こんにちは、シュンです!
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今回は、公務員の出世(財政課の出世事情)がテーマです。
財政課=エリートとか出世頭というイメージを持っている方も多いと思いますが、実際に県庁の財政課に在籍していた経験を踏まえて記事を書いていきます。
財政課は出世ポジションか?
間違いなく出世ポジション
僕がいた県庁で言えば、財政課は確実に出世ポジションでした。
財政課の予算担当者は全員が幹部候補生であったと言えます。
→既に出世している人たちのルートとかを見ればだいたい分かります。
なお、財政課に行ったから出世するというよりは、人事側としても将来出世させたいと思っている候補生を財政課に送り込むというような感じですね。
実際、かなり優秀な人が集まっていました。
以下、財政課の予算担当者の仕事について簡単に解説します。
20代〜30代後半くらいまでの若手で構成される。
各担当者は自分の持ち部局の予算を担当する。
Aさんは保健福祉部局、Bさんは農業部局、Cさんは土木部局みたいな感じ。
当初予算や補正予算編成時には、各部局から要求内容について説明を受け、その内容について査定案(1億の要求があった場合、過剰な部分は認めず、8500万円だけ認めますよみたいなもの)を作り、分かりやすく噛み砕いて財政課長以下の上司に説明をする。
財政課長は部長や知事に説明し、最後は知事が予算案を決定する。
知事が決定した予算案の承認は議会でなされるが、これはほぼ形骸的。
その他、年度途中で緊急に予算が必要になった案件についても、まずは財政課の担当者に相談があり、案件によっては(突っぱねることも多い)担当者が財政課長に説明をし、予算をつけていくという流れになる。
ちなみに、財政課には課内の庶務などを担当する方も数名いますが、こちらは特に出世ポジションではありません。
歴代の副知事とか筆頭部長の経歴を見るとだいたい財政課か人事課経験者
見出し通りなのですが、本当に偉くなる人はだいたい財政か人事を経験していました。
これは自治体の方針によるかもしれませんが、どこであってもある程度同じでしょう。
結局、ヒト(人事)とカネ(財政)、そして情報(情報は人事と財政、企画に集まります)を握っているところが強いということです。
→なお、僕がいた県はそこまで企画は強くなかったです。
財政課職員に求められるもの
1に体力、2に体力、3〜4に体力、5に体力
特に、秋(11月頃)から年明けまでの当初予算編成時は深夜残業が続きます。
しかもその間土日はほとんど返上です。
うちの県は50連勤とかだったかな(笑)
正月だけ休みです。
なお、予算編成期間中に2日連続で徹夜をしたという人も2人ほどいましたね。
要はとにかく体力勝負です。
ベテランになってくると、めちゃくちゃ説明が上手くて、さらりと課長への説明を通す人もいますが、それでもやはり勤務の絶対時間は長い。
当初予算編成期間には、風邪で辛いですとか、子どもの体調が悪くて・・・みたいなのは実質的に通用しないところがあります。
説明が上手な人は多いが・・・
最初にも書いたとおり、予算担当者は、部局から予算要求内容をヒアリングし、資料を整え、その予算が必要であることを財政課長に説明しなければなりません。
もちろん、どの課であっても上司に対して説明するのは必須ですが、財政課は少し雰囲気が違います。
他の課であればなんとなーくの流れで済んでしまうところが、予算付けの必要性について、かなり緻密で論理的な説明をしていく必要があります。
また、課長やその他課長以下のお偉いさんもかなり厳しいツッコミを入れてきます。
基本的に各部局は「どんどん色んな施策をやっていこう」というノリが強いですが、財政課は「本当に限られた施策をやるべき」というスタンスであるため、1つ1つの事業に対する意思決定のハードルが高いです。
といったわけで、説明能力や、説明する際の資料を整える力が必要とされます。
ただ、そもそも優秀な人が集まっているので、純粋な事務能力は高い方が多いです。
また、仮に説明や資料づくりがあまり上手くなくても、とにかく根性・気合いで残業しまくればなんとかなる部分があるため、やはり体力のほうが優先されるというのは感じました。
財政課は面白いか?
面白いと思ってやっている人はごく一握り
若手の担当者たちの多くは、好きでやってるという感じでは無かったですね。
(中には各部局とガチャガチャ議論して予算を作っていくのが大好きな人もいます)
そりゃ、自分がその事業を担当するわけでもなく、聞き取っただけの内容をあたかも詳しく知っているようにして説明しなければならない上に、上司からは結構厳しく突っ込まれるんだから、面白いはずないです(笑)
ただ、ある程度皆さん選ばれし者であるという自覚が強いというか、将来それなりのポジションに行くためにもしっかりと頑張っているという方が多かったように思います。(あくまで僕の私見ですが)
究極の前例踏襲・横並び主義と不毛さ
財政が豊かな自治体なら違うでしょうが、基本的には事業をやらない方向、やる場合でも支出を押さえる方向で考えるのが財政課です。
なので、他県とのバランスだとか、過去の似た事業の支出はどうだったのかとか、そういうところを徹底的に調べて妥当なところに落とし込むというのが基本スタンスになって行きます。
正直、今後AIで出来るようになると思いますが、現状としては、担当者が膨大な過去の資料をあさったりしながら説明資料を作っていくわけです。
そこにあまり戦略的な思考はなく、とにかく不毛でしたね。
もちろん、そういった前例主義をベースにしつつも、たまには新規で面白いこと(もちろん成果が出そうなもの)をやるために、部局の担当者とタッグを組んで財政課長に提案、説得していくといった前向きなこともトライしようと思えばできます。
むしろ、それが財政課担当者の醍醐味なのだろうとは思います。
ただ、実際にはそういうことを考えている担当者はほとんどいなかったです。
ただでさえ激務なのだから、余計なことはやらず、課長のところを無難に通るための資料を作って説明をしていこうという方が大半だったように思います。
実際、事業が昔に比べて細分化していますし、量が多すぎて、うまくさばかないとやってられないというのが構造的な問題としてありました。
そもそも、大半の自治体は借金経営でお金が無いのですから、選択と集中で事業を大幅に潰す(財政課担当が1つ1つやるようなレベルの話ではなく、トップダウンでやるしかないです)ことをしないと成果を見据えた有意義な予算論議など出来ないと思います。
まとめ
とにもかくにも、財政課が出世ポジションであるのは間違いありません。
ただ、財政課で勤務するには、激務や不毛さを乗り越えていくだけの体力と、そもそもとして人事から見込まれるだけの能力が必要になります。
行こうと思って行けるところではありませんので、もし幸運にも(不運にも?)財政課に配属された方は、貴重な機会を得たと思って必死に頑張ることをオススメします。
頑張った分だけ間違いなく将来のキャリアに繋がっていきますよ。
今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!
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