こんにちは、元公務員のシュンです!
いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!
今回は「公務員に向いてない人」がテーマです。
どんな職業もそうですが、向いている向いていないというのは確実に存在します。
これから公務員を目指す方の場合、事前にどういった人が不向きなのかという点をきっちり押さえておけば、その後に回り道(転職など)をするリスクを減らせます。
以下では、県庁に10年近く身を置いた僕自身の経験を踏まえて書いていきます。
公務員に向いてないとはどういうことか?
根本的な価値観がズレていたらおしまい
まず、「公務員に向いてない」とはどういうことを指すのか考えてみます。
会社員である限り、基本的には社長の意向や組織風土に従わなければならないため、絶対に何かしら合わないところはあります。
それを完全に無くしたいなら自分が社長になるしかないということになります。
そういう前提を踏まえた上で、自分にとって妥協できる部分とできない部分は何かというのを探っていく必要があります。
その上で、妥協できない価値観においてズレが生じていれば、それは決定的に向いていないということです。
その場合、せっかく公務員になったとしても、辞めることになるか、精神的な病気になるかです。
あなたという価値のある人間の能力を最大限に発揮できないままに人生の大半を費やし、自分が死ぬ時に間違いなく後悔することになるでしょう。
公務員の価値観とは何か?
それでは、公務員の価値観とはどういうものなのか、僕の10年にわたる現場経験を通して感じたことを書いていきます。
全体を通して「違和感」を感じないかどうかに注意してご覧になっていただければと思います。
→大きな違和感を感じたのであれば向いていない可能性が高いです。
公平・公正を重んじる
公務員において重要なキーワードは公平・公正です。
例えば、お金をたくさん持っていても保育所に優先入所させてもらえる訳ではありませんし、何かの補助金申請の手続きの際に手数料を多く払えば申請を早めてくれるようなこともありません。
誰もが公平に保育所入所の審査を受ける権利があり、審査基準がきちんと公表され、公正に審査がなされるわけです。
周りの自治体に合わせる
公平性については、周りの自治体との比較においても重要視されます。
例えば、A市は子どもの医療費が小学6年生まで無料だが、B市とC市が中学校3年生まで無料であるとすれば、A市としては中学校3年生まで引き上げない訳には行かないよなぁとなります。
このような話は非常に分かりやすいですし、実際A市に住む子どもを持つ親の目からすれば、そりゃA市も中学校3年生まで医療費を無料にしたほうがいいとなるかと思います。
問題なのは、あらゆる施策についてこういった横並びの意向が働くということです。
つまり、「近隣がやっているが、大した効果が見込めずやる必要が無さそうな施策」や、「近隣(全国)がやっていないからこそやるべきと思われる革新的な施策」の実施判断についても、近隣自治体に引っ張られて方向性を決めがちになるということです。
自分で考えてやるかやらないかを判断することよりも、近隣がやっているかやっていないかありきで判断することが多いというのが、公務員の大きな特徴と言えます。
財政が苦しいから、新しいことは出来るだけやらない
基本的には各自治体とも借金だらけです。
今後も人口が減収する一方で、社会保障経費は増え続けるのでとにかく予算は抑制したい。
そうなると、予算付けを判断していく財政課は厳しい目線にならざるを得ません。
つまり、何か新たに事業をやろうとする際には、「その事業がどれだけ将来に効果が期待できるのか?」という観点からの判断よりも、「周りの自治体・都道府県がやっているのか?周りがやってないなら基本的にやらなくていいでしょ?」という観点での判断になりがちです。
予算が無ければ進まない事業が多いため、結局はこの判断に自治体全体の動きが引っ張られていくということになります。
(もちろん低予算で知恵を絞って大きなインパクトを出す施策を行う工夫が必要なのは言うまでもありませんし、実態がこのようなものである以上、そうしたやり方でなければ新たなことがやりづらいということです)
保守的な考え方の自治体になればなるほど、全国に先駆けてみたいな案件はとにかくやらない(財政当局に却下される)ということになります。
→もちろん知事とか市長が強く言う案件であれば実施されますが、担当者レベルのものはなかなか通りづらいということです。
