公務員の仕事vsドリルを売るには穴を売れ。行政はニーズ軽視?

こんにちは、元公務員ブロガーのシュンです!

いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!

 

今回は、価値の高い仕事の本質と公務員の仕事のズレがテーマです。

本記事の内容

  • ドリルを売るには穴を売れ【相手の求める価値は?】
  • 公務員時代に見たズレた仕事1:ポンコツシステムへの改悪
  • 公務員時代に見たズレた仕事2:銀行出向時代の経験

「ドリルを売るには穴を売れ」という素晴らしいマーケティング本と対応させながら、県庁時代に経験した「ズレ」について書いていきます。

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ドリルを売るには穴を売れ→相手の求める価値を見極めよ

今回の記事の内容のベースとなっているのは、敏腕コンサルタント佐藤義典氏の著作「ドリルを売るには穴を売れ」です。

 

この特徴的なタイトルは、

「お客さんはドリルそのものが欲しいんじゃなくて、ドリルで開ける穴に価値を感じているからドリルを買うんだよ」

というところから来ています。

 

要は、お客さんのニーズをきちんと汲み取って商売しろよという話ですね。

 

本書ではマーケティングの基礎、例えば

  • ターゲットを分けろ(主婦層なのか、20代後半の女性なのかなど)
  • 差別化するために手軽軸(早い・安い)or商品軸(最高品質)or密着軸(好みに対応)のどの軸を選ぶか意識せよ
  • 4P(商品・広告・流通・価格)を考えて一貫性を持たせよ

などが解説されていますが、ポイントとしてはあくまでお客様の声(求める価値)が根幹だと書かれています。

お客様の声をどう活かすかを考える際に、上記のような枠組みを用いて一貫性を持たせるといいよということですね。

 

現場に出てしっかり声を聞き、その上で頭をひねってお客様が求める価値を与えることがリターンに繋がるんだという非常に本質的な話です。

 

これこそが仕事の本質だとすれば、公務員時代にこれとは逆、それこそ「ドリルを売るには穴を売れ」ではなく、「ドリルを押し売りするために、必要でもない柱を取り付ける」みたいなことをよく経験しましたということを以下で書いていきたいと思います。

 

公務員時代に見たズレた仕事1:ポンコツシステムへの改悪

行政には様々なシステムがあります。

手当を支給するためのシステム(手当も手当ごとにシステムがあります)、予算執行や編成をおこなうためのシステム、日々のメールや公用車予約などを行うポータルシステムなどなど。

 

県庁時代、既存の予算システムがかなり古いシステムであったため、改修がおこなわれたのですが、なぜか旧システムよりも圧倒的に使いづらいポンコツシステムに改悪されたということがありました。

→動作が遅い、入力作業が煩雑、必要な情報が盛り込まれた帳票が出てこなかったりする(どうでもいい帳票は出てくる)。

 

どうしてあれだけポンコツなシステムに改悪されたのか。

その原因は、まさに設計プロセスにおいてお客様のニーズ(このお客様は職員のことを指します)が度外視されたものだったからとしか言いようがありません。

 

つまり、

  • 現場の職員がどういう作業をするのか
  • 現場として必要な資料は何で、そうでないものは何か

といったことが突き詰めて考えられていなかったわけです。

 

これは、改修をメインで担当をする部署が、そもそもロクに予算編成や予算執行をしない部署であることにも要因がありました。

つまり、部署によってはとてつもなく膨大な作業をしているということを理解できていないし、どこをどうしたほうがいいというアイデアも出てこない。

 

本来最初にやるべきは、まさにお客様の声を聞くこと。

特に予算編成で忙しい課の担当者に現場の問題点や改善希望点をヒアリングする、実際に現場で旧システムを使っている様子を見に行く、テスト段階で現場の人間に使ってもらう、、、。

 

結局できあがったシステムには非難轟々。

 

不備も多数発覚しますが、そもそも根幹がおかしいので対症療法的な修正しかできないわけです。

 

もちろんシステム改修をするとなると作業量が膨大で、担当の方は大変だったと思います。

しかし大変なのに頑張ったから良いという問題ではありません。(公務員時代にしばしば感じたのは、成果を無視し、「頑張った」ということばかりにスポットを当てる思考です)

 

使いにくいシステムができたことで、職員全体の生産性が大きく低下し、そこに大きなロス(時間・人件費など)が生まれる、かつその改修料金は業者に払わなければならないというのは、とんでもない税金の浪費です。

 

以上が、お客さんのニーズをしっかり聞かないことでとんでもないロスになった事例の一つ目です。

 

※なお、これは担当者がどうこうというよりは、職員への事前ヒアリングなどを徹底すべきというロードマップを作れない管理者の能力や、良いシステムを作ることでどれだけの時間節約ができるかなどを考慮し、そこに資金や人的資源を集中できない組織マネジメントに問題がある例だと言えるでしょう。

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公務員時代に見たズレた仕事2:銀行出向時代の経験

僕は県庁時代に2年間銀行に出向していました。

銀行員として県の施策にかかわる中で感じた、お客様の不在例を紹介します。

 

