こんにちは、元公務員のシュンです!
いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!
さて、今回は公務員の安定をテーマに取り上げます。
大学生の将来就きたい職業ランキングでは常に上位にあり、とにかく人気のある公務員。
その大きな理由の一つが「安定」ということだと思いますが、その実態やいかに???
元公務員としての実感を踏まえて記事を書いていきますので、これから公務員を目指す方にはぜひ読んでほしいと思います。
安定してます、今のところは
安定って何?
「安定」が何を指すのかは個人によって異なるでしょうが、
・終身雇用である
・年功序列で給料が上がっていく
・それなりの水準の給料が確実に得れる
・退職金が充実している
といったあたりが一番イメージしやすいところかと思います。
今のところは確かにそのとおり
退職金が徐々に削減されている(民間とレベルを合わせてきている)といった話はありますが、それでも、首にならない、終身雇用、年功序列、一定年齢までは横並びといったいわゆる「安定」の仕組みは残っています。
また、公務員は硬直的な仕組みが支配する業界ですから、まだ当分(これがどれくらいかは全く想像出来ません)この仕組みは維持されるでしょう。
超優秀な職員の危機感
県庁時代、すば抜けて優秀(今すぐ知事や副知事になっても、むしろずっと高いレベルで県政をコントロールできるだろうと思えるレベル)なある職員の方が人事課にいました。
彼は、インターンシップで来る学生から「公務員は安定している」という言葉が出ることに心から嘆いていました。
「安定しているわけないだろ、何言ってんだ」と。
国連の人口予測(中位推計)では、日本は2050年に1億1000万(▲1700万)、2100年に8500万人(▲4200万)になるとされています。
(下位推計だと、なんと2100年に5500万人を下回ります)
人口予測ほど将来の予測でほぼ確定的なものはありません。
つまり、日本では、今後当分人が減り続け、約80年後には今の約2/3の人口になっていく可能性が非常に高いということです。
(中絶禁止施策とか、移民を物凄い数受け入れる施策とか、相当に強烈なことをやれば変わるでしょうが)
人が減れば税収は減ります。
しかも当分は高齢者の割合がガンガン増えます。
誰がどう考えても行政運営は厳しい。
日本全体としてヤバいわけですが、自治体であれば、そのヤバい中でパイの奪い合いをしなければなりません。
つまり、冷静に考えれば、彼の言う通り、安定しているわけがないんですね。
(もちろん情勢が厳しくても公務員を守る制度が強固だということはあると思いますが、それもいずれ瓦解していくと考えるのが妥当でしょう)
このような状況に加え、世界のAI化の流れも公務員の安定を奪う要因です。
以下でそのことに触れていきます。
いずれ必ずAIに食われます
公務員の仕事はかなり原始的
公務員の仕事においては、電卓を細かく叩いたり、文字の言い回しに気を使ったり、様々な申請書をきっちり蛍光ペンでチェックしたり、昔の資料を紙で引っ張り出して前例を調べたりといった仕事の割合が非常に多いです。
少し厳しい言い方をすれば、時代錯誤的なやり方をしているところも多くあります。
そして、そう思っている公務員(特に若手)も非常に多いと思います。
しかし、過去からの慣例を重視する風習や、また、公的書類に絶対ミスは許されないという点もあり、人の目線による厳重なチェックが行われています。
(外部からの申請書類は、確かにミスをしてはまずいのですが、内部の資料ですらやけにそういうところにこだわるところがあります)
AIの台頭
アメリカの大手投資銀行であるゴールドマン・サックスの株式トレードを担当する社員は2000年に600人いたのが今は2人と、AIの影響をもろに受けています。
しかもAIの本格導入はまだまだこれからとのことです。
また、先日お目見えした、無人で決済が全て終了するコンビニ、アマゾン・ゴーに衝撃を覚えた方も多いと思います。
この辺は最先端企業の取り組みかもしれませんが、今後、全世界において、AIを活用した様々な仕組みが圧倒的なスピードで普及していくのは時代の流れからして明らかです。
公務員がやっている色んな計算だとか、申請書類のチェックだとか、前例を分析して最適解を出すだとか、統計データを分析して効果の高い施策を検討するとか、そういうレベルのことは、間違いなくAIで代替出来るようになります。
窓口職員などは、ほぼいらなくなってくるでしょう。
そうなると、今の仕事のやり方を続けるのであれば、間違いなく職員の大半が不要になります。
じゃあいつ食われるか?と言われれば、おそらく最も遅い
自治体の財政当局の考え方として、職員の労働時間が減ることによる人件費削減効果に繋がる施策を非常に低く見積もる傾向にあります。
ただでさえお金が無いんだから、まずそれよりも住民の施策をやるべきでしょとか、職員が頑張ってやればいいんじゃ無いの?という考え方ですね。
財政状況が厳しいため、どうしても短期的に物事を考えがちです。
(もちろん自治体によって違うかもしれませんが)
さらに、事業実施部局側としても、本当に自分たちがやっている仕事がほとんどいらなくなるようなシステムが入ってくることには一定の抵抗があるでしょう。
色々な思惑が絡み合い、税金だから無駄遣いは出来ないという大義名分のもと、AIの本格導入はおそらく日本の企業の中で最も遅い部類になるであろうことが想定されます。
残業手当代を相当減らせる上に、職員がもっと生産的なことに時間を使えるので、長期目線で見れば、むしろもの凄いメリットがあるんですけれどね。
どういう人材が生き残る?
