こんにちは、元公務員のシュンです!
いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!
「公務員は楽なの?」シリーズの第2回です。
第1回では、総論的な話と平均帰宅時間について解説しました。
今回は「公務員の休暇」をテーマに、以下の点を解説します。
- 有給休暇はどれくらい取れるのか?
- 有給以外にもお盆休みや正月休みはあるのか?
- (女性の方にとって特に気になる)産休・育休はどうなってるの?
なお、動画でも解説してます。
公務員は有給休暇をどれくらい取得出来るのか?
部署と個人の能力による
有給がどれだけ取れるのかというのは、部署と個人の能力次第です。
部署については、暇な部署であれば休暇は当然取りやすいし、忙しければ当然取りづらいです。
(具体的にどんな部署が忙しいのかは前回の記事「忙しいor暇な部署や平均帰宅時間をぶっちゃけます。」をご覧ください)
能力については、能力が高ければ仕事をさっさと片付けて休暇が取れるし、仕事が遅ければ仕事が溜まってしまって休暇が取れません。
業務細分化による分業体制が進んでおり、他の同僚に仕事を任せて休暇を取るような仕組みになっていないので尚更です。
ただ、この能力の部分については、仕事の能力が高く、日々早めに帰る人であっても、休暇となると別という人が結構多かったように思います。
と言うのも、自分がやらなければみたいな責任感の強い人や、何かあったらどうしようといった心配性な人は、能力が高くても休暇を取りにくい傾向にありました。
一方、実際には本人の「決め」の問題です。
仮のことを考えていたらいつまで経っても休めません。
いなけりゃいないでなんとかなるもんです。
有給の平均取得日数は地方公務員11日、国家公務員14日
公務員の有給取得日数については、総務省が以下のとおり統計を取っています。
※ ( )は平成27年の数字
「平成28年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果」(総務省自治行政局)(http://www.soumu.go.jp/main_content/000523571.pdf)より抜粋
これによれば、地方公務員の平均取得日数は11日です。
なお、国家公務員の取得日数が14日近いというのは個人的には驚きです。
(本省勤務以外の方→ハローワークとか税務署の方とかが結構取るのかもしれません)
ちなみに、元県庁職員の立場として見ると、「県は11.6日?ホントかよ〜?」というのが率直な感想です。
実際に同僚を見ていると5〜6日しか取らない人もかなり多く、10日取る人はかなり少なかったイメージがあります。
ただ、僕自身はほぼ必ず10日以上消化(最大で13〜14日くらい)していましたが(笑)
(風邪などをひいて急遽休む場合も普通は有給を使います。僕はこれが結構多かったですね)
あくまで全国平均ですので、もちろん自治体ごとの差もあるでしょうし、あとは、たくさん取る人とそうでない人の差が結構大きいのだろうと思います。
ちなみに、民間が8.8日となっていますが、ホンダとかトヨタとかNTTだとかは90%超の取得率(つまり18日以上)です。
8.8日というのは、30人以上の企業を対象におこなった調査で出された数字であり、中小企業から大企業までが含まれます。
当然ですが、民間も企業によって相当の格差があると言えます。
定年までに300日の有給が消滅している?
ここで、有給制度について少し解説します。
公務員に付与される有給日数は、公務員試験に合格して4月に入庁した場合、最初の年に15日が付与され、その翌年1月に20日が加算され、さらにその翌年の1月に20日が・・・といったルールになっています。
(国家公務員なら人事委員規則、地方公務員なら条例で定められています)
一方で、有給は40日以上貯められない仕組みです。
仮に有給取得の平均値である11日ずつを毎年取得していったとすると、有給の残数は、
4(1年目)+9(2年目)+9(3年目)+9(4年目)+9(5年目)=40
ということで、5年目で40日に到達します。
次の6年目には49日になるはずですが、40日しか貯められないので、9日分が消失します。(買い取りとかはしてもらえません)
つまり、平均的な有給取得ケースであれば、入庁から5年目に40日に達し、それ以降は定年まで、毎年1月になると9日ずつ有給が消失し続けるということになります。
定年まで38年勤めるとして、そのうちの33年は9日ずつ有給が消えてしまっているとしたら、なんと定年までに297日分の有給が無くなってしまうということになります。
(2018/8/15追記 人事院の意見申出により定年は65歳への延長が確定的となったので、有給消滅日数は342日に増加)
有給には、とても便利な時間休制度というものがある
有給は1日単位で取らなくても、1時間単位で取ることが出来ます。
例えば朝何か用事を済ませなくては行けない場合に2時間休みを貰ってから出勤するとか、午後早めにどこかに行きたいのでお昼以降4時間休みを取ってそのまま帰るとかですね。
累計8時間で1日分取ったという扱いになります。
1日のお休みをなかなか取らない方でも、時間休を頻繁に活用している方は結構いましたよ。
午前に会議があるから1日は休めないけど、思い切って午後はリフレッシュ目的で休もうみたいなのもアリですね。
なお、僕は県庁時代に銀行に出向していたのですが、銀行にはこのように細かな時間で休める制度は無かったですね。(半日休なら取れる仕組みになっていましたが、使う人はほとんどいなかったです)
この時間給というのは、かなり便利な制度だと思います。
有給以外にはどんな休暇があるのか?
