公務員の仕事内容

仙水忍(幽遊白書)に学ぶ公務員制度【元公務員が解説】

こんにちは、元公務員ブロガーのシュンです!

いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!

 

皆さん「幽遊白書」というマンガを知っていますか?

僕は全巻持っていて、ほぼ全ての技名や場面ごとのセリフを暗記しているくらいに大好きなのですが(笑)、今回は「幽遊白書のキャラから学ぶ公務員制度」というテーマで書いてみます。




仙水忍(幽遊白書の敵キャラ)に学ぶ公務員制度

今回の元ネタはこちらです。まずはぜひご一読ください。

もちろん文字部分はコラージュですが、仙水忍と樹という敵キャラの会話を通して公務員の実態が書かれています。

 

↓出だしはこんな感じ。思わず笑ってしまいます。

「公務員になる夢が断たれた」(樹)

「なぜだ?」(仙水)

「今日が29歳の誕生日だった」(樹)

「え?その年で受験生やってたの?」(仙水)

ちなみにですが、今は社会人採用枠を設けているところも多いです。その場合、それこそ定年まで受けられるところもあります。

 

さて、以下で内容について、色々と突っ込みながら解説していきます。

 

警察官はそんなに甘くない!

樹がこのように語ります。

「例えば警察職の平均月収が57万

賞与が年4.4ヶ月

平均年収845万

退職金2000万

超一流企業並の給与に福利厚生は完璧

警察官用の公舎が

タダみたいな値段で

借りられて家賃不要

さらに国1に合格してキャリアになれば警部補からのスタートだ」

 

お金の部分は概ね正しいのですが、

「国1に合格してキャリアになれば警部補からのスタート」

という点は大きな誤解を招きますね。

 

国1キャリアで警察官になる(警察庁に採用される)のは、通常の警察官(警視庁や道府県系)に合格するのに比べ難易度に天と地ほどの差があります。

数値化するのは難しいですが、警察庁キャリアは東大が多いということでもその難易度はなんとなく想像できるのではないでしょうか。

 

さらに、

「もちろん公務員だから定時に家に帰れるし倒産もない」

とありますが、当たり前ですが警察官の多くは定時になんて帰れません。

 

勤務先にもよるでしょうが、年中真夜中でも呼び出されて寝た気がしないなんていうのもザラなのが警察官のお仕事ですので、この表現は全く正しくないですね。(倒産がないのは確かですが)

 

本物のゆるい公務員はこれだ!

しかし、まさに世間がイメージするような(イメージ以上の)堕落した公務員も存在するものです。

 

僕の知っているケースを先ほどの部分に当てはめてみるとこんな感じになります。

「出先機関ばかり巡っている行政職の平均月収が40万

賞与が年4.4ヶ月

平均年収630万

退職金2000万

激務本庁並の給与で仕事量は1割

有給休暇が

バカみたいに使い放題で

遠慮も無用

しかも毎朝の仕事は新聞を端から端まで読むことからスタートだ

もちろん出先だから定時に家に帰れるしストレスもない」

※ノンフィクションです

もちろん出先勤務の人が全員こうではないので、一部の方からはお叱りを受けそうですが、でもホントにこういう人っています。

(→県庁の出先機関には多かったです。特に行政職男性。)

 

ま、でも流石にここまでの人は本当に例外です。

パレート最適という有名な法則(要は、2割は優秀、6割は普通、2割はダメという話)がありますが、

2割の仕事しない人の中のさらに2割ってな感じですかね。(全体の4%?いや、もっといるかも・・・)

 

公務員のリアルな実態はそれなりに辛い

極端に仕事をしない公務員の例を出しましたが、当たり前ですがそこまでひどい人は少数派であり、また、公務員の仕事はそれなりに大変です。

 

例えば、サービス残業や休日(サービス)出勤も結構ザラです。(ちなみに僕は月に150時間以上残業して3万円くらいしか残業もらえなかったこともあります)