AIに出来ないことをやれる人
AIは、人より正確に、人より圧倒的スピードで仕事をこなします。
AIの横で電卓を叩くほど無意味なことはありません。
しかし、今の所、まだまだAIは万能ではない。
つまり、AIをうまく使いこなせる人が生き残っていくことになるでしょう。
どの場所を掘ればいいのか?
金を採掘する話で考えてみます。
「ここを掘れ」と指示を出すのがリーダー
「掘り方はこうすれば最も効率的だ」と指示を出すのがマネージャー
そして掘りまくるのが担当者
公務員の仕組みに当てはめれば、リーダーが首長や部長、マネージャーが課長や直属の上司ということですね。
このうち、マネージャーや担当者のやることはAIで、人間がやるより遥かに高い精度・スピードでできるようになります。
ただ、「ここを掘れ」というリーダーがやる指示は今のところAI自身には出来ません。
(将来そういうことも出来るようになるのでしょう。そうなったら人類ってどうなるんだろう?というのは一つの大きな興味でもあります。おそらく芸能とスポーツ分野に特化していくのだとは思います)
つまり、AIに対し、どういうことをやるべきかを指示していくのが職員の主要な役割に移っていくことが想定されます。
出来る人から学ぶのが一番確実
では、そういうリーダー的な視点を学ぶにはどうすればよいか考えてみます。
何の世界でも、成功するための情報の取り方の鉄則として、実際に成功した人から質の高い情報を取るというのがあります。
そして、質の高い情報というのは少数派です。
何故かと言えば、成功している人間のほうが、成功していない人間より圧倒的に少ないからです。
(会社においても、本当に優秀な人は圧倒的に少ない)
面白いことに、少数派が正確な情報を持っていたとしても、多数派が正しいと思ってしまうのが人間の本能です。
残念ながら多数派の情報など大した価値はありません。(居心地は良いでしょうが)
ダイヤモンド(希少)と石ころ(どこにでもある)の差みたいなものです。
ダイヤモンドと石ころの差はしっかり見抜けるのに、情報はなかなかそういう観点で見れないのが人の面白いところですよね。
というわけで、公務員世界で活躍したいとか、いずれAIに侵食されても生き残っていきたいということであれば、公務員の中でも成功している人たちと接して情報を取っていくことをオススメします。
少なくとも、公務員は当分安泰だとか言っている人からは情報を取らないほうがいいです(笑)
まとめ
僕は世界一の投資家であるウォーレン・バフェットを尊敬しているのですが、大企業を目指す大学の級友たちについて語った彼の言葉に、
「USスチール(アメリカの巨大製鉄会社)がいい会社かどうかを考えた級友はひとりもいなかったと思う。たしかに大企業だったが、自分たちがどういう列車に乗り込むのかということを、彼らは考えていなかった」
というものがあります。
USスチールは今も顕在ですが、判断に至るその思考プロセスの重要性について語った言葉だと言えるでしょう。
公務員=安定しているという世間の情報に踊らされて、根幹の部分について良く考えないことには大きなリスクがあるというのは肝に銘じておくべきです。
さて、以上では、「安定」に対するネガティブな情報をメインに書いてきましたが、実は一番言いたいのはここからです。
危機=チャンスです。
このように危機的な情勢を逆手にとれる人材であれば、今後公務員としても超一流になれるでしょうし、遅れている業界だからこそ、良い方に変化する伸び代が大きい部分もあるでしょう。
そういう風に発想を転換して、これから公務員になる方には、ぜひ公務員業界を改革していって欲しいというのが僕の願いでもあります。
今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!
