公務員のニュース・時事ネタ

神戸市役所職員が学歴を高卒と偽り懲戒免職?ホリエモンは「あほくさ」と一蹴。

こんにちは、元公務員のシュンです!

いつも当ブログをご覧いただき感謝しております。ありがとうございます!

 

今回は、神戸市職員が学歴詐称で懲戒免職になったニュースを取り上げます。

神戸市は26日、最終学歴を詐称したとして、経済観光局の男性事務職員(63)を懲戒免職にしたと、発表した。大学を卒業していたのに採用試験の際に履歴書には高卒と記載し、高卒以下に限定されている区分を受験して合格し、1980年5月から勤務していた。

引用 神戸新聞NEXT「大卒を高卒と偽り勤務 38年でバレて懲戒免職 神戸市職員

 

元公務員、そして現在独立している立場から、

  • 学歴を低く偽ることのメリット
  • 懲戒免職の妥当性
  • このニュースに対するホリエモンの言葉について考えること

について書いていきます。




学歴詐称のメリット

高卒の場合、試験難易度が圧倒的に落ちる

詐称した理由ですが、要は試験が簡単だからですね。

 

県庁や指定都市(神戸市は指定都市)の場合、高卒試験と大卒試験では、比べ物にならないくらい高卒試験のほうが簡単です。(面接はともかく、筆記は間違いなくそうです)

 

具体的に言うと、高卒試験の勉強は2~3ヶ月も勉強すれば十分(人によってはほとんどやらなくても大丈夫)でしょうが、大卒試験は1年近く勉強が必要だったりします。

 

以下で詳しく書きますが、正直学歴による待遇の差はそこまで大きくないため、どうしても公務員になりたいとすればこのやり方には大きなメリットがあったと言えるでしょう。

 

給料や出世などの待遇の差

次に、高卒と大卒の待遇差を見ていきます。

 

まずは給料面についてです。

 

高卒のほうが基本給が低いため、同じ年齢でも大卒に比べ月収は若干下がります。

 

一方、公務員は学歴以上に「年齢に基づく平等性」が重視されます。

以下の統計データにもある通り、そこまで大きくは変わらないことが見て取れます。

高卒地方公務員(行政職):40~43歳の月収は約42万

大卒地方公務員(行政職):40~43歳の月収は約43.5万

総務省「地方公務員給与実態調査」より

 

さらに、生涯年収ベースで見ると、高卒は大卒に比べて4年多く勤務するということもあり、定年まで働いた場合はほぼ同じです。

※この方の場合は大学に行っていますから、同期の大卒に比べると、生涯年収ベースで見れば少し少なかったと思われます。

 

次に出世面です。

 

こちらはそれなりに差がつきます。

 

例えば、僕がいた県庁では、本庁の部長は全員大卒でした。

 

正直、大卒より圧倒的に優秀な高卒の方はたくさんいるのですが、特に課長補佐級くらいになってからの出世スピードは目立って差がある印象でした。

 

ただ、トップクラスの幹部を目指す方ならともかく、一般的な公務員の場合、そこまで待遇の差はないと言っていいと思います。




そもそも懲戒免職にするほどの案件なのか?

次に、38年も勤務してきている人を懲戒免職にまでする必要があるのか?という点について書いてみます。

 

もちろん嘘をついちゃダメ(規則上もダメ)というのも分かりますが、38年間の貢献とのバランスを考えて制度をどう運用するかという話でしょうから、一番厳しい処分である「懲戒免職」という形を取る必要があるのかというのは確かに疑問が残ります。

※ちなみに再任用だったということなので、既に退職金は受け取っているはずです。

 

一方で、あくまで今回のニュースでは「学歴を詐称したから免職にした」ということしか分かりません。

つまり、裏側にどんな話があったのかが全く分かりません。

 

あくまでここからは僕の妄想ということで聞いて欲しいのですが、この方が全然仕事をしなかった人である可能性もあります。

 

公務員はちょっとやそっとのことではクビに出来ません。

なので、本当に仕事をしない、まさに税金泥棒みたいな方もたくさんいます。

 

それだけならまだいいですが(ダメですが笑)、その上自己主張ばかりは強くて周りにも迷惑だということであれば、制度上クビにできないものの、クビを切れるもんなら切ってやりたいと周りの皆が思っているケースは存在します。

(これは人事の方は全員頷いてくれると思います)

 

