超一流たちの考え方

【日産GT-R開発者】水野和敏氏に学ぶ成果を出す仕組みやマネジメント術。

こんにちは、元公務員ブロガーのシュンです!

いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!

 

今回は、日産のスポーツカー「GT-R」の全権委任開発者でもある水野和敏氏の言葉がテーマです。

コーチング・脳機能学の権威である苫米地英人氏との対談動画に基づき、圧倒的な成果を出す秘訣などについて解説していきます。




GT-R開発全責任者の水野和敏氏とは?

水野氏の経歴はwikipediaに詳しく記載があります。

GT-R開発の経緯についてwikiから引用したものが以下です。

この頃の日産社内にはGT-Rを開発する方針があったが、社内では既存のFR-Lプラットフォームの延長でGT-Rを開発する意見が大勢を占めていたため、水野は「それでは日産のフラッグシップたり得ない」と開発責任者の就任を固辞していた。

しかし2003年12月に社長のカルロス・ゴーンから「ミスターGT-R」としてGT-Rの開発と販売における全権が委任され、GT-Rのチーフ・ビークル・エンジニア(CVE、車両開発主管)兼チーフ・プロダクト・スペシャリスト(CPS、商品企画立案責任者)兼プログラム・ダイレクター(PD、収益・販売目標達成責任者)に任命された。

GT-Rの開発と販売においてはゴーン就任以降に定着した従来の1車種3トップ制ではなく、例外的に水野に権限が集約する1トップ制が採られ、社長の直轄プロジェクトとしてゴーンと水野が直接繋がる異例の人事体制となった。

要は、既存のモデルの延長でGT-Rを開発しようという社内方針を固辞、その後ゴーン前社長が就任し、全権をもらって好き勝手にやらせてもらって開発したという経緯が書いてあります。

 

「チャレンジする時には、従来の常識を疑い、本質とは何かを追求することが大事だ」

という水野氏の言葉にもある通り、既存の枠を取り払った上で生み出されたGT-Rは世界的な評価を勝ち取り、まさに日産のフラグシップ(メーカーの象徴的存在)になっています。

 

動画では、そんな水野氏と、オウム真理教信者の脱洗脳などでも有名な脳機能学者の苫米地氏によって、

  • 成果を出す仕組みについて
  • マネジメントについて
  • ゴーン氏のリーダーシップ
  • 日本人の可能性

などが語られています。

 

以下では、成果を出す仕組みとマネジメントの部分を取り出して解説していきます。

 

圧倒的な成果を出す仕組み

成果を出す仕組みについて、まず苫米地氏が以下のように語ります。

圧倒的な知識量(=言語的なもの)×抽象度の高い方向性(=言語を超えたもの。例えば、「トータルとして完成された車」というゴール)

で大きな成果が出る。

 

水野氏はこれに賛同する形で、自分の具体的な体験に落とし込みます。

【圧倒的な知識量】

  • まずは車にデータ計測器を載せ徹底的にデータ収集をすることにした。
  • また、車が走るシーンを全て歩き回って目に焼き付けた。
  • 夜ホテルに帰ると計測器の何百というデータを頭に叩き込んだ。
  • これを2年間繰り返したことで車というものが見えてきた。

 

【抽象度の高いもの→速いレーシングカーって何?という本質】

  • データを徹底的に蓄積したあとで、以下の本質が見えてきた。
  • レースのうち、ドライバーがアクセル全開としているところは2割もない、8割は我慢している。我慢しているところをどれだけ速い車を作るかがレースに勝てる本質だ。(→速いレーシングカーってなんなんだという高い抽象度)

 

好きこそ重要

水野氏が成果を出した流れを語ったあと、苫米地氏は以下のように補足しています。

まずベースとして言語の世界(データ・知識)を徹底的にやり尽くさないとそれ(本質)はわからない。

圧倒的なデータ・知識無しでは上の次元には到達できない。

そのためには、よほど好きでないと。

 

ここで重要なのは、最後の「よほど好きでないと」という言葉でしょう。

 

苫米地氏がよく言う言葉として、「have to(しなければならない)」ではなく「want to(したい)」のゴールを設定せよというものがあります。

2年間レースの様子を見続けて、何百ものデータを毎日分析し続けるという水野氏の行動は、好きでなければやれるものではありません。

 

好きこそものの上手なれ。

やりたいことだから、他が真似できないほどのめりこめる、だから大きな成果を出せる。

 

本当に大きな成果を望むのであれば、これが本質です。

ここはしっかり押さえておきたい点ですね。




効果的なマネジメントとは?