夏季休暇
有給以外にもいくつかの種類の休暇があります。
大きなものは「夏季休暇」と「正月休み」ですね。
まず夏季休暇について説明します。
夏季休暇は、7〜9月のうち、好きなところで5日間取得出来ます。
自治体によっても異なると思いますが、だいたいこれくらいだと思います。(国は3日です)
夏季休暇は、有給とは違い、基本的には全部取得するように上司から言われます。
夏季休暇がある一方で、お盆休みはありません。
もちろん、お盆に夏季休暇をあてて休むのはOKです。
と言っても、どこへ行くにもお盆は混みますからね。
僕は、お盆には出勤し、他の平日に休みを取って旅行に行くみたいなことをやっていました。(若手はそういう人が多かったです)
なお、課長をはじめとした上司や、家庭持ちの同僚はだいたいお盆にまとめて夏季休暇を取ります。
よって、お盆は上司のプレッシャーも無く、そして世間的にも暇な時期なので、あまり電話も鳴らず、非常にのんびりと(集中して?)仕事をしていました。
ちなみに、夏季休暇が全部取りきれず、実際は出勤していたのに記録上休みを取ったことにしていた方(本来まずいのでしょうが)もチラホラいました。
ただ、7〜9月と3ヶ月も猶予があるわけなので、計画的に取れば普通は全部取れます。
僕も県庁時代、夏季休暇は全部取りました。
正月休み
次に、「正月休み」を説明します。
正月休みは、12月29日〜1月3日までの6日間です。
これは法律で決まっています。
なお、僕がいた県では、28日や4日のどちらかは有給休暇を取得して7日間休む方が多かったです。(組織としてこのやり方を奨励していました)
余談ですが・・・
僕は何が何でも4日に休む派でした。
大好きな箱根駅伝を2日と3日で見終わり、その翌日は空白期間として休みをじっくり味わいたかったからです。
忙しい部署にいた時も基本4日は休んでましたから、周りの皆さんに比べれば僕は結構のんびりしてましたね(笑)。
→その分5日は結構大変でしたが、結局なんとかなります。
その他の休暇について
子の看護休暇、ボランティア休暇、結婚休暇、忌引き休暇、傷病休暇、介護休暇、産前・産後休暇、育児休暇などがあります。
それでは、以下ざっと解説します。
まず、子の看護休暇やボランティア休暇はかなり形式的なものです。
子の看護休暇に関しては、子どもが熱を出すという理由で休む方は結構いますが、ほとんどの人は自分の有給休暇を使っています。
ボランティア休暇を取ったというのは聞いたことが無いですね。
他にもこういう形式的な休暇がいくつかあったと思います。
結婚や忌引きの時は、結婚休暇及び忌引き休暇で対応することが多いです。
僕も新婚旅行時は確か結婚休暇扱いとしました。
ただ、多くの方が有給は消えてしまうほど余ってるわけですから、有給で対応しても同じことだとは思います。
傷病休暇については、大病をして入院する人はもちろん、うつ病で取得する方が多かったです。
傷病で休んでいるというと、僕の中ではうつ病というイメージがありました。
なお、公務員のうつ病は結構多いです。僕が在籍した所属には必ず1名はいました。
3人くらいうつ病の方がいる課もあったりしましたね。
ちなみに、傷病休暇は風邪でも取れるらしいのですが、風邪で使ってる人はほぼ見たことがありません。(1人いましたが、その人は有給をほぼ消化してしまったというなかなかに凄まじい人でした(笑))
基本、風邪やインフルエンザは有給で対応します。
介護休暇は、実態がよく分からなかったので調べてみたところ、総務省の調査によれば、平成28年度で計2500人弱しか取得していないとのこと。
都道府県と市町村全部で1800近くあるわけですから、1つの自治体に取得者が2人いないわけですね。
僕も介護休暇を取っている方を見た記憶が無いです。
産休と育休は次の項目で触れます。
上記のように色々と休暇がありますが、特に若手であれば、有給・夏季休暇・正月休みくらいしか縁が無い方が多いと思います。
産休・育休について
産休は産前8週、産後8週が取得可能
産休は、産前8週、産後8週が取得できます。
(民間に比べ、産前休暇が2週間多く取得出来るのが特徴的です)
なお、産前については取らなくても構いませんし、産後も6週を過ぎれば勤務してOKです。
ただ、ほとんどの方は全て取ると思います。
なお、妊娠が分かった時点で、産前産後および育休を取るであろうことは上司が意識に織り込みますし(当然本人へのヒアリングもなされます)、休み中は代替職員も配属される仕組みになっていますので、安心して休暇を取れる環境にあります。
なお、僕の妻(市役所職員)も産前8週はフルで取り、その後産休8週を取った後に1年の育休に移行しています。
女性の育休取得率はほぼ100%で、期間は最長3年取得可能(民間は原則1年)
次に、育休の取得率と取得期間を解説していきます。