この方についても、とんでもなく仕事が出来ず、しかも主張ばかりするので周りの評判が悪く、単に辞めさせる口実として学歴詐称を用いたという可能性はあります。

 

ただ、あくまでこれは可能性の話です。

事実は全く分かりません。

 

上の妄想が全くピント外れで、真面目に勤務をしてきたごく普通の公務員の方だったのであれば、こんなことで免職にしてニュースにするような話ではないなとは思います。

 

その場合、公務員組織のズレ(つまらないことに縛られていて融通が効かない)を疑われても仕方がないと言えます。

 

どちらにしても、裏側も含めて公表しないと妥当性が全然判断できないですよね。(まぁ裏側はあっても言えないんでしょうが)




ホリエモンが「あほくさ」と一蹴

ここからは少し視点を変えます。

 

今回のニュースはホリエモンがツイッターで反応しています。

シンプルでいいですね(笑)

 

実際、経営者・起業家などから見れば、ホリエモンの感想に共感するのは間違いありません。

 

学歴など無意味

ホリエモンがあほくさと言ったのは、未だに「学歴」で物事が判断されるような事象があるということそのものについてだと思います。

 

独立している人たちにとって、学歴というのは本当に何の意味も持ちません。

 

日々成果を出すためには、「答えが無いもの」に対し、日々トライアンドエラーでPDCAを回し続ける能力が求められるため、いわゆる学歴(=ただの暗記力)は全く役に立ちません。

 

むしろ、「答えがあることが前提」の文科省的教育をさっさと脱出した人のほうが、よっぽど優秀であるケースも多いです。

(中卒・高卒で数千万、億を稼いでいるような人はザラです)

 

高度経済成長期における「家電を作れば売れる」といったような答えが存在しない以上、成果を出すにはトライアンドエラーでPDCAを回し続ける以外あり得ません。

学歴をベースにして出世や給料を決めることは、成果には1ミリも繋がらない

 

こうした現実がある一方で、時代遅れの規則が現存し、そこで様々なことを縛っているという仕組みの存在自体がナンセンスだと言っているわけですね。

 

一方、公務員組織において既存の仕組みを変えるのは難しい

とはいえ、既に存在する答えに基づいて仕事をこなすというのをずっと続けてきているのが公務員という組織です。

 

通常の仕事の内容はもちろん、学歴による給料や出世の差なども、そのほぼ全てに前例があります。

 

前例に当てはめて判断することは得意ですが、前例の無いものに対し新たな発想で物事に対応していくことは正直困難です。

なぜなら、入庁してからそうした考え方を全く訓練されていないからです。

 

仮に、学歴規定自体が古臭いから撤廃すべきだとか、学歴に基づかずにどんどん優秀な人を出世させるべきだとか、そのために何が優秀なのか定義を構築すべきだという議論が出たとしても、公務員組織においてその問題は解決できません。

前例という答えが無いからです。

 

公務員組織における根本的な考え方が「前例踏襲」である以上、既存の枠組みを修正するのは困難だということになります。

(やるのであれば、過去築いたやり方を完全に0にして、根本的な考え方(成果の定義など)の教育からやり直すしかない)

 

おわりに

以上、元公務員的な視点から学歴詐称のメリットや今回の処分の妥当性などを分析した上で、独立した目線からホリエモンのコメントについても考えてみました。

 

僕個人の公務員組織に対する考えとしては、

学歴などで差をつけるのはナンセンス極まりないと思っていますし(そもそも入庁試験段階でおかしい)、

高卒だろうがものすごく仕事が出来るならガンガン出世させればいいし、

仕事が出来なければガンガン降格させ、時には免職も用いればいい

と思っています。

 

実際問題としては、公務員の方たち自身がそういった状況を望んでいないため無理なのも分かっています。

 

その一方、それで済むような状況でもなくなってきている(増え続ける国の借金、人口減少、AI化)のも間違いありません。

 

先ほど「成果」を出すための起業家と公務員の考え方の違いについて書きましたが、公務員の場合は今のところ成果を上げずとも何とかなってきているところがあります。

 

しかし、今後の日本における厳しい局面(特に人口減少)を考えれば、組織のあり方についてもいずれ踏みこまざるを得ないだろうなと考えています。

 

今回も貴重なお時間の中で文章をご覧いただきまして、本当にありがとうございました!

 

>>公務員の将来に興味があればこちらの記事もご覧ください。