書評

【書評】ユダヤの商法(藤田田著)【高値で売買されていた幻の書】

こんにちは、元公務員ブロガーのシュンです!

いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!

 

今回は、日本マクドナルド創業者の藤田田さんの「ユダヤの商法」を読んだので概要をざっくり紹介します。

この本に関しては、ソフトバンクの孫社長が高校生時代に読んで感銘を受け、藤田社長に会うため会社に乗り込んだ(後述)という逸話があります。

また、1970年代の本で絶版になっていて、メルカリなどでは1万円近い価格がついているというレア本だったのですが、ついに新装版が販売されました。




「ユダヤの商法」にまつわる藤田社長とソフトバンク孫社長のエピソード

冒頭でも触れましたが、この本を語る上でぜひ押さえておきたい話があります。

それは、筆者である藤田田社長とソフトバンク孫社長にまつわる逸話です。

 

当時高校生だった孫社長は本書を読んで感銘を受け、藤田社長の元を訪問します。

ただ会いたいと言っても会ってもらえないと踏んだ孫社長は秘書にこう伝えます。

三分間だけ、社長室の中に入れてくれればそれで良いです。私はそばに立って藤田社長の顔を眺めています。目も合さない、話もしないということなら藤田社長のお邪魔にはならないのではないでしょうか?

孫社長の尋常でない行動力をあらわすエピソードだと思いますが、その執念が実り、藤田社長と15分間の面談にこぎつけます。

 

そこで孫社長が「これから有望なビジネスとはなにか」と藤田社長に尋ねたところ、「これからはコンピュータの時代だ。これからビジネスをしたいなら、コンピュータの勉強をしろ」とのアドバイスを受けます。

 

その後、孫社長はアメリカでコンピュータを学び、それが現在のソフトバンクに繋がっているわけですから、まさに日本のビジネス界において非常に重要な意味を持つ1冊だと言えるでしょう。

 

ざっくり言うとどんな本なのか?

ズバリお金持ちになりたい方に向けて書かれている本

本書は、藤田社長がお金儲けの天才と言われるユダヤ人から学んだ商法について書かれている本です。

 

あとがきの中で藤田社長はこのように書いています。

  • お金が欲しいと思っているならこの本を読んで、ユダヤ商法を実行すれば必ずお金に慕われる
  • これまで経済学や商法の本が出版されているが、どの本にもお金儲けの法則が書いていない。それはお金儲けをしたことがない学者が書いているからだ
  • 金持ちになれないとすればここに書いた定石を100%守らなかったから。100%守れば必ずお金持ちになれる

2019年現在、お金持ちになるための本(経営者が書いた実践的なもの)は多数出版されていますが、本書が出版されたのは1972年であり、当時はそういった本は非常に少なかったのだろうと想像されます。

まさに「稼ぎ方の本質」を先駆け的に伝えた一冊だったのでしょう。

 

インターネットの発達により、当時と現在ではビジネスの「手段」として取るべき方法論の部分は大きく変わっています。

 

しかし、「原則」や「本質」は時代を超えて同じものです(だから「原則」なのですが)。

ましてや、ロスチャイルドを筆頭に、今現在も世界の富を支配しているユダヤ民族たちの原則となればなおのことです。

 

一方で、藤田社長の言う通り、稼ぎたければ100%実践してくださいということですね。

そんなわけで、お金持ちになりたいなら本書を買ってくださいということになってしまいますが(笑)、以下で僕がいくつか感銘を受けた部分を抜粋してみますので参考にしてみてください。




ユダヤの商法をいくつか紹介

78:22の法則

一番最初に出てくるのが78:22の法則の話です。

パレートの法則とか、働きアリの法則とか言われますね。

 

要は、2割(の人や商品)が8割の成果(売上)を作っていて、残りの8割は2割の成果しか作っていないという話です。

→人間の体は78%が水分で22%がその他、空気は窒素が78%で酸素等が22%といった例示も挙げながら、要は宇宙法則だとも述べられています。

 

商売については、人口20%のお金持ちが全世界の富の80%を保有しているから、お金持ち相手に商売すべしということが書かれています。

 

女と口を狙え

「ユダヤ商法に商品は2つしかない。それは女と口だ」

要は、「女性相手に商売をすること」「食品など口に入るものの商売をすること」こそが儲ける秘訣だということが書かれています。

 

お金を使うのは主に女性であるということ、また、どんなに物欲が満たされても食品は必ず必要であるという原則に基づいた考え方です。

なお、ユダヤ4000年の公理なので証明不要とのこと(笑)

 