私は今、俗に言うFラン大学に通ってる一年生です。私はこの学校ではロクな就職先のないであろうと思い、公務員も進路の一つとして考えています。このブログでは、AIにより公務員の仕事は大半が無くなると書いてありますが、将来の進路として、公務員はいい選択ではないでしょうか?自分の周りに元公務員の方や現在公務員の方がいないので質問しました。お答え頂けると幸いです。
ご連絡感謝申し上げます。
まず、公務員に限らず、かなり多くの事務系の仕事がAIに代替される可能性が高いということになります。
その点はこちらの記事(https://jiseki-koumuin.com/future/)をご覧になっていただけると良いかと思います。
公務員の選択(特に給与面)という観点から考えてみると、AIによる代替もそうですが、それ以上に日本の総人口減少という点が非常に響いてくると考えています。
人口減少は確定的ですから、よほど異次元の対策を打たない限り経済は衰退します。
単純に人がいなくなればその分衣食住の消費が少なくなるということです。
そうなると、当然衰退していく企業が増えます。
公務員の給与は、50人以上の企業の「平均」となるよう設計されていますので、企業が全体的に衰退していくとなれば、公務員の給与も同様にジリ貧になっていくことが想定されます。
一方、経済衰退への対策、高齢化に対する様々な制度設計など、行政の仕事は増える傾向にあるでしょうから(そこをAIで凌ぐ部分も出るでしょうが)、一言で言えば「割りに合わない」と個人的には考えます。
→あとは他の色々な記事でも書いていますが、とにかく前例踏襲主義ですので、そういったことが嫌いな人はそもそも向いていないのでオススメしません。
なお、日本経済は衰退する可能性が高いと申し上げましたが、AI分野の企業やブロックチェーンに関する企業は圧倒的に伸びる可能性が高いです。
そうであればそういった時代の流れに素直に乗る、もしくは自分で起業をする(例えばyoutuberがいい例ですが、個人が情報発信をして稼ぐ形態は今後一層加速化することが想定されます)といったところが、僕が仮に大学生だった場合に考える選択肢です。
→ちなみに、大学1年生ということですからとにかく時間があると思います。徹底的に行動をして色々な世界の可能性に触れてみてください。(勉強無しに、興味ある分野にどんどん飛び込んでみましょう。事前に勉強をしてからというマインドではいつまで経っても前に進めません)
また、特に何も思いつかないということであれば、上で紹介した記事ではホリエモンと落合陽一氏の本について書いていますが、彼らのツイッターをフォローして毎日チェックしていれば、それだけで全く想像もしていなかったような世界への視野が広がると思います。(とにかく今の時代、稼ぐ形態が多様化しており、民間や公務員で勤め人としてお金をもらうという以外の様々な視点を持っておくべきだと考えています)
どちらにしても、大学1年生で公務員か民間かという判断をすべきではありません。非常に勿体無いです。
最後に、ここまでの話は若干極端な部分もあったかもしれません。
単純に民間企業か公務員かという目線だけで考えれば、実際問題として学歴で判断をする企業が多いのは事実ですから、努力すればどうにでもなる公務員というチョイスは一つの合理的な判断だと考えます。(しかし、上で書いたような目線を若いうちからぜひ持っておいて欲しいと思います)
以上、ご参考になれば幸いです。
公務員の方が書いてる公務員という仕事の将来という内容が面白い。
ブログ主様は今後、公務員には制度や条例・原則・規則の上でリストラはなくとも公務員にリストラや自主退職の流れが起きると思いますか?
個人的には、AIに仕事が奪われても、新しく公務の仕事を増やせばいいだけだと思ってるので、例(観光地の市バスの乗車を先導する係・自転車・バイクの撤去係)ないと予想してます。なので優秀な職員の方が公務員は安定してるとインターンで感じた学生に対して「安定しているわけないだろ、何言ってんだ」と感じてることにに対しては私はやっぱり、安定しつづけるんだろうと思ってしまいます。
初めまして、コメントありがとうございます!