 

てな訳で、公務員の本音ベースに落とし込むとこんな感じでしょうか。

「例えば行政職の退職金がマイナス500万、

たった10年の出来事だ

しかも定年は65歳に伸びる

福利厚生はどんどん削られ

残業をいくらしても

タダみたいな値段で

働かされて代休不要

さらに国1キャリアの若造が派遣されてこき使われる

もちろん公務員だから労基も助けてくれない。」

 

もちろん漫画では公務員の恵まれた側面を表現したいのでしょうが、当たり前ですが現実は色々あるっちゃあります。

(とはいえ、ノルマや成果に縛られず、年功序列で高い水準の給料が維持される公務員が非常に恵まれているのも間違いないですが)

 

公務員は公益のために働いている!ってホント・・・?

仙水というキャラがこんなことを言います。

「公務員について調べているうちにね

この国の制度がいかに腐っているかがわかるんだ

だが それを止めようと努力する気がおきない

何故か分かるかい

その腐食部分こそオレに利益をもたらすということもわかってくるからさ

君もいつかきっと気づく

公務員は公僕 公益のために身命を賭す・・・

そんなのはただの建前なんだと

この国の法は公務員のために出来てるんだよ

国民の事なんてどうでもいいんだよ

自分たちの福祉こそがもっとも重要なのさ」

 

さすがにここまで露骨に思っている公務員の方はいないでしょう(笑)

 

一方で、これは結構真を突いている文章でもあります。

 

元公務員として断言できますが、ほぼ全ての公務員が、

一部の上司や議員の「見栄や権益」のために仕事をしたり、全く意味のない「体裁」直しに時間をかけたり、意味もないのに惰性で続いているだけの無駄な仕事

を経験したことがあると思います。

 

「経験したことがある」というレベルどころか、そういう仕事は非常に多いです。

 

しかし、本当に公益を考えているのであれば、無駄な税金は使うべきではありませんから、費用対効果を厳密に見極めて仕事をするべきということになります。

 

確かに法律上でどうしようもない仕事(例えば全く役に立っていなそうな統計でも、法律で決まっていれば簡単にやめるわけにいかない)もありますが、担当者レベルでスクラップできる事業がたくさんあるのも事実です。

もちろん、担当者として成果につながらないような無駄な事業を立案しないことも重要です。

 

その一方、スクラップをしたりするのは各種調整が必要になりますので現実的には大変です。

結果的に前例踏襲で与えられた仕事をこなしていくケースが多くなります。

 

もちろん、元職員として前例に逆らうことの大変さはよく分かるのですが、本質的な話をすれば成果こそが全てです。

 

大元が無駄な仕事であれば、いくら気持ちで公益のためだと頑張ったところで、外から見ればそう見えない(それこそ漫画に書かれたように取られても仕方がない)という事実を押さえておくことは重要だと思います。

 

住民のためと「思っている」なんてどうでもいいわけですね、「思っているなら結果で示せ」というのが住民側の意見でしょう。

(もちろんそういう本質論以前に、税金で飯を食うという職業をただ叩きたいだけという欲求もあると思いますが・・・)

 

そんなわけで、このくだりについては仕事について考える上で一つの示唆になるようにも思います。

 

おわりに

結局税金で飯を食う公務員は叩かれる運命にあるわけですが、「成果」にスポットを当てた場合、叩かれてもやむを得ない部分があるのも事実です。

 

今回の話もネタとして受け流すだけでなく、気づきとして自分の仕事の中で活かしていくことができれば、公務員としてのより良い仕事に繋がるのではないかなと思います。

 

ちなみに、この漫画シリーズは結構面白くて、個人的には「戸愚呂面接官に学ぶ中途採用基準」というのがめちゃくちゃ好きです。

興味があればぜひご覧になってみてください。

https://matome.naver.jp/odai/2135400555523975601

 

今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!