こんにちは、元公務員ブロガーのシュンです!
いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!
今回は、読者さんから以下のような質問がありましたので、公務員試験の配点方式を解説しつつ回答をしてみます。
こんにちは。
今年、社会人から某自治体の試験を受けて合格しましたが、シュンさんのブログは大変参考になりました。ありがとうございました。 ひとつ疑問があります。
自治体の採用試験は、人事委員会が首長に採用候補者の順位順の名簿を渡します。
シュンさんは次席とのことですが、席次というのは、最終試験(例えば3次試験)の順位が、そのまま最終順位になるのでしょうか?
それとも、1次から3次が合算して名簿順位になるのでしょうか?
私の就職予定の自治体は、1次~3次は毎回リセット方式です。
本記事の内容
- 公務員試験の配点方式【国は筆記、地方は面接重視】
- 配点方式ごとの合格順位の考え方
- 合格順位がその後の公務員生活に与える影響
僕自身は某県庁に2位で合格しましたが、そもそも合格順位って仕事の能力に関係あるの?といった点もあわせて解説していきます。
公務員試験の配点方式は2つ
積み上げ方式かリセット方式
公務員試験の点数のつけ方は2つあります。
積み上げ方式とリセット方式です。
- 積み上げ方式:1次試験〜最終試験までの点数を合計して合否を判断。
- リセット方式:1次試験は1次試験の得点で合否判断、2次試験は2次試験の点数のみで合否判断(1次試験の点数は無視)、3次は、、、(以降同じ)
国家公務員試験の場合は積み上げ方式です。
例えば国家総合職の場合、以下の通りの配点となっており、合計得点で順位が決まります。
試験内容 | 配点比率 (試験全体は15) |
|
基礎能力試験 | 2 | 1次試験 |
専門試験(択一式) | 3 | 1次試験 |
専門試験(記述式) | 5 | 2次試験 |
政策課題討議試験 | 2 | 2次試験 |
人物試験 | 3 | 2次試験 |
国家公務員の場合、試験に合格後、各省庁に出向いて採用面接を受ける(=官庁訪問)わけですが、試験の最終合格順位(や出身大学)は官庁訪問時常について回ります。
例えば、財務省や警察庁などの人気省庁の場合、一定の順位以上で合格をしていないと、いくら官庁訪問でアピールしても採用は難しかったりします。
(とは言え、最も人数が多いラインの人たちは面接次第で決まる要素も大きいので、面接軽視とまでは言えませんが)
一方、地方公務員の場合はリセット方式を取るところも少なくありません。
地方上級でもリセット方式は珍しくないですし、市役所の場合は結構多いです。
なお、僕が行っていた県庁は積み上げ方式でしたが、2次面接(討論・個別)の配点合計が筆記(教養・専門・論文)の配点合計の2倍以上だったので、実質的にリセット方式に近い部分がありました。
→積み上げ方式を行っているところはこんな感じのところが多いです。つまり、地方はどこも面接重視と言っていいでしょう。
面接重視に当たり、予備校の優位性は高まりつつある
地方の面接重視の傾向を考えると、その対策の仕方にも注意が必要です。
面接対策は大まかに、
- 予備校で対応する
- ジョブカフェや学校の就職課で対応する
- 民間を併願する中で面接能力を鍛える
といった方法があります。
基本的に、民間に比べると公務員試験の面接の難易度は低いため、民間併願の対策は有効に働くケースも多いです。
一方、民間を受けるつもりがない場合の方も多いと思います。
その場合、予備校もしくはジョブカフェや就職課で対策をするといった形になりますが、公務員試験のノウハウで言えば当然ながら予備校に軍配が上がります。
(しかも予備校はコース生なら模擬面接を無制限で受けられるところが主流です)
リセット方式など、面接を重視するところであればあるほど予備校の優位性が高まっている側面があると言えるでしょう。
【余談ですが】リセット方式の是非について思うこと
地方上級試験の場合、試験勉強はかなり大変なので(市役所はそうでもないですが)、リセット方式の場合はその努力が恵まれない面があるのも事実です。
しかし、実際問題として考えると、1次をギリギリで突破する人だろうと、ほぼ満点の人だろうと、実務能力にはたいして関係ありません。
それならば、話をしてみて、一緒に働きたいと思う人、仕事ができそうな人、魅力的な人を優先的に取るというのは非常に合理的な判断だと言えます。
受験生側としてはそこに不満を持つのではなく、その点も踏まえた対策(面接の対策も含めトータルで考える)をしていく必要があると言えます。
公務員試験の合格順位の扱いはどうなるのか?
それでは、「試験の合格順位ってどうなるの?」という読者様のご質問の件ですが、結論としては以下です。
- 積み上げ方式のところであれば、合計得点で合格順位を判断。
- リセット方式のところであれば、最終面接試験の順位が合格順位。
つまり、リセット方式の場合は、最後の面接で最も高得点を取った人が首席という扱いになるわけですね。
ちなみに僕のところは積み上げ方式だと書きましたが、試験点数を開示しに行ったところ、教養、専門、論文、面接1回目、面接2回目のそれぞれの得点を伝えられた上、最終順位のみ伝えられる形でした。
そもそも合格順位はその後の出世や異動に関係あるのか?
合格順位が出世に関係あるのかどうかというのは以下の記事に詳しく書いています。(某県庁の元人事課の方に聞いています)
要は、
- 合格順位は出世に関係ない。
- せいぜい最初の配属の際の参考材料になるだけ。
というのが結論です。
国家公務員の場合はよく分かりません。
省庁に入る段階で順位が重視されていることを考えれば、おそらくその後も引きずられる傾向にあるでしょう。
(少なくとも大学名は間違いなく関係あります。警察庁の東大閥は有名です)
一方、先ほども書いた通りですが、筆記の能力と実務能力にはほぼ関係ありません。
まして、今後の公務員の仕事は単なる暗記で済むような業務はどんどん少なくなり(それこそAIにでも任せれば済む話です)、「自分で考えて仮説を立てて行動し、軌道修正を繰り返していく力」が重要になります。
「答えがあることを前提にその正解を当てるだけの能力(筆記試験で重視される能力)」だけが高いと、失敗を恐れ自発的な行動を妨げるという意味ではむしろマイナス要因にすらなり得ます。
そういう意味では、今後の人口減少を踏まえた上で公務員はどうあるべきかというビジョンと自分の目標を持っているかどうかといった点や、日々仮説を立て行動して失敗したら修正するというトレーニングを繰り返しているかといった点こそが、公務員として優秀とみなされるかどうかの境目になってくると言えるでしょう。
まとめ
- 公務員試験の配点は、1次〜最終試験までの合計得点により合格者を判断する積み上げ方式と、1次試験は1次試験のみ、2次試験は2次試験のみで合否の判断をするリセット方式がある
- 国家公務員試験は積み上げ方式を採用。地方公務員の場合は積み上げとリセットが混在(地方の場合、積み上げ方式の場合でも面接の配点が非常に高く、実質的にリセット方式に近いところが多い)
- 合格順位については、積み上げ方式は合計点で順位を判断、リセット方式は最終試験の点数で順位を判断
- (特に地方公務員の場合)合格順位はその後の公務員生活においてあまり意味を持たない
以上です。
今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!
>>公務員試験対策(筆記・面接)についてまとめた記事はこちらです。