ちなみに、ユダヤ人に次ぐ商才があるとされる華僑は口の商品を扱うケースが多い一方、ユダヤ人は女性相手の商品を第一、口に入れる商品を第二としていて、これがユダヤ商人たちが自分たちを華僑より商才があるとしている理由だそうです。

 

契約は絶対に守る

ユダヤ人の教典である旧約聖書は、「神とイスラエルの民の契約の書」とされています。

旧約聖書を拠り所としているユダヤ人は、一旦契約したことは何があっても破らない一方、相手が契約を守らなければ容赦無く損害賠償を突きつけるそうです。

 

お金の本質=信頼ですから、「約束を守る」というのは基本中の基本ということになりますが、それを完璧に実行するとなればなかなか大変です。

 

小さい頃から旧約聖書を通じ「約束」の大切さが自然と習慣化される環境にあるユダヤ人は、やはり商売の天才たる大きな素養があるように感じました。

 

仕事を翌日に持ち越すのは恥辱

ユダヤ人の習慣として、出勤して1時間(「ディクテイト」の時間)は前日の退社後から出社時間までに届いた商取引の返事に費やすそうです。

 

この時間は絶対にユダヤ商人に面会できないとのこと。

 

それは、即刻即決をモットーとしていて前日の仕事を持ち越すことを恥辱と思っているからだそうです。

有能なユダヤ人の机の上に「未決」の書類はないということです。

 

自分の商品は絶対にまけない(安売りしない)

ユダヤ商人は、ある品物を高く売ることについて、あらゆる資料でその正当性を説明(教育)するそうです。

 

そして、商品に自信があるから絶対にまけない、だから利益が大きい、ユダヤ商法が儲かる秘密はここにあると藤田社長は書いています。

 

ユダヤ人が日本の「薄利多売」はバカだ(たくさん売るならたくさん儲けるべき)と言い放ったことに対し、日本とユダヤの歴史の違いを引き合いに藤田社長がその点を認める描写もあります。

 

良いものをきちんとした値段で売るという考え方は、ビジネスをやる上ではしっかり腑に落としておきたい考え方ですね。

(もちろん悪い品を高値で売るのはお話にならないですが)

 

ご飯はゆっくりと楽しみ、決してビジネスの話をしない

ユダヤ人はたっぷり時間をかけて食事をし、その間には豊富な雑学を駆使して様々な話をするそうです。

しかし、食事中に戦争と宗教と仕事の話だけは決してしないとのこと。

 

これは、飲みニュケーションや、ランチミーティングなどの重要性がよく取り上げられる日本の常識とは大きく異なるので大変面白い話ですね。

 

余談ですが、この話を踏まえて昼飯をかきこんでいるサラリーマンやOLのことを揶揄するような文章があるのですが、ファストフードであるマクドナルドってそういう目的じゃ・・・。

 

納得するまで取引はしない

ユダヤ商法の鉄則として、「納得してから取引する」というものがあるそうです。

 

商売はもちろんのこと、例えば他民族の慣習などについても、質問に質問を繰り返し、納得するまで質問の手を緩めないというのがユダヤ人の特徴とのことです。(まさに聞かぬは一生の恥ってやつですね)

 

似たような話で、世界一の投資家であるウォーレン・バフェット(バフェットはユダヤ人ではありません)の投資原則に「自分の分かるもの以外は絶対に購入しない」というものがあります。

儲けられそうだからと自分がよく分からない商品に投資すれば、短期では儲かったとしても長期では必ず負けます。

 

投資に限らずビジネスも人間関係も同様だということですね。

 

まさに何をするにおいても原則としたい考え方だと思います。

 

おわりに

本書は全体を通して、「歯に衣着せぬ」という表現がピッタリの藤田節が炸裂しています。

 

例えば、「東大卒が役人になって税金で暮らすことは寄生虫行為だ」とバッサリ(笑)→ちなみに藤田社長は東大法学部卒です。

 

そんなわけで文章の好き嫌いはあるかもしれませんね。

しかし、文章の論調はともかく、どの時代においても重要なのは成功者から質の高い情報を得て学ぶことです。

 

成功者と言っても、年収数千万単位の方から、数百億数千億を稼いでいるような方まで数多くいるわけですが、大きな成功をしたいのなら当然大きな成功をしている方から学ぶのが近道です。

 

そういう意味でも、一代で日本マクドナルドや日本トイザらスを創業した日本ビジネス界の圧倒的成功者からビジネスの本質を学べる本書は本当に貴重なものだと言えます。

 

経営者の方や、ビジネスで大きな成果を出したいと考えている方ならぜひ押さえておきたい一冊です。

 

今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!