一方、予算がかなり豊かな自治体であれば、各種施策の公平性を重視しつつも、特に強化したい施策についてはかなり攻める施策を打てるということです。
新規事業に関する僕の意見としては、人口減少局面という未曾有の事態だからこそ、強烈な攻めの施策(単発イベントとか啓発イベントみたいものではなく、長期的に見て人口増・税収増が見込めるような本質的な施策)を打っていくべきだと思います。
しかし、まずはお金が苦しいという現実を直視して、そこに対し相応の対策を行ってからやるべき話なのは言うまでもありません。
実際、歴々と続いているどうでもいいような事業はどの自治体にも多くあります。
そうした前例踏襲・しがらみ予算を潰し、支出面を徹底的に削減した上で、本当に必要と思われる施策に集中して取り組んでいく必要があります。
しかし、過去から続いている無駄な事業をどんどん潰し、予算や事業をスリム化してから新規で本当に重要な施策に取り組むというのは論理的にはいくら真っ当だとしても、実際問題としては難しいです。(利権、OBとの関係、議員との関係、首長が選挙で勝てるか否か・・・様々な要素が複雑に絡み合っています)
公務員的価値観は、自治体によって結構異なる部分もある
とにかくよく希望する自治体の特色を研究すること→人に会おう
ここまで書いてきたことは、多くの自治体に当てはまる傾向ということであり、自治体によってもかなり毛色が異なります。
自治体について突っ込んで調べることができれば、自分の価値観に合う自治体を探すことも可能でしょう。
一方で、自治体の裏側の話というのは、表面上(新聞とかHPとか)ではほとんど見えてきませんので、ハードルは少し高いかもしれませんが、どうにかしてその自治体の人と仲良くなって色々と仕事上のリアルな話を聞くことをオススメします。
ネットの採用案内などでは100%分かりませんし、自治体の説明会などでも100%分かりません。
これを言ってしまうと元も子もないですが、オフィシャルなものは着飾ってありますから、あまり信じないほうが良いです。(給与の統計など数字のデータはもちろん信頼しうるものですが)
首長の性格によるところも大きい
首長の声というのは超重要です。
正直自治体の改革は首長次第というところがあり、首長のリーダーシップが強ければ、過去のしがらみを潰して強硬路線で進むことも可能になります。
よって、自分の価値観に合った施策をガンガン実施しているとか、首長の考え方が価値観に合っているとかいうところであれば、それは自治体を選ぶ上での重要な参考材料になります。
また、一旦大きな改革が行われたところであれば、それが前例踏襲としてその後も残っていくケースも十分に考えられます。
とは言え、超改革派の市長の直後に超前例踏襲派の市長に交代になれば、収拾がつかないことになる可能性もあり、運の要素も結構あります。
まとめ
- 組織に所属する従業員である以上、100%向いているということはあり得ない
- 重要なのは、公務員の基本的価値観に対し妥協できるかできないかであり、全く妥協できないのであれば完全に向いていないので、公務員という選択はオススメしない
- 公務員における大きな基本的価値観として、「近隣自治体を睨みつつ横並びをベースに施策判断を行う」というものがある
- 多くの自治体は横並び主義であるが、自治体の文化や、就任した首長の性格によって異なるケースもある
- よって、自分の価値観と自分の志望する自治体の価値観とのすり合わせを行うというのがキーポイントになる(その場合、自治体の人と仲良くなり、色々リアルな話を聞くのがオススメ)
近隣自治体という判断基準に沿って意思決定をするのは非常に分かりやすくていいと感じた方であれば公務員に間違いなく向いています。
逆に、自分たちからドンドン仕掛けていきたいと思う方の場合、多くの公務員組織においては例外(異端児)的な考え方になります。
そこでやりたいことを実現するためには、組織に立ち向かうだけの巨大なエネルギーがいります。
それだけのエネルギーと覚悟(しかも長期戦です)が無ければオススメはしません。
→しかし、エネルギーと覚悟を持って継続できれば絶対に達成出来るという点は付け加えておきます
これから公務員を目指す方であれば、しっかりと自分の価値観と向き合い、また希望する自治体の価値観とも向き合い、後悔の無い判断をするようにしましょう。
今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!
>>公務員の適性(向き・不向き)をまとめた記事はこちらです