こんにちは、シュンです!
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先日、人事院の年次報告書が公表されましたが、その中で30代の国家公務員の7割が将来に不安を感じているといったことなどがニュースとして取り上げられていました。
今回は、実際のデータを見ながらその中身について触れていきます。
その上で、報告書の中で挙げられている課題に対しどう振る舞うべきなのかという点についても考えていきたいと思います。
人事院が本省に勤務する30代職員に対して調査を実施
人事院は、毎年色んなテーマで調査をしている
以下がニュース記事です。
人事院は15日、平成29年度の年次報告書(公務員白書)を公表した。中央省庁で実務の中核を担う30代の国家公務員の71・3%が将来に不安を感じているとの調査結果を掲載。
仕事と育児の両立や、どのような専門性を習得すべきか分からないことを不安視する回答が目立った。
調査は今年1~2月、本省に勤務する30代の職員を対象に実施し、6264人が回答した。仕事への意欲を低下させた要因(複数回答)では「業務多忙や長時間勤務などでワークライフバランスが保てない」が48・5%で最多。「社会への貢献・やりがいが感じられない」(31・8%)、「上司からの支援の欠如」(31・4%)と続いた。
上司との関係では、78・2%が強い不満を覚えた経験があった。62・5%は理不尽な指示や大声での叱責といった厳しい指導を受けたと回答、このうち38・3%はパワハラだと感じていた。
引用 2018.6.15 産経ニュース「30代の71%が将来に不安 国家公務員、17年度白書」(https://www.sankei.com/politics/news/180615/plt1806150044-n1.html)
今回の記事元になった人事院の調査結果は以下です。
「人事院 平成29年度年次報告書」
- 概要版(http://www.jinji.go.jp/kisya/1806/hakusho29.pdf )
- 第2部 次世代の行政の中核を担う30代職員の育成と公務全体の活性化〜意識調査を通じて課題と対策を探る〜(http://www.jinji.go.jp/hakusho/pdf/29_1-2.pdf)
実務の中核を担っている30代の意見は職場全体に関わるものであるということから、平成29年度版のテーマとして取り上げられたようです。
(過去の年度を見ると、職員全体への意識調査だったり、他国の公務員制度だったり、女性職員の登用だったりと、毎年異なるテーマを決めてやっているようです)
なお、調査を活用し、しっかり成果に繋げていくことが一番重要ですが、それをしないのが公務員の悪いところですので、ぶっちゃけただのポーズなんじゃないの?というのが個人的に思うところです。
→本気でやるなら毎年テーマを変えるんじゃなくて、取り上げたテーマに基づいた改革を3年とかやって成果を残すべきだと思います。
「将来の不安」に関する具体的な回答内容
「能力開発・専門性習得の方向性」、「仕事と育児の両立」が高い
記事にあった、71%の国家公務員が将来に不安を感じているというところの具体的な回答内容は以下です。
引用 人事院 平成29年度年次報告書 「第2部 次世代の行政の中核を担う30代職員の育成と公務全体の活性化〜意識調査を通じて課題と対策を探る〜(http://www.jinji.go.jp/hakusho/pdf/29_1-2.pdf)」
「能力開発・専門性習得の方向性」、「仕事と育児の両立」という項目が高いですね。
「能力開発・専門性習得の方向性」については、要は何でも屋になれという感じで色々とやらされるので、プロフェッショナル性が身についていく実感がないということなのかなと思います。
僕が県庁時代に感じたのは、幅広く何でもやりながら、その組織の中での原理原則(それが正しいかどうかは別です)を身につけて、どんなことにでも対応できる万能公務員になれ、それこそが行政職としての専門性だということです。
ただ、体系だった教育は無く、やりながら学べという感じだったので、国家公務員の方もその辺が見えてこないというところはあるのかなと思います。
仕事と育児に関しては、激務の本省ということで、色々と課題があるということなのでしょう。
これは、県庁など地方公務員においてはあんまり無い部分かなと思います。(なんだかんだで国の本省なんかよりはずっとゆとりがあると思いますので)
僕が考える将来の不安
ところで、個人的には、「将来の不安」と聞いた時、日本の経済面とかAI進化に関するものが多いのかなと思いましたが違いましたね。
例えば、
- 人口が激減し日本全体の経済がダウンしていく可能性が高い→民間の平均給与をベースに決まる俺たちの給料も危ない→本当にこのままの行政運営で大丈夫か!?
- AIがルーチン的な仕事を担うようになる→AIにビジョンを出して指示を出せる人間が生き残れるが、俺はヤバいかもしれない。
とかですね。
4番目に多い「給与等の生活保障」というところにかかってくるのかもしれませんが、まずは目の前のことが重要だということでしょう。
ただ、上で例示したことのほうが、将来の不安要素としてはより危機的なものではないかなと個人的には思います。
仕事のモチベーション低下要因は業務多忙とやりがいの無さ
仕事のモチベーション低下要因として一番多いのは「業務多忙でワーク・ライフ・バランスが保てないこと」、次に「社会貢献ややりがいが感じられないこと」と続きます。
引用 人事院 平成29年度年次報告書 「第2部 次世代の行政の中核を担う30代職員の育成と公務全体の活性化〜意識調査を通じて課題と対策を探る〜(http://www.jinji.go.jp/hakusho/pdf/29_1-2.pdf)」
やりがいが無いから激務が辛い?