そして、大変鋭いご指摘をいただき誠にありがとうございます。
まず、リストラの流れ(それを容易とする制度改正)というのは、起きるべきと思いますが起きないでしょう。
そこには強大な抵抗勢力がありますから、無理だろうと考えます。
そして、AIに関してはまさにおっしゃる通りで、公務の仕事を増やせばいいだけです。
そういう理由づくりについて公務員は天才的なところがありますから、当面はうまく延命するのだろうと思います。
しかし、AIの台頭はやはり強烈なものがあります。
その中で、公務員の新規採用職員の大幅抑制(既存人員を辞めさせられないから新たに入る人を徹底的に減らして総量を削減する)というのはかなり可能性があると思います。
また、公務員の未来について考えるとすれば、AI以上に、日本総人口の大幅減少がより強い影響を及ぼすと考えています。
人口減少により以下のようなケースが想定されます。
1.年収がジリ貧で下がっていき、将来的には100万円以上のダウン(額面上ではなく、インフレ等加味した実質価値ベースで見てダウンしていく)
2.夕張市のような破綻自治体が続出する
1は、人口の大幅減少により経済が衰退し民間給与も減少、公務員は民間給与に準拠しているためほぼ間違いないと考えています。(ジリ貧でもクビにならないとすればやはりそれを安定とみることはできると思います)
2についても、人口が大幅に減少(税収減)する上に高齢者が一層増加(社会保障費増)するとなれば、単純に収支が苦しくなる自治体が続出します。特に過疎自治体ではこういったリスクが非常に大きいと想定します。夕張のケースになれば、それこそ給与は物凄く下がりますから依願退職者も続出すると思います(特に若手)。
最後の話はAIにはあまり関係ありませんが、むしろこっちのほうがAIよりもずっと現実的であり、また防御のしようがないと思いましたので書かせていただきました。
改めまして、コメントいただきましたこと感謝いたします。
引き続きよろしくお願いいたします。
AIや画像処理、ドローン関係専攻の院生1年です。
まさしく未来の公務員像が示されているような記事で逆に不安になりました(笑)。
前例踏襲主義である公務員と、革新的な民間では恐らく、工学部系の学生は後者に向いていると思いますが、
それでも、公務員の事務仕事の一部分でも工学的要素で行う必要が出てくるのでは?
という甘い考えで就活を悩んでいます。
パソコン関係をはじめとして、「公務」に生かしていける場面は少なくないと。
公務員はやはり窮屈そうで、でも民間は重圧が重そうで、決め手に欠けています。
単純に比較できるものではないですが、技術を開発するより、技術を生かす方が好きなので、
公務員もそういう風になってくれたら楽しそう。と感じましたが夢想で終わりそうですね。
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、工学的要素で事務作業を行う必要は増してきます。
むしろ、今現在でもそうした要素を取り入れて改革すれば、無駄が省ける部分は本当に多いです。
個人的には、読者様のような方を多く採用し、技術的視点から事務を大きく見直す取組みをしていく必要があると思います。
(効率化的な観点だけでなく、そもそも何をやるのかやらないのかという決断もしっかり首長がリーダーシップを取ってやるべきですが)
一方、そうした改革(ある意味で理系が主流になっていくような改革)は、多くの公務員組織が積極的にやりたくないと思っているのが本音です。
というのも、公務員内部の権力構造として、技術系に比べ事務方が圧倒的に優位に立っているというところがあり(国家公務員・地方公務員同じ)、事務方の人たちはその権力構造を崩したくありません。
工学系の知識を持つ方を多く採用し、事務の大幅効率化を実施、その成果として工学系の方々にスポットライトが当たり、権力構造が変化しうる・・・といった姿は、多くの事務方の公務員(特にある程度のポストにいる方、また、今後上のポストを狙っている方)は望んでいないということです。
この間、某県庁の元人事の人とお話をしましたが、人事と財政の出世争いに一喜一憂している世界観の狭さにお互い呆れたというところがあります。(→お偉いさんたちが飲み会の場で本気で口にしていたりするわけです)
事務方同士の争いですら一喜一憂しているのに、新たな勢力に台頭されたくないというのが本音でしょう。
(若手はあまりそんなこと考えておらず、むしろどんどん改革してくれよと思っていると思いますが)
今後こうした構造が大きく変わるかと言えばほとんど変わらないと思います。
確かにAIは台頭するでしょうが、そうしたシステム的な要素はあくまで外注中心でやっていくところが大半でしょう。
読者様のような方が活躍できる余地は凄まじく大きくても、その余地がそもそも与えられないというのがリアルなところだと思います。
→ちなみに単純に個人として仕事がスムーズに進められる(担当レベルの仕事をどんどん効率化していく)という点はもちろんあります。
個人レベルでの優位性(他に比べて仕事がスムーズであるとか、パソコンに関して頼りにされるとか)は築けるでしょうが、組織レベルで見た話は上で書いた通りです。