こんにちは、元公務員ブロガーのシュンです!
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今回は、小紫雅史奈良県生駒市長の「公務員の終身雇用制度は10〜15年で崩壊する」というダイヤモンドオンラインの記事をベースに、公務員の将来像を深掘りしていきます。
本記事の内容
- 公務員の安定や終身雇用は幻想?【終身雇用は10〜15年で崩壊】
- 終身雇用崩壊の理由1〜3
- 公務員はどうすりゃいいの?
自治体のリーダーである首長が、公務員の終身雇用の崩壊について言及したことは大きな価値があると思います。
公務員の安定や終身雇用は幻想?
終身雇用は10〜15年で崩壊するby生駒市長
私は公務員の終身雇用は10~15年後、2030年から2035年をめどに崩壊していくと見ています。
引用 2019.6.2 ダイヤモンドオンライン「公務員の終身雇用制度は10〜15年で崩壊する」
なかなか衝撃的な文章です。
これを書いた小紫生駒市長は、環境省に勤めていた元官僚で、45歳と若手の首長です。
生駒市は、公務員の副業を解禁するなど、先進自治体として注目されています。
小紫市長の記事の内容をざっくりまとめると以下のような感じになります。
- 公務員の終身雇用は2030〜2035年で崩壊。
- 理由は3つ。
- 理由1:一層の人口減少が確定的で、高齢者割合は増える。つまり、税収減って社会保障費が増え続けるんだから人件費もたない。(ちなみに生駒は結構財政豊かだけど厳しい)
- 理由2:10年も経ったらルーチンなんて全部AIがやるっしょ。
- 理由3:法令に則った定例業務やってりゃいい時代は終わり。これからは答えのない課題に知恵を振り絞って戦っていく時代。その際、人材の同質性は不要。→優秀な職員はどんどん出世させたり、中途でガンガン流動的に人材を採用する。
- じゃあ、どんな公務員が今後必要かと言えば、キーワードは「始動力(リーダーシップ)」と「協創力」。
- 始動力は、答えがない仕事に向き合うため、仮説を設定し、失敗を恐れずガンガン挑戦していく力。
- 協創力は、お金とか資源も限られてる中で市民に自らやってもらう部分はやってもらうことが必要、そのために市民と信頼を築いて一緒にやっていく力。
- これらの力をつけるために副業もドンドン応援すべし、地域で副業をやりたいという職員は必ず本業でも伸びる。
- 今後、成長の機会を与えられない自治体は消えるよ。
公務員の終身雇用が崩壊する理由1〜3
公務員の終身雇用が崩壊する理由について深掘りしていきます。
先ほどまとめたものの抜粋ですが、小紫市長は以下の3つを終身雇用崩壊の理由として挙げています。
- 理由1:一層の人口減少が確定的で、高齢者割合は増える。つまり、税収減って社会保障費が増え続けるんだから人件費もたない。(ちなみに生駒は結構財政豊かだけど厳しい)
- 理由2:10年も経ったらルーチンなんて全部AIがやるっしょ。
- 理由3:法令に則った定例業務やってりゃいい時代は終わり。これからは答えのない課題に知恵を振り絞って戦っていく時代。その際、人材の同質性は不要。→優秀な職員はどんどん出世させたり、中途でガンガン流動的に人材を採用する。
僕も過去に似たようなことを書いているのですが(手前味噌ですいません)、
要は、別に小紫市長が言っているのは難しい予測でもなんでもなく、現状を冷静に分析すれば本来誰でも分かる話です。
むしろこういう真っ当な意見を発信する政治家なり公務員なりが少ないことに、個人的には凄く違和感があります。
そういう意味でも今回の提言は目立っているわけですが、本来、この危機感はほぼ全ての首長が持っていないとまずい認識です。
さて、この理由の中身についてもう少し詳しく見ていきます。
理由1や理由2については、一つの未来予測として押さえておくべき話ということになります。
人口の話はほぼ確定的ですし(人口予測というのは基本的に外れません)、AIも現実的に以下の記事のような話がある以上、これもほぼほぼ確定的です。
最も頭のいい人たちが揃っている棋士とAIの関係がこうなっていることを踏まえれば、公務員のルーチンワークなどいくらでも・・・と考えるのが自然でしょう。→後は投資の問題。
今からできる具体的な対策として最も重要なのが理由3への対応です。
これは、現状待った無しで対応していくべき改革の一つであると言えますが、僕の勤めていた県庁もそうでしたが、まずほとんどの自治体においてその意識が低いです。
→そのため、いまだに粛々と前例踏襲をベースにクリアする仕事のやり方が賞賛されたりしています。
これは、首長や管理職の方が過去に経験したことがない事態であるため、危機意識はあっても、対応の仕方が分からないという点にその原因があります。
新しいことをやるとどうしても痛みを伴いますし、また、面倒です。
だから、それを避けようとするのが人の常です。
また、今の所、過去のやり方の延長でなんとかやっていけているのも実態です。
だから、将来はなんとなくヤバいと思いつつも動かないわけです。(ひょっとしたら本気でヤバいと思っていない、もしくは、とりあえず自分が定年まで乗り越えればいいだろうと思っている方もいるのかもしれませんが・・・)
解のあるものに対する仕事のやり方(→前例踏襲で対応すればOK)と解のないものに対する仕事のやり方(→仮説を立ててトライアンドエラーを繰り返す必要)では、まるで対応方法が異なります。
後者では、むしろ失敗を賞賛するような組織体制が必要になりますし、過去からの前例踏襲でやっている無意味な仕事を思い切って切り捨てる必要もあります。
つまり、現場レベルでどうこうしていく問題ではなく、トップダウンで組織の意思統一を図る必要があります。
そういう意味では、小紫市長のようにしっかりしたビジョンを持って改革をできるトップが必要なのは言うまでもありません。
公務員はどうすりゃいいの?
