、そもそも警視正になったら生え抜きも国家公務員となる、つまり、幹部は全員国からお給料を貰っているわけです。(他の道府県警もトップのほうは同じような構造)

 

都道府県警という地方機関の形でありながらも、実質的には国が直接コントロールするという構造は警察ならではと言えるでしょう。

 

今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!

 

>>警察官全体の階級ごとの人数や出世年齢目安について書いた記事など、警察官に関連する各種記事をまとめたものはこちらです。