出向期間中、

「県内の中堅企業を集めてお墨付きを与え、その企業を一層伸ばすために、様々な機関が支援(人材支援・金融支援など)をする枠組みを作りましょう」

という事業が県で企画されました。

 

はっきり言えば、国からお金がもらえるから(自分たちの持ち出しはないから)ということでぶち上げた事業です。

 

しかし、なんとお墨付きを与える企業の候補が県としてよく分からないので、県内企業の実力をよく知る銀行に対し、どこか紹介してくれませんか?と話があったわけです。(この時点で、それ変じゃないか?と思われると思います)

 

銀行としては、県はお得意さん(お金の貸し出しなどで儲けさせてもらっている相手)であり、またライバル銀行との関係もあったりするので、ある程度恩を売っておきたいという意向があって引き受けます。

 

しかし引き受けたものの、企業に話を持っていくのが難しい。

と言うのも、ぶっちゃけそれなりの企業なら、別に公的な支援なんてしてもらわなくても、勝手にやっています。

 

超一流コンサルタントが無料でコンサルをしてくれるというレベルの案件なら企業も喜ぶかもしれませんが(だとしてもニーズを聞かずにそんなバラマキやるべきではないですが)、公的機関とか金融機関が一堂に介してどうこう言う程度のサポートなんて企業にとって大きなメリットがあるはずないと銀行側も分かっている。

だから話を持っていきづらいし、メリットの明確な説明がしづらい・・・。

 

そんなわけで、銀行の担当(当時の上司)がもの凄くやりづらそうに仕事をしていたことを覚えています。

 

この一連の流れは本当にヤバいなと思ったんですね。

 

各企業の現場の声をしっかり聞いた上で、本当に必要(かつ県にとっても経済効果が望めるもの)な施策を企画すべきなのが本質です。

 

それが、国からお金もらえるからとりあえず事業を作った上で、でもどの企業にニーズあるかよく分からないんで銀行よろしく。

こんな訳の分からない施策がうまくいくはずないわけです。

 

これはあくまで一つの例ですが、ニーズをまるっきり無視し、形だけ作って満足するというのは行政の仕事のやり方の典型だったりします。(県庁に特にありがちだと思います)

 

その背景には、

  • 国でこういう施策をやっているのに県はやらないのか?とすぐに詰めてくる議員
  • 選挙に勝つためにできるだけ多くの事業を実施したい首長
  • (首長や議員や各種利益団体に対し)新規事業をたくさん実施してやった感をアピールしたい幹部
  • 財政が苦しいため、財源面で国がフォローしてくれるならとここぞとばかりに飛びつく職員

といった事情(組織の構造的問題)があります。

 

最も問題なのは、どこにもお客様(住民・企業・市町村など)が存在しないことですね。

もちろん全てがこうだとは言いませんが、こういう類の事業立案が県庁にはめちゃくちゃ多かったです。

 

まさに、本来大切にすべきお客様の声(お客様が求める価値)の部分が完全に抜けてしまっている事例でした。

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おわりに

結論としては、

  • ちゃんと現場の声を聞いて、本当に必要なことをやるようにしましょう
  • 逆に言えば、(仮に国から全額補助が出ようが)必要でないことをやるのは愚の骨頂です

ということを言いたかったわけです。

 

しかし実際問題として、議員や首長は事業をたくさん実施することを望んでいます。

それは選挙のためにもやった感を出すことが重要だからです。

 

トップがそういう考えのため、それを支える上司や担当職員たちはぶっちゃけその必要性に疑問を持ちつつも、財政面で補助がある(自分たちの自治体の持ち出しがない)からいいか・・・と事業を企画する傾向にあります。

 

しかし、住民に価値を提供するという本質から考えればこれは非常におかしな話です。

とりあえず作っておけばニーズはあるだろう、無いよりはあったほうがいいだろう的なレベル感で仕事をおこなうべきではないです。(時間とお金の無駄です)

 

先日県庁の超優秀な先輩に会う機会があったのですが、課の中を歩き回り、事あるごとに「それやって意味あるの?」と声をかけているとのことでした。

「めんどくさがられるけどね」とおっしゃってましたが、これこそが本質だと思います。

 

本当にやるべき仕事は何なのかを突き詰めて考える。

やるべき仕事の判断の際には、住民や企業なりのニーズを丁寧に聞く。

その中で、人的資源を本当にやるべき事業に集中していく。

 

こうしたプロセスこそが、より質の高い仕事につながっていくと思います。

 

最後に、今回参考にした「ドリルを売るには穴を売れ」ですが、マーケティング理論だけでなく、物語(若手社員が、売れないレストランの売上をアップするためにマーケティングを学びながら実践していくお話)も盛り込まれていて、凄く分かりやすくマーケティングの本質が学べます。

ここまで書いてきた通り、公務員の仕事にもそのまま応用できるお話ですので、意識の高い公務員の方にはおすすめの良書ですので興味があればぜひ。

今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!