こんにちは、元公務員ブロガーのシュンです!
いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!
今回は、先日実施された令和元年(2019年)人事院勧告(=国家公務員の給与・ボーナスを決めるもの)について解説します。
本記事の内容
- 令和元年人事院勧告の内容【給与・ボーナス共にUP、住居手当もUP】
- 人事院勧告を加味した具体的な給与・ボーナス・年収額推計【国家・地方公務員】
残業代も含めた国家公務員の年収(人事院の資料では残業代が含まれていない)や、地方公務員への影響も算出しました。
令和元年(2019年)人事院勧告の内容
ボーナス・給与(月収)ともプラス改定!
令和元年人事院勧告の主な内容は以下の通りです。
- 2019年国家公務員の給与(=月収)とボーナスはともに増
→年収ベースで約27000円の増- 給与は平均387円増(=年間4,644円の増)
- ボーナスは0.05月分引き上げ、年間で4.50月分の支給(年間約22,000円の増)
- 住居手当支給上限を27,000円から28,000円へ改定
これで平成26年(2014年)から6年連続の引き上げということになります。
元公務員目線で見る今回の大きなポイント
今回、元公務員目線で見て結構大きなポイントだと思ったのは、住居手当の支給最大額1,000円増額です。
住居手当とは、アパートに住んでる場合に家賃に応じて支給されるものです。
支給計算式は「(家賃月額-23,000円)/2+11,000円」であり、今までは家賃55,000円以上の場合に最大額27,000円が支給されるということになっていました。
これが今後は家賃57,000円以上の場合、最大額28,000円が支給されることになります。
都内の場合や、家族で住んでいる場合などは家賃57,000円を超えているケースが多いでしょうし、仮に今後給与とボーナスの伸びがなくなった場合でも、この基準はそう簡単に動かないでしょうから、公務員にとっては美味しい改定だと言えるでしょう。
月収増分とボーナス増分はいつ支払われるのか?
月収は4/1にさかのぼって改定されますので、その分がまとめて冬以降に支払われます。
(国の場合は法改正、地方の場合は条例改正をしてからの支給になるためタイムラグがあります)
ボーナスは冬のボーナス(12/10)において、0.05月分が上乗せされて支給されます。
公務員の給与は高い?
人事院勧告は、毎年50人以上の民間事業所(臨時職員除く)を対象に、給与(月収)とボーナスの調査を行った上で、その平均額になるよう勧告がなされる仕組みです。
今回引き上げになったのは、民間企業の給与・ボーナスの調査結果が公務員給与よりも高かったためです。
ここで、同調査の対象事業所数の内訳を見てみます。
令和元年人事院勧告参考資料「民間給与関係」より抜粋
調査事業所の割合を計算すると、50〜100人の事業所が16.7%、100〜500人の事業所が42.5%、500人以上の企業の割合が全体の40.8%となっています。
よって、どちらかと言うと規模が大きめの企業ベースで算定されていることが分かります。
実際、先日発表された経団連企業(東証一部従業員500人以上の251社)の2019夏のボーナス平均額が92万1107円です。
これが国家公務員の場合約86万円(詳細は以下で記載します)となり、優良大企業に匹敵する額だと言えます。
一方、日本全体の従業者の70%は中小企業(従業員300人以下の製造業、同100人以下のサービス業、同50人以下の小売業など)勤務です。
中小企業に勤務する方から見れば、公務員の給与やボーナスは高いとなるケースが多いと言えます。
果たしてこの算出法が妥当なのかどうかはまさに考え方次第だと思いますが、人事院勧告の資料には以下のデータが載っています。
令和元年人事院勧告給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイントより
要は、多くの職員は大企業に受かってるんだから、それなりの額を貰ってもいいだろうということを暗に示唆しているのだと思いますが、これに対しても色々と意見はありそうなところですね。
(公務員からすればこうした考え方があるでしょうし、民間からすれば問題は成果でしょというところだと思います)
6年連続の引き上げで合計どれくらい増えている?
6年で年収は約30万円増!
