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実話に基づく「日本で一番悪い奴ら」の感想。警察組織を近くで見た元県庁職員として感じたこと。

こんにちは、元公務員のシュンです!

いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!

 

今回は、犯罪を摘発するために犯罪行為を繰り返す警察官をテーマにした映画「日本で一番悪い奴ら」を見た感想を書いてみます。

 

かなり面白いですが、色んな意味でヤバい映画です。

 

以下では、僕自身が元県庁職員として間接的に警察組織を見て感じたことなどにもチラッと触れながら感想を書いていきたいと思います。




感想とざっくりした概要

感想→よく公開できたなぁ・・・の一言に尽きる

映画全体としては、シリアスな雰囲気がほとんど無く、不正を働く様子がエンターテイメント性豊かに表現されており、見ていて単純に面白かったです。

 

しかしそれ以上に「これ、よく映画として公開出来たな〜」というのが率直な感想です。

 

綾野剛演じる主人公、北海道警の諸星刑事にはモデルがいます。

本作は、モデルとなった警察官(稲葉圭昭)が逮捕・有罪判決を受けた「稲葉事件」という実話をモチーフに作られた作品です。

映画の描き方としては、北海道警の組織的な捏造や違法捜査が行われたことを前提にしている側面が強く(裁判では道警の違法性は否定されている)、各種方面から圧力は無かったんだろうかというのを凄く感じました。

 

大昔の事件であれば、まぁ歴史の話だからみたいな感じで済むでしょうが、彼が逮捕されたのは2002年ですからつい最近の話なんですよね。

 

ざっくりした概要と印象に残ったエピソード

綾野剛演じる北海道警の諸星刑事が、ヤクザやら薬の売人やら裏の世界の人間と手を組み(S=スパイとして情報を警察に流させる)、犯罪を数多く摘発していきます。

 

しかし、徐々に摘発がエスカレートし、しまいには、銃の摘発数をあげるために銃を買い取ってそれを摘発した形にするといった悪質なやり方に手を染めるようになります。

 

一方、当時は銃の摘発が日本の警察の中で重要なテーマ(警察庁長官狙撃事件などが起こったことが背景にある)になっており、課長をはじめとした上司たちもそういった悪質なやり方に便乗し、何でもいいからとにかく数をあげるぞというノリで銃の摘発数をガンガン増やしていくことに。

しかしもちろんそうした不正が長く続くはずもなく・・・。

 

というのがざっくりした概要です。

 

特に印象的なエピソードとして、銃摘発数を増やすための課長や直属上司との打合せの中で、ヤクザから銃を買うとか、ロシアに銃を買い付けに行くとかいった案を出しながら、

「一丁でも摘発できれば道民は安心できる」

「どうせ放っておいても銃は出回るんだから先に警察が買っちゃうのは手」

といったことを話しているシーンがあるのですが、リアルにこんなやり取りがあったら笑えないですが、でも笑っちゃいましたね。

 

事務方の公務員の世界とはノリが違う?財務省の文書改ざん事件を映画っぽくやると・・・

もちろん映画ですから、面白おかしく見せるために誇張されて描かれている部分が非常に大きいでしょうが、元公務員としては、警察と一般行政の職場のノリの違いに強く目が行きました。

 

例えば、森友学園の件で問題になった財務省の文書改ざんを今回の映画風に表現すると、

お偉いさん「で、総理と夫人が森友と「関係を持ってた」っぽくなっちゃう文書はどんだけあるんだ?」

綾野剛的な人「うちに残ってんのはこれくらいです。近財(近畿財務局)分は今根こそぎやらせてます」

お偉いさん「いつまでに全部直せんだ?」

若手下っ端職員「えっ直すってまずいんじゃ・・・」

綾野剛的な人(下っ端の頭をぶん殴りながら)「社長(総理)のクビかかってんだから直すに決まってんだろ、誰に飯食わせてもらってると思ってんだコラ!!!それに、解散総選挙で500億も無駄な税金使うんだったら、森友に値引きした8億で終わりにしたほうがお国のためだろうが!」

注)もちろんフィクションです

 

こんなやり取りが財務省で繰り広げられる可能性は皆無というか、事務方の場合、もっとねちっこくシリアスにやると思います。(不正なのでやり方にいいも悪いもないですが)

 

事務方の公務員と警察官の気質・組織風土の違いはかなり大きいのだろうなというのは一つ感じたところです。




県庁の財政部門にいた時に警察を見て思ったこと

県警の予算というのは県警として独立しているわけではなく、県庁の財政課(道警なら北海道庁の財政課)が管理しています。

よって、警察の予算に関しては、県庁の財政課担当者と県警の予算担当者(警察官ではなく、警察行政職の方ですが)とがやり取りをすることになります。

 

財政課在籍時、僕は県警の担当ではなかったですが、少し離れたところから財政課担当者と県警担当者とのやり取りを見ていると、やると決めたらやる、絶対必要な予算だからととにかく粘る(その粘り具合・執念は他の普通の部局に比べてかなり強い)という雰囲気を強く感じましたね。

 

また、知事に対して各部局の部長が予算の内容の説明をするようなイベントがあるのですが、部局によっては時間ギリギリにようやく来るようなところもある中、県警本部はその際の動きが非常に厳格で、先に何人かが出番の数時間も前のタイミングから待機していて、今◯◯部の説明が終わったというのを電話連絡したりしていました。

だから当然時間には遅れて来るような事はないし、また、本部長以下上層部がガッチリと人数を揃ってやって来ていました。

 

このように、警察組織の強固さや独自性というのを感じる場面は財政課時代にちょこちょことありました。

 

もちろん、犯罪取締等を行う上では凄く効率的な部分があるのでしょうが、一方でこの映画のように(映画の内容が全て本当かどうかはともかく)、部下たちが目的のために手段を選ばないという方向に走る可能性はあり得るのだろうなというのは思いましたね。

 

綾野剛演じる主人公警察官のモデル稲葉圭昭氏が語る裏話

引用:https://www.vice.com/jp/article/bj5dz8/inaba-the-worst-police-in-japanより

 

VICEというサイトのこちらの記事で、モデルとなった元警察官である稲葉圭昭氏が映画の内容に触れながら裏話をしています。

 

記事の内容がめちゃくちゃ濃いので、興味のある方はそちらを読んでもらうのが一番いいです。

 

もちろん、一人だけの意見だけが真実だとみなすのは非常に危険ですが、何もかもを失っている人の話だからこそ信憑性が増す部分も大きいのだろうなとは思います。

 

ちなみにですが、この稲葉氏、一瞬ですがなんと映画に出演しています。(右側の方です)

 

おわりに

最初にも書きましたが、単純に面白い映画ですのでオススメです。

ドンパチみたいなのもほとんど無いので、そういうのが苦手な人でも大丈夫だと思います。

 

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今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!