国会・予算対応などで深夜帰りや朝帰りが続く激務環境の中で、疲弊してしまっている方が多いというのが実態なのだと思います。
県庁時代、本省に出向していた方の話を聞いても、午前帰りが続くような時は頻繁にあったようですし、確かにかなり大変そうだなという印象を受けました。
ただ、どんなに激務でも、かなりのやりがいがあればモチベーションの低下というのはあまり起きないでしょうから、1番目と2番目の項目はかなり密接な関係を持っていると思います。
落合陽一氏の掲げるワーク・アズ・ライフ
「ワークライフバランス」の話が出ていますが、一方で、筑波大准教授の落合陽一氏は「ワークライフバランス」ではなく「ワークアズライフ」の考え方でなければ、今後AIが圧倒的に発展する世界の中では生き残っていけないと述べています。
「ワークアズライフ」というのは寝ている時間以外は全て仕事であり、かつその仕事は趣味であるという考えです。
実際、落合氏は土日も一切休まず、日々の睡眠時間も少なく、本当に仕事が最高の趣味であるように働いているそうです。
僕もその働き方には非常に賛同するものがあり、実際現在はそれに近い部分があります。
そうは言っても・・・というところはあると思いますが、この点は国家公務員の方(に限りませんが)も真剣に考えるべきテーマではないかなと思います。
→仕事のやり方について改めて考え直すとか、転職を含めたキャリアの見直しとか・・・。
上司との関係について
78%の人が強い不満を感じる上司を持ったことがある
以下、不満を感じた上司の有無と不満の内容についてのデータです。
引用 人事院 平成29年度年次報告書 「第2部 次世代の行政の中核を担う30代職員の育成と公務全体の活性化〜意識調査を通じて課題と対策を探る〜(http://www.jinji.go.jp/hakusho/pdf/29_1-2.pdf)」
どの世界にも嫌な上司はいますよね。
「責任を取ろうとしない」というのは本当に多いですが、ここで回答している30代の方の大半が将来的には結局陥ってしまうことになるようにも思います。
4人に1人がパワハラを受けたと感じたことがある
次に、パワハラ関係のデータです。
引用 人事院 平成29年度年次報告書 「第2部 次世代の行政の中核を担う30代職員の育成と公務全体の活性化〜意識調査を通じて課題と対策を探る〜(http://www.jinji.go.jp/hakusho/pdf/29_1-2.pdf)」
これを見ると、過去数年間で何かしら理不尽な指導を受けた人が62.5%おり、そのうち38.3%がパワハラだと感じているということなので、全体の24%くらいの人が何かしらのパワハラを受けたと感じているということですね。
4人に1人というのはかなり多いなーと感じます。
僕は幸運にもそういう人には当たらなかったですが(ポジティブに解釈しているだけかもしれません笑)、こう見るとメンタルで休む人が多いのも頷けますし、上司は上司でかなりの注意を払う必要があるとも言えますね。
→ただ、自分で注意ができるような人はパワハラをしない感じがします。
怒りが止められないというのは単に自制心が足りない人でしょうから、距離を置いて相手にしないのが一番ですね。
まとめると、不満を言ってもどうせ変わらないので自分が変わるしかない
最初のところでも書きましたが、この調査に基づいて具体的に大きな改革が行われるというのは非常に考えづらいと思います。
有名な「7つの習慣」に「インサイド・アウト」の考えがありますが、つまり、「自分が変わってから世界が変わる・逆は無い」ということですね。
多くの人が現在の環境について色々と言いたいことはあると思いますが(もちろん現役時代僕も言いたいことはたくさんありました)、残念ながら、言ったところでほぼ意味はありません。
そうなると、選択肢としては以下のようなところが考えられるでしょう。
- 圧倒的に成果を出して重用され、やりがいを見出す
- 同様に成果を出して出世し、自分が組織を変える
- 生活のためだから仕方が無いと妥協する
- 見切りをつけて辞める
大半の方は、選択をしないで(上から3番目の選択をして)、何となくモヤモヤしたものを抱えながら生活をしていくということになると思いますが、途中で取り上げた落合准教授の話のように、そのパターンだと大きく変化する世の中においては自分の優位性が保てないことになります。
中途半端が一番危険です。
その点をよく踏まえた上で、自分の考え方や行動を見直していく必要があるかなと思います。
おわりに
この調査を見ていて思い出したのが、県庁時代に「いずれ誰かが変えてくれると思うんだよなぁ」と言っていた同期のことです。
残念ながら変わりません。
何事においても、自分から行動を積み重ねていくしか無いです。
そういう意味で、こういった調査結果は、ホントにそうだよなぁと共感するというよりも、客観的に見た上で、自分を変えていくためにどうすべきか?と考える材料にした方がいいと考えます。
今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!
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