今回の引き上げにより、2014年から6年連続での増額改定ということになりました。
年収ベースで見ると、この6年で計29.8万円増額したことになります。
【人事院勧告の金額推移データ】
令和元年人事院勧告給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイントより抜粋
※左から、給与改定率(前年比)、ボーナス支給月数、ボーナス支給月数(前年比)、年収ベース増減額(前年比)
国家公務員の給与・ボーナス・年収はいくらになるか?
以下では、勧告を反映した上での具体的な給与、ボーナス、年収額を国家公務員、地方公務員それぞれで書いていきます。
改定後の国家公務員給与について
給与月額:463,468円(平均年齢43.4歳)(勧告前+387円)
※行政職俸給表(一)適用職員の場合。令和元年人事院勧告参考資料「国家公務員給与関係」の数値を用いて推計。(以下同じ)
人事院勧告の資料では改定後月収411,123円と出ていますが、これは残業代が含まれていません。
人事院勧告の資料内、平均年間超過勤務時間226時間(月あたり18.8時間)に基づき、月当たりの残業代を52,345円と推計し、それを上乗せしています。
少し細かいですが・・・残業代の具体的な計算内訳
計算方法:{(俸給の月額+俸給の月額に対する地域手当等の月額+今回の改定分)×12}/(1週間当たりの勤務時間×52) ×支給割合×勤務時間
→{(329,433+43,540+387)×12}/(38.75×52)×125/100×18.8=52,345円
※なお、上記は国家公務員全体平均の残業代です。さらに細かく言えば、本府省勤務の場合の年間超勤時間は356時間なので82,455円、出先勤務の場合は198時間なので45,860円です。
改定後の国家公務員ボーナスについて
ボーナス年額:1,725,386円(平均年齢43.4歳)(勧告前+20,894円)
計算内訳:(俸給329,433+地域手当43,540+扶養手当10,059+改定額387)×4.5月
改定後の国家公務員年収について
年収額:7,287,002円(平均年齢43.4歳)(勧告前+25,538円)
計算内訳:上記推計月収×12+推計ボーナス
地方公務員の給与・ボーナス・年収はいくらになるか
地方公務員も今後追随する
人事院勧告はあくまで国家公務員の給与やボーナスを縛るものです。
地方では別途9月頃に人事委員会勧告というものが行われます。
ただし、地方は大半のところが人事院勧告に沿った改定を行います。
よって地方も国と同様、月収・ボーナスともに増という改定がなされるところがほとんどだと想定されます。
(総務省のデータによれば、85%くらいの自治体が国(人事院勧告)と同じボーナス支給月数を適用しています。なお、それより高いところ(主に都内)が3%、低いところ(田舎に多い)が12%ほどです)
改定後の地方公務員給与について
給与月額:401,629円(平均年齢42.2歳)(勧告前+387円)
※一般行政職員の場合。総務省の平成30年4月1日地方公務員給与実態調査の数値を用いて推計。(以下同じ)
改定後の地方公務員ボーナスについて
ボーナス年額:1,560,857円(平均年齢42.2歳)(勧告前+19,066円)
計算内訳:(給料318,639+地域手当18,543+扶養手当9,288+改定額387)×4.5月
改定後の地方公務員年収について
年収額:6,380,405円(平均年齢42.2歳)(勧告前+23,710円)
計算内訳:上記推計月収×12+推計ボーナス
なお、以上はあくまで地方公務員全体の推計ですので、団体別で見ると金額はかなり異なってきます。
具体的には、上記年収638万円に対し、都道府県はプラス20万、指定都市はプラス45万、市はマイナス10万、町村はマイナス75万、特別区はプラス50万円程度で見てください。
詳細は以下記事で計算していますので興味があればこちらも参照してください。
まとめ【2019年の年収は2.7万円UP!】
- 令和元年(2019年)人事院勧告により、国家公務員の給与(月収)、ボーナス額はともに増
- 具体的には、給与は387円(年4,644円)、ボーナスは約22,000円、年収トータルで約27,000円程度の増額
- 住居手当の最大支給額が月1000円UP、都内でアパートを借りている場合、ほぼこの対象に当てはまると想定される(その場合年12,000円増)
- ボーナスは冬のボーナスに上乗せ、給与は4月からの増額分が冬以降に支払われることになる
- 今後地方も今回の勧告をベースにした改定をしていく
以上です。
今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!
>>「公務員の給料の全て」をまとめた記事はこちらから