こんにちは、元公務員ブロガーのシュンです!
いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!
今回は、生活保護でもらえる金額がテーマです。
本記事の内容
- 生活保護の金額はいくら?【単身世帯・2人以上世帯】
- 税金・年金・国保・医療費の支払いはどうなる?
- 生活保護を受給している人の人数は?
厚労省の統計に基づいてその実態を書いていきます。
生活保護の金額はいくらもらえる?
単身世帯の場合はいくら?
まずは単身世帯(一人暮らし)の場合の生活保護の金額です。
生活保護以外の収入もあわせ、トータルの収入(=実収入)が分かるようにしました。
級地 | 実収入(円) | 就労収入(円) | 生活保護費(円) | 他の社会保障給付(円) |
1級地-1 | 135,533 | 15,589 | 95,943 | 20,339 |
1級地-2 | 116,872 | 18,782 | 82,945 | 12,357 |
2級地-1 | 103,439 | 19,717 | 64,102 | 16,850 |
2級地-2 | 101,605 | 11,885 | 66,998 | 17,708 |
3級地-1 | 95,972 | 15,829 | 65,965 | 11,580 |
3級地-2 | 90,590 | 16,851 | 63,906 | 7,326 |
データ元:厚労省「平成28年度社会保障生計調査」より
※他の社会保障給付とは、「年金、児童手当、障害者手当など」のことを指します。(→生活保護は、他の制度で受給できる手当を全て受給した上で、足りない部分を補填する制度)
見て分かる通り、級地によってかなりの差があります。
級地というのは、要は都会か田舎かということです。
生活保護費は生活扶助(生活費)と住宅扶助(家賃)がメインですが、これらの経費は物価の影響を受けます(都会のほうが当然お金がかかる)。
それにあわせて、生活保護費も調整されています。
1級地-1:東京23区や都内の多くの市、横浜市、名古屋市、大阪市など
1級地-2:札幌市、仙台市、千葉市、岡山市、広島市など
2級地-1:函館市、青森市、宇都宮市、金沢市、下関市など
2級地-2:登別市、日立市、長岡市、大垣市、佐世保市など
3級地-1:人口5〜10万くらい(ざっくりです)の市町村
3級地-2:人口5万未満くらい(こちらもざっくり)の市町村
※級地一覧は厚労省のHPをご覧ください
2人以上世帯の場合はいくら?
級地 | 実収入(円) | 就労収入(円) | 生活保護費(円) | 他の社会保障給付(円) |
1級地-1 | 207,704 | 36,830 | 124,243 | 41,575 |
1級地-2 | 190,629 | 38,645 | 103,601 | 41,850 |
2級地-1 | 173,777 | 38,377 | 90,510 | 41,039 |
2級地-2 | 162,575 | 34,647 | 89,022 | 35,826 |
3級地-1 | 166,237 | 31,004 | 90,029 | 39,462 |
3級地-2 | 153,821 | 49,031 | 63,450 | 37,087 |
なお、上記の世帯平均人数は2.30人ですので、概ね2人暮らしの場合にもらえる経費だと捉えて貰えばOKです。
厚労省によるモデルケース
引用:厚労省HP「生活保護制度に関するQ &A」より
よりイメージしやすい金額として、厚労省の資料では「3人世帯、高齢者単身世帯、高齢者夫婦世帯、母子世帯」のモデル額が掲載されています。
(文字が小さいので拡大してご覧ください)
税金・年金・国保・医療費の支払いはどうなる?
次に、支出面にスポットを当ててみていきます。
通常であればかかる経費として、「税金(所得税・住民税)、国民年金、国民健康保険」がありますが、基本的に全て払う必要はありません。
※就労収入がある場合、収入に応じて所得税を支払う必要があります。
なお国民年金については、免除期間であっても1/2の金額を払ったものとして計算されます。
また国民健康保険は脱退という扱いになり、生活保護の一種である「医療扶助(医療費免除)」を受けることになります。
→つまり、保険料を払わないで済むだけでなく、医者にかかる経費もかからないということです。
つまり、先ほど算出した数字データの「実収入」というのは、実際に使うことのできる手取りのお金であり、かつ医療費も無料であるということです。
生活保護を受給している人の人数は?
次に、生活保護を受給している人数はどれくらいなのか?という点ですが、以下の通り統計値が出ています。
だいたい60人に1人が生活保護を受けているということになります。
結構多く感じるのではないでしょうか?
なお、2人以上世帯の平均人数は2.30人となっていますので、計算すると、
- 単独世帯が120万世帯(約120万人)
- 2人以上の世帯が40万世帯(約92万人)
ということになります。
一人暮らしのケースがかなり上回っていますね。
また、164万世帯のうち、およそ85万世帯が高齢者世帯(65歳以上の世帯)となっており、生活保護も高齢化が目立つ状況になっています。(高齢者世帯の比率は年々増えています)
おわりに
以上、生活保護のお金事情でした。
生活保護といえば、イギリスでは、ハリー・ポッターの作者が生活保護を受給しながら小説を書いていたという話は有名です。(今や億万長者ですから、支給した自治体も税金による多大なるリターンを得たということになるでしょう)
また、歌手デビューしたいと思っている人に対しては、「どうやったらCDを作れるか、プロモーションをどこに頼めばいいか」といったことまでフォローするそうです。
一方、日本の生活保護の実態としては、そういった前向きな制度というよりも、本当にどうしようもない状態に陥った時の最後の砦的な意味合いが強いです。
もちろん、日本においても就労支援はかなり大きなテーマとなっているのですが、日本の施策は非常に表面的な部分にとどまっている印象を受けます。
(例えば、受給者の就労に向けた事業を各自治体で実施していますが、中身としてはハローワークへ職員と一緒に同行するものであったりなど、効果としては「?」と思うようなものが結構あります)
生活保護に限らず、もっと本質的な部分に向き合い、実効性の高い施策に的を絞って対応する必要があるというのは公務員時代にしばしば感じていましたが、
行政ニーズが複雑化していることと、それになんでもかんでも対応しようとして形式的なものばかりができあがっていく(職員たちも余裕がなくなっている)というのは、日本の行政組織が抱えている非常に大きなジレンマですね。
今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!