次にマネジメントの話です。

水野氏は、社員の成長に関して以下のように言及しています。

企業に入って1〜2年目は色々好きなことを言っていたのが、5年目〜6年目になると社内規則がこうなってるから部長が言ったから役員が言ったからと人の尺度で殻を作ってしまう。

さらには、営業担当が言ったから、内装担当が言ったからと、人の尺度でもなくなっていく。(→「営業担当の誰が言ったから」という人の領域ですら無くなってしまうということ)

もはやこうなると、組織の枠でしか仕事ができない。

 

対して苫米地氏は、

基本的に、リーダー(水野氏のような人物)は圧倒的知識量と高い抽象度を持っているため、マイノリティであり理解されない。

基本的に、組織はマイノリティを潰しにいく(特に戦後の日本組織)。

だからこそ強力なリーダーシップを育てる・守るという株主や経営者の決心が重要。

と答えています。

 

なお、このやり取りの中で、水野氏のようなマイノリティに活躍させることを許したカルロス・ゴーン元社長のリーダーシップに触れられています。

ゴーン氏は、社長就任当時はリストラをしまくって叩かれ、その挙句は逮捕されてしまったわけですが、彼が水野氏に全権を委任したリーダーシップには素晴らしいものがあったということが会話の中から伺えます。(詳細は動画で確認ください)

 

若手を成長させるには?

以上のやり取りの中に、どういう態度をとれば若手社員を伸ばせるかというヒントがあります。

 

それは、

  • 若手の自由な発想や行動を尊重し、失敗覚悟でやらせてみる。
  • その上で、最後の責任は自分が負うという態度を持つ。

といったものだと言えるでしょう。

もちろん、若手の各個人が自己責任の考えを持つのは大前提です。

好き勝手やって全て上司が引き受けてくれるという考えでは話になりません。

ただ、リーダーが責任を取る姿勢を示すからこそ、あの人に責任を負わせるわけにはいかないという責任感を感じることにつながるのも事実です。

 

一方、僕が公務員として勤務していた時代もそうでしたが、こういった態度を持てる上司というのは本当に少ないです。

(だからこそ、こういう上司に部下は全幅の信頼を置くし、本当に頑張ろうという気が起こります。これは若手ほとんどがそう言うと思います)

 

中間管理職なら上の役職からの評価を落とすのが怖いから、社長なら株主から批判されるのが怖いからと、部下の意見を過去の組織的な慣習に落とし込み、小さくまとまらせるようなマネジメントをしているようでは大きな成果は望めないということですね。

 

まして、物を作れば勝手に売れる高度経済成長期ではなく、人口減・停滞期の時代です。

過去に依存するマネジメントでは衰退につながっていくのは明らかでしょう。




おわりに

対談の中では、「日本人の可能性」についても触れられています。

それは、日本人は文化的にも高い抽象化能力を持っているということです。

 

例えば、

設計ソフトなどはもちろんない時代に、筆で書いた図面に基づき、法隆寺・正倉院のようなとんでもない建物を作る技術を持っている。

鉄砲も伝来して少し経ったら世界最高の性能の物を作ってしまう。

 

これは、一人一人が部分を担当しながらも全体を想像できる能力を持っている(作る気になれば誰もが全体を作れる)ところに起因しており、これは歴史的に築かれた日本人の強みだということが両氏から語られます。

→対して欧米は、昔から徹底した分業体制であるため、全体を想像する能力に欠けている。

 

つまり、そうした潜在力を発揮できる仕組みさえ作れれば、人口減という苦境に立たされた日本ですが、今後まだまだ大きな可能性を秘めていると言えます。

 

自分たちの能力を信じ、好きなことに情熱を持って取り組む、マネジメントをする側の人間はそれを阻害せずサポートするように意識する。

これこそが今後の日本における突破口になるように思いました。

 

今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!