それでは具体的に公務員はどうすりゃいいのか?ということで、小紫市長は「始動力」と「協創力」を挙げています。
つまり、
- 前例に沿ってやってても答えなんかないんだから、自分で仮説を立ててガンガン行動して付加価値を踏み出していこう(=始動力)
- お金も苦しいんだから、何でもやってあげるんじゃなくて、住民も巻き込んで一緒にやってもらっちゃおう(=協創力)
ということですね。
1つ目の始動力については、まだまだAIでも対応できない部分です。
→AIは、これをやれと言われたら圧倒的に強いですが、何をやるのかを指示する(例えば将棋をやれ、囲碁をやれなど)のはまだまだ人間の領域。
法令に沿ってルーチンワークをするのはAIの得意分野なので、人の力は不要になりますが、地域の課題解決について仮説を立て、その解決のためにAIに指示をして色々動いてもらうというのはまさに人の役割ということになります。
AIが発展したとしても、こうした視点で行動できる人間は今後の自治体にも欠かせないというわけです。(いずれこれも全部AIがやってしまうと思いますが・・・)
2つ目の協創力ですが、これは「奇跡の村」と呼ばれた長野県下條村の例が参考になります。
下條村は、職員全員を民間に研修に出すなど意識改革を徹底した後に、住民が互いに労力や資金を提供し合い、地域の水路や生活道路、堤防などの整備や補修をおこなう資材支給事業を打ち出しています。
今では村中に住民施工の道路や水路などが生まれているそうです。
まさにお金がないなら知恵を出そうってやつですね。
ただ、住民を巻き込むとなれば、正面切ってやり取りをする必要があります。(下條村もそのすったもんだは凄かったそうです)
だからこそ、そのベースとなる信頼を作ることのできる力(協創力)を持った人材が必要だよということですね。
これらの2つの力がある人間は今後も行政から必要とされるし、自分から行政を出ても食っていけるよねと生駒市長は書いています。
まさにおっしゃる通りだと思います。
さらに、
- これらの力をつけるためには副業もドンドン応援すべし、地域で副業をやりたいという職員は必ず本業でも伸びる。
ということで副業を推進しているということですね。
非常に一貫性があります。
独立して稼いでいる身だからこそ断言できますが、副業が実業に与える力はめちゃくちゃ大きいです。
特に公務員の場合、民間の方が副業をやる場合に比べ圧倒的にインパクトが強いと言えます。(→公務員は「稼ぐ」意識があまりにも薄すぎるため)
ビジネスの仕組みについて理解がないと、民間から舐められます。
→実際、僕は民間出向経験もあるので身にしみて分かっていますが、民間は公を完全に舐めています。(国レベルでは知りませんが、自治体レベルでは確実にそうです)
実際、舐められてしかるべきと言えるほど、ビジネスがなんたるかについての理解が浅いのも事実です。
そして、そのことで信じられないほどのムダ金を民間事業者に払っています。(→それがフェアな取引なのかどうかが判断できない)
公務員も今後はガンガン副業を解禁して、
- いかにお金を効率的に稼ぎ・使うのかという視点を身につけさせたり、
- 稼ぐためには仮説設定してPDCAを素早く回すのが基本中の基本ですから、こうした力を身につけさせる
という取り組みが必要になると思います。
おわりに
以上総括すると、
公務員の将来は決して安定したものではないことが容易に想像されるから、しっかり自分で力を磨いておきましょう。
ということですが、もちろん個人の取り組みでは限界があります。
むしろ、各個人が意識を変えて成長しようと頑張れば頑張るほど、組織が変わらなければ愛想を尽かされる(転職なり独立なりされてしまう)ことになるでしょう。
職員に成長の機会を十分与えられない自治体は、キャリア形成の視点から見て魅力がなく、新しい時代において、働く場として選ばれなくなるでしょう。
小紫市長は締めでこのように書いています。
この言葉は非常に重いものです。
10年20年先の将来を見据えた時、自治体はまさに岐路に立っていると言えます。
各自治体が今後のビジョンをしっかり持ち、人材育成方針をどう切り替えられるか、これによって、繁栄する自治体と没落する自治体の二極化が一層進むことになるでしょう。
今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!