まず取得率ですが、総務省の調査によれば、女性はほぼ100%近い方が取得(99.1%)しています。
男性の取得は国・地方ともに力を入れていますが、実態は3.6%とまだまだですね。
「平成28年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果」(総務省自治行政局)(http://www.soumu.go.jp/main_content/000523575.pdf)より抜粋
次に期間です。
公務員は法律上、育休を最長3年取れます。
統計としては、6ヶ月〜1年6ヶ月という期間で育休を取得している方が最も多い(女性取得者の約53%)です。
(確かに3年取れますが、手当を貰えるのは原則1年なので、その点と保育園の入所タイミングの関係でこの期間が最も多いと思われます)
「平成28年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果」(総務省自治行政局)(http://www.soumu.go.jp/main_content/000523575.pdf)より抜粋
なお、民間は通常1年(保育園に入所出来ないなど止むを得ない場合は最長2年)の育休取得が可能となっているのに比べ、公務員の3年というのは非常に恵まれていることが分かります。
また、取得実態としては6ヶ月〜1年6ヶ月を取得する方が多いとは書きましたが、3年近く取る方も18%います。
民間に比べ、公務員の子育て環境はかなりメリットが大きい
ここで、もう少し民間と公務員の違いについて踏み込んで行きたいと思います。
公務員の場合も、結果的には6ヶ月〜1年半くらいの育休を取得する人が多いのであれば、民間とほぼ同じじゃないか?と思われるかもしれません。
確かに民間も法律上では労働者から要求があれば原則1年を認めなくてはいけないわけですが、実態としてどうかという話です。
(決して法令違反をしていると言っているわけではなく、育休が取りやすい環境にあるかどうかこそが最も重要だということです)
一方で、公務員の場合は法律を絶対に守らなければなりませんし、むしろ率先して育休の取得促進(民間への普及)をアピールしていく立場でもあります。
これは非常に大きな違いです。
また、そもそもの話として、日本全体として見た場合、出産を機に退職する女性が50%程度います。(→国立社会保障・人口問題研究所が出した2015年の統計値)
この統計では、公務員と民間の割合までは分かりませんでしたが、おそらく公務員の割合はかなり少ないのではないかと思います。
僕が現役公務員時代に見てきた中でも、子どもができたから退職したという例はあまり聞いたことがありません。
このように、出産〜子育て〜職場復帰(→復帰後の異動先の配慮や時短勤務制度)のサポート体制が確実に担保されているという点は、公務員の子育て環境における大きなメリットであると考えます。
まとめ
- 有給休暇の平均取得日数は、地方が年間11日、国が14日程度(実態として、部署ごとでの差が大きい)
- 有給休暇は1日単位だけでなく、1時間単位でも取ることができる
- 有給以外の休暇として、夏季休暇が5日程度、正月休みが6日間取得できる
- 育休等の子育て環境は、一般的な民間企業と比べて公務員はかなり充実している
以上です。
最後に、有給に関して個人的な意見を一つ。
もちろん部署によるところが大きいですが、取る気になれば結構有給は取れます。
僕も、出先にいた時は取る気になれば20日以上取る余地は余裕でありました。
ただ、そのようなノリで休んでたらキャリアが変わっていたのは間違いないです。
結果的に、その後かなり貴重なポジションを回らせていただき、色々と勉強させていただいたのは事実です。
結局、有給に関してはその人が何を望むかということです。
-
暇なところであれば、暇だからこそ出来るプラスαの仕事に積極的に取り組んでみる。
-
思い切ってたくさん休み、本気で遊んで色々な経験を積む
-
同様にたくさん休み、その時間を自己研鑽に充てる
どれも正解です。
ただ、僕の経験上言えるのは、暇なのにダラダラ仕事をしたり、別に何もすることは無いけれどなんとなく休むといった半端な路線を取ると、何の記憶にも残らない無駄な時間で終わってしまうということですね。
なお、個人的にはどうしても仕事に行きたくないからサボると言うのは全然アリだと思います。
自分の身体の声に従うことは、生きていく上で最も大切なことの一つですからね。
次回、「公務員は楽なの?」シリーズの最終回「民間との違い」について、銀行に出向をしていた経験を踏まえて書いていきます。
今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!
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