書評

最強・室伏広治の10倍練習した溝口和洋に学ぶ成功哲学。考える力が最も大切。

こんにちは、シュンです!

いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!

 

今回は、超人・室伏広治を育て、また彼が憧れた人間の一人、やり投げの溝口和洋氏(やり投げで当時世界2位の記録を出すなど、世界トップクラスで活躍)から学ぶ成功哲学がテーマです。

 

具体的には、溝口氏を主人公にした作品である一投に賭ける(上原善広著)」を読んだ内容をベースに書いていきます。

なお、本書は単なるアスリート本ではありません。

人生で成功をしたいと考えている全ての方にとって非常に有用な自己啓発書だと感じました。




溝口和洋は、最強の男・室伏広治の10倍以上練習した?

僕は、スポーツを見たりスポーツニュースを読んだりするのが大好きです。

もうかれこれ25年くらい、普通の人に比べればかなり多くのスポーツ情報に触れてきたと思います。

 

そんな僕が考える日本人の最強アスリートは室伏広治さんです。

 

何かの番組で武井壮さんもその凄さについて熱く語っていましたが、イチロー選手、大谷翔平選手、中田英寿選手、葛西紀明選手、吉田沙保里選手、井上尚弥選手・・・そうした様々な世界的アスリートと比べても、身体的ポテンシャルは圧倒的なのではないかと思います。

(具体例は長くなるので省きますが、その凄さは調べれば色々出てきます。なお、「室伏広治 アンサイクロペディア」で調べると面白いです)

 

そんな室伏さんが著書の中で、今回取り上げる溝口和洋氏のことをこう語っています。

やり投げで世界ランク1位となったこともある社会人の溝口和洋さんに出会う。

溝口さんは練習の鬼だった。

自分も厳しい練習をこなしているほうだと思っていたが、溝口さんは、誇張でもなんでもなく、私の10倍以上の練習内容をこなしていた。

そこで教えられたのは「限界を作っているようでは世界で戦えない。

限界を超える練習をこなしてこそ、世界と戦える」ということだった。

引用:「超える力」室伏広治著

 

あの室伏氏にここまで言わせるのですから、その凄まじさが分かります。

 

今回本書を読んで初めて知ったのですが、室伏氏が大学2年の頃から7年に渡って、溝口氏は室伏氏のことを指導してきたとのことです。

 

室伏氏がエドモントン世界大会で銀メダルを取ったのを契機に自ら手を引いたということですが、超人室伏の活躍の裏側に溝口氏の存在があったというのは大変興味深い点です。

 

ちなみに手を引いた理由が非常に深いです。

もう自分で投げを見つけていかなければ駄目だ。

自分で身につけたものは忘れないから。

そうでないと、投げが崩れたときにマンツーマンで見なければならなくなる。

オレの「作り物」になってはいけない

引用:「一投に賭ける」上原善広著 P216

 

素質や才能以上に重要なものとは?

身体的才能に欠けながらも世界トップに立った溝口氏からこそ学べること

室伏氏を指導した立場から、彼の身体的能力について以下のように言及しています。

私が四、五年かけて実験し開発した指先の感覚なども、教えるだけですぐにできたのには驚いた。

引用:「一投に賭ける」上原善広著 P213

 

室伏選手がもの凄いポテンシャルを持っていたのが分かりますが、ここで重要なのは、溝口選手は身体的素質に頼らず頭で考え、膨大な検証を重ねてこうした技術を開発してきたという点と、室伏選手もそこに多くを学んだという点です。

 

溝口選手は、やり投げ選手として決して体格に恵まれていたわけではありません。

 

自らに身体的な素質が無いと認識した上で、その中でどうやれば世界と戦えるかを突き詰めて考え、実践し、実際に世界記録クラスの記録を叩き出したという点こそが凄まじいと言えます。

これは客観的な事実だが、私のように百八十cmの身長で、八十mオーバーを投げた選手は、世界でもほとんどいない。

つまり私は限界まで到達し、そこを超えることができたのだ。

この事実以外に、どんなトロフィーがあるというのだろう。

引用:「一投に賭ける」上原善広著 P221

 

いわゆる成功(ビジネスでもスポーツでも学問でも)を目指すに当たり、「才能」で片付けられてしまったら何も学ぶことができません。

 

身体的才能が劣る中で世界的な結果を出すに至った、溝口氏の異常なまでの思考と努力のプロセスこそ、万人にとって役に立つものだと思います。

 

無論、才能は圧倒的な世界一になるためには重要です。

仮に溝口選手の才能が柔道にあったとすれば、彼の思考力を使えばオリンピック3連覇とかも出来たのではないかと思います。

一方、その場合だとどうしても才能の面が強く表に出てきてしまうことになり、一般の方にとってはただの「凄い人」にしかなり得ないでしょう。

身体面で不利な競技でこうした実績を残したことで、「考える力」をどこまで極めれば才能を補って世界で戦えるのかという実験をしたとも言え、そこに溝口氏の価値があると考えます。

 

なお、溝口氏は現在農業で成功しており、また、競技を辞めてからは一時パチプロとしても成功していました。

 

彼は、農業とパチプロで結果を出す流れについても、そのプロセスはやり投げと全く同じ(基本だけ学んだら、後は徹底的に自分の頭で考えること)だと語っています。

 

こうした事実は、まさに彼の考え方が万人に応用できる証であると言えます。

 

