こんにちは、元公務員のシュンです!
いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!
今回は、株式会社ブランド総合研究所によって発表された、都道府県魅力度ランキング2018をテーマに書いてみます。
1位は毎年のように北海道で最早スルー、むしろ最下位の茨城県が毎度いじられるという恒例のランキングですが、
「そもそも魅力度ってどうやって算出されているの?」
「この順位って妥当なの?」
といった点について、公務員時代から個人的に気になっていたため、今回分析をしてみました。
2018の都道府県魅力度ランキング
去年と大して変わらない
まずは2018年魅力度ランキングの結果を抜粋してみます。
ランクアップが青、ランクダウンが赤です。
順位(昨年順位) | 都道府県 | 順位(昨年順位) | 都道府県 |
1(1) | 北海道 | 25(25) | 山梨 |
2(2) | 京都 | 26(34) | 岩手 |
3(3) | 東京 | 27(34) | 愛媛 |
4(4) | 沖縄 | 27(34) | 福島 |
5(5) | 神奈川 | 29(30) | 三重 |
6(6) | 奈良 | 30(38) | 山形 |
7(7) | 大阪 | 31(26) | 新潟 |
8(8) | 福岡 | 32(27) | 島根 |
9(9) | 長野 | 32(28) | 高知 |
10(11) | 長崎 | 34(33) | 香川 |
11(10) | 石川 | 34(40) | 岡山 |
12(12) | 兵庫 | 36(31) | 和歌山 |
13(14) | 静岡 | 36(31) | 山口 |
14(13) | 宮城 | 38(28) | 滋賀 |
15(15) | 愛知 | 39(39) | 福井 |
16(19) | 千葉 | 40(37) | 岐阜 |
17(16) | 広島 | 41(41) | 鳥取 |
18(18) | 鹿児島 | 42(41) | 群馬 |
19(17) | 青森 | 43(44) | 埼玉 |
20(19) | 宮崎 | 44(43) | 栃木 |
21(21) | 熊本 | 44(45) | 佐賀 |
22(23) | 富山 | 46(46) | 徳島 |
23(21) | 大分 | 47(47) | 茨城 |
24(24) | 秋田 |
出典:「地域ブランド調査2018」(ブランド総合研究所)
昨年に比べると、ランクアップ11、ランクダウン17、変動無し19です。
ただ、25~35位付近の順位変動はそれなりに大きいものの、上位には全く変動がありませんし、全体で見れば去年と大して変わらないというのが結論です。
魅力度ランキング調査の分析
たくさん調査してるけど、順位を細かく公開しているのは「魅力度」のみ
それでは、ここからはランキング調査自体について詳しく分析していきます。
まず、順位のベースとなっているアンケートの実施条件は以下です。
調査方法:インターネット調査
回答者:年齢20代~70代の消費者を男女別、各年代別、地域別にほぼ同数ずつ回収。
※日本の縮図になるように、年齢や地域人口の分布にあわせて再集計した。有効回収数: 約3万人
◆調査項目◆
①外から視点の評価 【計84項目】
認知度、魅力度、情報接触度など
②内から視点の評価【計26項目】愛着度
自慢度など
地域総合研究所HPを活用して作成
同研究所は100項目以上を調査しているものの、毎年全順位が公開されるものはこのうち「魅力度」だけであるということですね。
ただ、こちらのニュースリリースでは、魅力度以外の項目の順位が一部公開されており、例えば北海道は魅力度だけでなく、観光意欲度、食品想起率、食品以外想起率といった項目で1位を取っています。
色んな項目が高いから魅力を感じるわけでしょうから、魅力度と他の項目はかなり因果関係があると言ってもいいと思います。
詳しく知りたければ購入せよ
魅力度以外のデータが詳しく知りたければ同研究所から購入するという形になっています。
お値段は、、、
- 総合報告書(1000市区町村と47都道府県データ)74000円
- 個別報告書(希望する市区町村や都道府県データを細かく分析したもの)46000円
な、なるほど。
でも、ビジネスだから当たり前ですよね。
どのように魅力度の順位づけをしているのか?
