書評

天才・羽生善治に学ぶ運を良くする方法。伝説の七冠達成時にもツキが存在?

こんにちは、元公務員ブロガーのシュンです!

いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!

 

今回は、運を良くする方法をテーマに、大天才羽生善治さんの運に対する考え方について書いていきます。

本記事の内容

  • 羽生善治さんに学ぶ運を良くする方法
  • 運を悪くする方法

「運」というと非科学的なものであり、人にはコントロールできないもののように思われます。

そこに対し、人類最大の叡智の一人と言ってもいい羽生さんはどのように語っているのか、気になる方はぜひご覧ください。




羽生善治さんに学ぶ運を良くする方法

ツキには2種類ある

羽生さんは、著書「大局観」の中で、「運・不運の捉え方」という章を設け、かなりのページを割いて運やツキについて解説しています。

羽生さんは、ツキには2種類あると考えているそうです。

  1. ゼロサムゲームのようなツキ。勝者50%、敗者50%。
  2. どこまでも無限に、無尽蔵に増えていくようなツキ。

 

このうち、2番目のツキが、何か大きな発展を遂げる時に必要不可欠だと感じているとのこと。

 

そして、

「七冠を取った時には、何か大きな流れのなかに身を置いていて、自分の力ではないものが働いているようだった。

対局をして一手一手を決断するのは自分自身で、そこには何の介入の余地もないはずなのに、自分も一つの波に乗っているような感じがしていた。」P153

と、七冠達成の際に自分に2番目のツキが働いていたということを振り返っています。

 

羽生さんは、六冠で迎えた谷川浩司王将との試合に一度敗北後、その翌年に他の六冠を全て防衛して再度谷川王将と戦って王将を奪取するという、普通では考えられないような流れで七冠を達成されています。

 

周りの人から見れば、それは大天才羽生善治の強さに起因するものだと考えがちですが、当の本人は何かツキにも似たものを感じていたというのは非常に興味深い点です。

 

運を良くする方法その1【真似】

具体的にツキに対してどのようにアプローチをするかという事で、羽生さんは以下の二点を挙げています。

 

一つは、ツイている時は出来るだけそのツキを維持し、継続させる。

もう一つは、ツイている人物や組織のやり方を真似すること。

 

一点目は、実際にツイてるなと感じた時の扱い方(要はツキに素直に乗っかって余計な変化をしないようにする)なので、「運を良くする」という意味で言えば、二点目の真似をするのが効果的だと考えているようです。

 

なお、羽生さん自身はこの二点目について因果関係を証明できるわけではないと語った上で、

「やり方を真似てみて、本当に自分が納得できれば、おのずと効果が現れるものだと考えている。

ただなんとなく、あるいは渋々と他人の真似をしてみても、あまり意味がないような気がする。」(P154)

と述べています。

 

個人的には、「思考は現実化する」といった言葉にあるように、プラスの解釈が行動にもプラスの影響を及ぼしていくといった脳科学的な話に通じるものがあるようにも感じました。

 

運を良くする方法その2【断捨離】

羽生さんは、以下のようにも語っています。

経験則として言うと、モノをたくさん手放せば手放すほど、加速をつけて新たなモノが入ってくる。(P176)

経済面でも、健康面でも所有の面でも流動性こそが重要との考えを持っていらっしゃるようです。

 

断捨離と言えば、近藤麻理恵さんの「人生がときめく片づけの魔法」が世界で850万部以上を突破する超ベストセラーになりましたが、捨てることが新たなモノを生み出すという観点は羽生さんも大切にされているようです。

 

羽生さんは、情報との向き合い方についても、

「少ない選択肢から選ぶより多い選択肢の中から選ぶ方が後悔しやすい傾向があるので、第一段階では大胆にたくさんの選択肢を捨ててしまったほうが良いと思っている」

と語っており、「捨てる」ことを非常に重視していることが分かります。




羽生善治さんに学ぶ運が悪くなる方法

ツキを得る方法については、羽生さんも手探り(因果関係は不明だが経験則として語っている)といった感じで上で挙げたようなことを述べていますが、一方でツキを失う方法については、

「ツキを失う方法についてはいたって簡単だ。人道に反することをすれば、容易に状況は悪くなるはずである。」(P155)

と、断定に近い言い方をしています。

 

羽生さんが子供の時に読んだ一冊に、元名人でもある米長邦雄さんの「人間における勝負の研究」というものがあるそうで、同著を引用して以下のように触れています。

「米長先生が、東京へ行く汽車に乗る時、うまくキセルをする方法は知っていたが、そんなことをすれば大きなツキを失うに違いないのでやらなかった、という内容があり、確かにその通りだと思った。」(P155)

 

その上で、

悪事を犯さないまでも、どんな小さい事でも本人が罪悪感を持つならば、ツキを失う可能性があるのではないか。(P156)

と続けています。

 

まさに「自分の行いは他の誰が見ていなくても、必ず自分が見ている」ということですね。

これが羽生さんのいう罪悪感につながり、そこから出た行動のほころびそのものが、ツキを失うということの大きな要因を占めるのではないかと感じました。

→そういう意味ではこれも脳科学とか心理学っぽい話ですね。

 

おわりに

将棋は、一つの局面で平均80通りの可能性があるそうです。

それを瞬時に見抜いて最善手を検討する天才が集う棋士たちの中で、上位に君臨し続ける羽生さんの考え方は、当然ですが超合理的です。(本書「大局観」の大半は、羽生さんの合理的で本質的な考え方がふんだんに盛り込まれています)

 

その一方で、ツキのような論理で語りきれない部分を非合理だと弾いてしまうのではなく、深い洞察を持って眺めている点が非常に面白いですし、だからこそ説得力のある内容になっています。

 

また、羽生さんは局面を見て思い浮かんだ80手から直感で2〜3手に絞るそうです。

この直感は経験に基づくものだと語られているのですが、そのはっきりとした正体は羽生さんにも分かっていない。

しかし、その直感が正しいからこそ羽生さんは将棋界の強者として君臨し続けているわけであり、そこには経験則としての根拠があるわけです。

 

直感のような「良くわからないけど確かにあるもの」を日々扱っているからこそ、「運やツキ」についての深い洞察を可能にするのでしょうし、また、我々にとっても、そういう目に見えないものを扱っているプロが語る運の理論というものは非常に参考になるのではないでしょうか。

 

今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!