実際本書を読んでいて、この人はどんな事業をやっても間違いなく成功すると思いました。




溝口和洋氏の成功のための考え方

万人に応用できる溝口氏の成功哲学を抜粋してみました

本書の中から、成功を目指す人にとって特に重要な考え方であると僕が思った部分を抜粋してみます。

  • 一つのことを極めるには人間の情やしがらみを断ち切る覚悟が必要。
  • 日常生活も含め、全てをやり投げに結びつけてきた。
  • 死ぬ気でやれば人間というのは大体、何でもやれる。
  • トレーニングは常に限界になるまでやらなければ意味がない。他の選手の三倍から五倍以上の質と量をやって初めて限界が見えてくる。
  • (週に1度休みを入れるようになった理由)精神・思考も時々、余白を作ってやる必要がある。
  • 誰かがそう言っていたからとか、そんな理由で自分の行動を決めたことは一度もない
  • 自分で実践して納得するまで取り入れない。その結果分かったのは、常識と言われていることのほとんどはデタラメだということ。やり投げを極めるのに近道などない。
  • 他人からどうこう言われようが、自分が一旦納得したら、それを貫き通した。
  • 人のせいにもしたくないし、やりのせいにもしたくない。すべて自分の責任だ。
  • スポーツ選手にも考える感性やセンスが必要だ。それは簡単に言えば「自分で考える力」があるかどうか、その考える方向は合っているのかということだ。

 

どれもこれも深いです。

また、僕が過去に学んできた成功者の哲学と一致する部分も非常に多いです。

(ただ、その質と量の突き詰め方は溝口氏がトップクラスのように感じました)

 

面白いのは、たまたま他の成功者も似たような考え方をしていただけであり(それは後で知っただけ)、あくまで自分で思考して試した結果としてそうなったと本の中で述べられている点ですね。

 

成功者の考え方には間違いなく共通点があります。

その考え方を自分の頭に取り入れて成功するのが最も手っ取り早いわけですが、徹底して自分の頭で考えた結果、他の成功者と同じような考え方に収束していくというのは非常に面白い点ですね。

 

次に、溝口氏の考え方から2点ほどテーマを掘り下げて解説してみます。

 

徹底して自分の頭で考える

溝口氏が最も重きに置いているのは、「とにかく自分の頭で考えて、実践する」ということです。

 

溝口氏は、室伏氏に自分の10倍以上と言わせたほど異常な練習をこなしていたそうですが(それは本書を見ると良く分かります。まさに「異常」です)、重要なのは、何をやるべきかをまず徹底的に考え抜いたということです。

 

また、トレーニング最中も常に目的を意識し、身体の細かな動きに集中をしている描写が出てきます。

 

溝口選手は特にコーチらしいコーチはおらず、自分でやり方を編み出してそれで結果を残したようです。

 

何かで成功したいのなら、その分野での成功者に教えを請うのは間違いなく一つの近道なので、溝口選手のやり方が全てだとは思いません。

 

一方、室伏選手を「作り物になる」と語ったように、ずっと誰かのやり方を踏襲していたのでは、その先に進めないのも間違いありません。

 

「守破離」で言えば、最初に「守」は必要だとしても、必ずどこかで考え抜かなければ「破」(改善改良)も「離」(新しいやり方の創造)も難しいということですね。




決断と集中

どのような分野でも、一つのことを極めるには人間の情やしがらみを断ち切る覚悟が必要だと溝口氏は言います。

 

具体的には以下のような話が書かれています。

大学進学が決まり、あと四年間はやり投げをすると決まったとき、私はすぐに中学、高校の友人に電話して「もう今までのようには会えない」と断りをいれた。

そのとき付き合っていた彼女にも「やり投げに専念することにしたから、別れたい」と強引に別れた。

引用:「一投に賭ける」上原善広著 P20

 

成功のための秘訣は、決断による集中以外にありません。

何でもかんでもやろうとする人は絶対に失敗します。

 

まさにそのことを体現している溝口氏の考え方と具体的な行動だと言えます。

 

ちなみに、元AKBの高橋みなみさんも、AKBに入る時に、地元の友達の連絡先を全て削除したそうです。

 

過去の友人たちと親しくしながら、新たなステージにおいて別の成功者たちと仲良くなるというのは、頭では出来そうですが出来ません。

(→考え方が異なるため、居心地が非常に悪い状態になります。逆に言えば、昔の友人たちと会ってその会話に居心地の悪さを感じたのであれば、間違いなく自分は成長している方向に進んでいると言えます)

 

過去の関係を断ち切って、新しい環境や人間関係に飛び込んでいく。

 

これは、成功者たちの間で当たり前のように行われている事実です。

 

おわりに

個人的には、最近読んだ中で最も衝撃を受けた本の一つでした。

 

「考える」を突き詰めた人間としては、アスリートという括りに限らず、世界中の人間の中でもトップクラスではないかということを率直に感じました。

(その細かな論理的描写は、本書を読んでいただくのが最も早いです)

 

まさに身体的な才能不足を補うために、「考える」ことの質も量も、いわゆる才能に恵まれたアスリートに比べて圧倒的に必要だったのではないかと思います。

 

なお、2018年11月18日にテレビで放送された「消えた天才」の中で、溝口氏が登場しています。

番組内ではその半端ではない練習量にスポットが当たっていますが、重要なのはそこではなく、あくまでベースとなる考え方です。

 

本書では、彼のその思考の質の高さが存分に伝えられています。

ある意味、これだけの考え方を後世に残したという意味では、華々しく活躍した天才たちよりも偉大な功績なのではないかと個人的には感じました。

 

最初にも書いた通り本書は単なるアスリート本ではありません。

 

スポーツマンに限らず、経営者、起業を目指す方、教育者など、あらゆる人にとって本当に学びになる本だと思います。

今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!