アンケート(「とても魅力的」or「やや魅力的」or ・・・)を点数化
魅力度については、例えば2018年の北海道なら59.7、茨城なら8.0という形で点数化されて順位づけがされています。
アンケートの現物が公開されておらず、どうやって点数がつけられているか分からなかったのですが、こちらのページで2009~2011のエクセルデータが無償公開されており、内容を分析したところその採点手法が明らかになりました。
まず、アンケート項目は以下の5つです。
1 とても魅力的 2 やや魅力的 3 どちらでもない 4 あまり魅力的でない 5 全く魅力的でない |
アンケート集計後、1の回答割合+2の回答割合の1/2を合計して算出しているようです。
例えば、1の割合が40%、2の割合が20%なら40+20/2で50点ですね。
2011年と2018年の算出方法が同じであるかは不明でしたが、
- 2011の北海道の点数は70.7(1位)、2018は59.7(1位)
- 2011の京都の点数は53.4(2位)、2018は52.2(2位)
- 2011の東京の点数は40.3(4位)、2018は41.9(3位)
- 2011の茨城の点数は7.2(47位)、2018は8.0(47位)
ということであり、差もあまり無いので多分同じでしょう。
上位以外はほとんど「どちらでもない」
つまり、魅力度の算出に当たっては、「1 とても魅力的、2 やや魅力的」の項目こそが重要で、「3 どちらでもない、4 あまり魅力的でない、5 全く魅力的でない」は順位に影響しないということです。
(あくまで2011年と算出方法が変わっていない場合)
一方で、2011年のデータを見てみると、
- 1位の北海道は、1のとても魅力的と2のやや魅力的で約92%を占めているのに対し、
- 10位の福岡ですら、3のどちらでもないが最多の44.7%(2のやや魅力的が36.2と多いのが上位要因)
- 24位の宮崎は、3のどちらでもないが圧倒的最多の56.8%
- 47位の茨城は、同じく3のどちらでもないが圧倒的最多の60.2%
つまり、実態としては大半の県において、「どちらでもない」が最も多いことが分かります。
荒っぽく言えば、上位の都道府県以外の各県は、多くの人にとってどうでもいいと思われているということです。
「どちらでもない」というイメージが大きく転換されることはまず無いですから、上位はほぼ固定化されます。
中盤以降はちょっとした要因で「やや魅力的」が増えて順位変動が起こるくらいであり、正直どんぐりの背比べみたいなものだと言えるでしょう。
このランキングが妥当なのか
このランキングが妥当かどうかと言われれば、それは人それぞれの考え方だと思います。
数字が持ち込まれることで競争意識が醸成されるという考えもあるでしょう。(そのことによる問題点は、以下のまとめの中で書きます)
もっと指標を改良せよという意見もあるでしょう。
ただ、重要なのは多くの県で「どちらでもない」が大勢を占めていて、その割合は20位だろうが最下位だろうが大して変わらないということです。
本気でランキングを上げたいなら、そういう点に目を向けた上で、圧倒的に勝つところを目指すしかないということは押さえておくべきでしょう。
まとめ
- ブランド総合研究所は、魅力度以外にも100項目以上を調査しているが、毎年順位が公開されるのは魅力度のみ
- 魅力度に関して、上位の都道府県を除けば「どちらでもない」と思われているところが大半(2011年に10位である福岡ですら、「どちらでもない」が占める割合がトップ)
ちなみに、首長やら議員はこのランキングを結構気にするため、議会の質問で話題になったり、順位向上のために何か施策を打ち出したりします。
(僅かでも順位が上がれば、それを実績として住民にアピールできます)
一方で、このように分析をしてみれば、一時しのぎで何かやるというのが全く本質的でないことが分かると思います。
(茨城みたいに開き直って面白いことやるみたいなノリは好きですが)
多くの県が、大半の人から「どうでもいい」と思われているわけですから、短期でアピールをして40位から20位になることに大した意味はありません(その場合、「やや魅力的」を付け焼き刃で増やしているだけですから、どうせすぐ戻ります)。
そうではなく、長期視点(例えば10年レベル)で本物の底力(「とても魅力的だ」のレベルを増やす)をつけていくのが本質だということになります。
※そもそもそんなことどうでもいいから、借金経営をどうにかしろといった話はとりあえず置いておきます(正直これが最も重要ですが)
もちろん、このランキングを契機にそういった長期視点で見ていくのであればいいのですが、首長も議員も選挙がありますから、短期的な対応に終始しがちです。
もし公務員の方でこれを見ていらっしゃる方がいたら、一時しのぎをしようと興奮している首長や議員を諌めていただければと思います(笑)
でも実際、そういう本質ではない数字に踊らされる方たちに従うしかないというのが公務員の宿命なんですよね・・・(お察しします)
今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!
>>ついでに都道府県庁職員の年収ランキングも知りたい場合はこちら
魅力度ランキングUPを目指して、頑張るのは良いことだと思います。
何か物差しが無ければ、やる気が出ないので…
コメントありがとうございます。
指標がないとというのはまさにおっしゃる通りかと思います。
個人的には、自分たちでどの指標を高めたいという戦略があってこそ指標は意味を持つと考えます。
周りが出した数字に一喜一憂するというのは戦略性に欠けていますし、また、自分たちの強みでもない指標を強化しようとしても的外れの方向にいくと考えます。
自分たちの強みが分かっていれば、ランキングに一喜一憂することはない(一方、強みとしている指標についてはダントツ1位を取るくらいでないとまずいですが・・・)と思いますし、それこそが根本であると思います。
→例えば、うちは徹底的に教育に力を入れていて、学力はいつも全国トップクラス、人口1000人あたりの社長数はNo1だみたいな強みがあれば、魅力度が仮に最下位クラスだとしても何ら問題はないと思います。(また、そのように「魅力度ランキングでは低いけど・・・」みたいに自分たちの本質を売りにできれば、仮に観光で人が来なかったとしてもそういうところで子どもを育てたいとして移住者の増などに繋げられると思います)
もちろん魅力度ランキングで上位を取れているところがそのことをアピールするのは良いと思いますが、それだけに限らず、上で書いたような視点も含めてうまく「利用」していくのが肝なのではないかなと考えています。